2 / 32
わんわんまかろん
スペシャルメニュー
しおりを挟む
「ただいま」
玄関先で靴を脱ぎながら言うと、勢いのある幼い声が台所から響いてきた。
「おっかえりーなのです!」
台所で待っていたのはミコトの妹、リンカである。どうやら夕飯の支度をしていたようだ。
「今日の夕飯は何だろう」
「今日は、LISTERのノノちゃん風味、チョイ甘スパイシーなイタリアンカレーなのです!」
LISTERとは、リンカの好きなグループアイドルの名称だ。中でも、前田ノノと言うセンターアイドルは、SNS内で、今最も輝きを見せている有名人だ。リンカはその前田ノノの猛烈なファンとなる。
そもそも、ノノちゃん風味料理はいつから始まっていたのだろうか……。ふわふわと頭の中で最近の料理を思い出してみる。
LISTERの猛烈なファンであるリンカは、前田ノノを好きすぎるあまり、自分で作る料理をなんでもノノちゃん風にしてしまう癖がある。味は美味しいから何とも言えないが、毎日ノノちゃん風味じゃぁ……ねぇ。少し心配になるミコト。
「昨日は確か、ノノちゃん風味ナポリタンだったかな」
ソファーに鞄を置き、襟の帯を外しながらミコトは言う。
「そうでした!一昨日はノノちゃん風味オムライスでその前は、ノノちゃん風味チャーハンで……その、その前は……」
リンカはノノちゃん風味○○がどれくらい前から始まっていたか必死に思い出そうとしている。
「ノノちゃんエンドレスは流石にキツイぞ。せめて、ミミちゃん風で頼む」
ミコトがリンカに冗談交じりで忠告した。
「ミミちゃん?はて?」
考えるポーズをして、とぼけるリンカ。
「まあ、なんでもいいや、とりあえずいつも料理、ありがとう」
「はいなのです!」
リンカは元気に返事をして、晩御飯の支度を急がせた。
約十五分後、ノノちゃん風味なんとかかんとかカレーがミコトの前に置かれた。「頂きます」と二人で手を合わせる。
「うん。美味い。確かに美味い」
うんうんと頷きながらカレーを口に運ぶミコト。それを見るリンカの表情はとても満足げだ。
「ごちそうさま」と食事を終えミコトは、自室に向かい、今日手に入れた『ワンマカ』のキーホルダーを机に座りながらなんとなく眺めた。
――金じゃなくて青、か……、
キーホルダーを眺めて小さく嘆くと、何故か強い眠気が迷い込んできた。
少しベッドで休もうと、目をつむりながらベッドに横になっていると、三十分もしないうちに深い眠りについてしまった。
玄関先で靴を脱ぎながら言うと、勢いのある幼い声が台所から響いてきた。
「おっかえりーなのです!」
台所で待っていたのはミコトの妹、リンカである。どうやら夕飯の支度をしていたようだ。
「今日の夕飯は何だろう」
「今日は、LISTERのノノちゃん風味、チョイ甘スパイシーなイタリアンカレーなのです!」
LISTERとは、リンカの好きなグループアイドルの名称だ。中でも、前田ノノと言うセンターアイドルは、SNS内で、今最も輝きを見せている有名人だ。リンカはその前田ノノの猛烈なファンとなる。
そもそも、ノノちゃん風味料理はいつから始まっていたのだろうか……。ふわふわと頭の中で最近の料理を思い出してみる。
LISTERの猛烈なファンであるリンカは、前田ノノを好きすぎるあまり、自分で作る料理をなんでもノノちゃん風にしてしまう癖がある。味は美味しいから何とも言えないが、毎日ノノちゃん風味じゃぁ……ねぇ。少し心配になるミコト。
「昨日は確か、ノノちゃん風味ナポリタンだったかな」
ソファーに鞄を置き、襟の帯を外しながらミコトは言う。
「そうでした!一昨日はノノちゃん風味オムライスでその前は、ノノちゃん風味チャーハンで……その、その前は……」
リンカはノノちゃん風味○○がどれくらい前から始まっていたか必死に思い出そうとしている。
「ノノちゃんエンドレスは流石にキツイぞ。せめて、ミミちゃん風で頼む」
ミコトがリンカに冗談交じりで忠告した。
「ミミちゃん?はて?」
考えるポーズをして、とぼけるリンカ。
「まあ、なんでもいいや、とりあえずいつも料理、ありがとう」
「はいなのです!」
リンカは元気に返事をして、晩御飯の支度を急がせた。
約十五分後、ノノちゃん風味なんとかかんとかカレーがミコトの前に置かれた。「頂きます」と二人で手を合わせる。
「うん。美味い。確かに美味い」
うんうんと頷きながらカレーを口に運ぶミコト。それを見るリンカの表情はとても満足げだ。
「ごちそうさま」と食事を終えミコトは、自室に向かい、今日手に入れた『ワンマカ』のキーホルダーを机に座りながらなんとなく眺めた。
――金じゃなくて青、か……、
キーホルダーを眺めて小さく嘆くと、何故か強い眠気が迷い込んできた。
少しベッドで休もうと、目をつむりながらベッドに横になっていると、三十分もしないうちに深い眠りについてしまった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる