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新手の猫カフェ

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拓海と雪斗は二人で皐月と要のバイト先に向かっていた。バイト先が要の親戚の店だとは聞いているが、心配と興味で二人には内緒で行ってみる事にしたのだ。

「確か猫カフェって言ってたっけ?」

「俺、猫好きだから通っちゃうかも。しかも要様の店員姿付きとか神店だ!」

猫との触れ合いを楽しみにしている二人は店を発見し扉を開けた。そして想像とは違う猫が目の前に現れ困惑する。

「いらっしゃいませにゃん!……え?な、なななななんで二人がここに……。」

「うわぁー可愛い猫さんだー。でも俺の想像とは違ったなー。たっくんはどう?」

「ああ…俺の想像とも違ったな。まさかこんなデカい人の言葉を話す猫が出迎えてくれるなんて思わなかったわー。」

口には出されていないがどう見ても拓海が怒っているであろう事は明白だった。雪斗も多少顔が硬い気がする。皐月は振り返り助けてくれそうな人物を探した。
するとバッチリ目があった要が皐月の元に急行する。

「お客様~お席へご案内しますにゃん。こちらへどうぞにゃん。」

「にゃん?!要様のにゃん?!」

今にも鼻血を吹いて倒れそうな雪斗の襟をつかみ拓海は案内されるまま歩き出した。通された席は一番奥の角で周りの席に客は居なかった。

「で、この猫カフェはどういうところかな?」

笑顔なのに恐ろしく威圧感のある拓海に皐月は震えながら要の後ろに隠れる。

「安心して欲しいにゃん。如何わしい事は何もしてないにゃん。スタッフが猫耳と猫しっぽをつけて喋る時の語尾を「にゃん」にする以外は普通のカフェにゃん。」

「それ如何わしいだろ?!」

「私の親戚の店っていうのも本当にゃん。」

「安心材料にもならんな…。」

「コレ学校にバレたら店ヤバいんじゃないか?」

「確かに……男子が殺到し行列が出来て大大大繁盛だな。」

何とか持ち直した雪斗は真顔でスマホで要を隠し撮りしながらバレた時の騒動を思い浮かべた。

「お客様、撮影はお控え下さいにゃん。一応校長と教頭と学年主任はちゃんと一回ちゃんと連れてきて短期なら可って許可はもらってるにゃん。」

「「いや可じゃないだろ。」」

まさかの学校の上層部が懐柔済みという事実に拓海と雪斗は頭が痛くなった。
とりあえず今日は二人のバイトが終わるのを待って一緒に帰る事にし、拓海と雪斗はバイトが終わるまでに騒ぎにならない為の作戦会議をする事にした。

「写真の流出がない事が奇跡だな。」

「本当にね。こんなの軽々大漁に釣れるよ!」

「……雪斗みたいな奴らがな…。」

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