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視聴者は敵か味方か

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「終わった……。」

テスト終了のチャイムと共に皐月は机に伏せった。
皐月が横目でチラリと拓海をみると皐月と同じ体制でいた為、きっと同じ境遇であると思われるが、要をみると余裕そうで、皐月は心の中で理不尽さを嘆いた。

要から衝撃のテスト週間の知らせを受けてから皐月と拓海は必死に勉強した。
実は秀才ですといった隠れチートキャラにはなり得ない二人は補習だけは回避しなくてはと必死だった。

何故なら補習を行う教師は学校内で最恐と名高い生活指導担当の教師で、一週間ずっと教科書の三倍はあろう厚さの課題を出された後、再テストで85点以上を取らなければまた一週間繰り返すという恐ろしい補習を行うと噂があったのだ。
二人ともノートはきちんととっているが内容の理解が危ない。
そこで、二人は担任に泣きついた。

「「何が分からないのかも分からないから助けて!」」

二人のその言葉に担任はため息を着きながら放課後に教えてくれ、何とかボーダーは上回ると予想出来るくらいにはなりテストに挑んだ。
きっと担任は涙を流しながら採点をする事であろう。



「「「お疲れ~!!!」」」

テストが終わると三人は軽音部の部室に集まった。
開放感からやたらテンションの高い皐月と拓海はジュースを一気に流し込むと「ぷはぁ」とひと息つき「やっと終わった~」と叫び要から迷惑そうな視線を受けた。

「テストも終わったしこの前の動画どうなったか観てみようぜ。」

「いいけど…あんま期待しないでよ?
私のいつもの動画でさえ300人くらいなんだから。」

「皐月すご~い。それ全校生徒の半分くらいの人は観てるっことだよ~。」

「まぁね!私だからね!」

「張る胸があっていいな~。」

さっそく動画の再生回数を確認する三人の反応は二手に分かれた。
こんなものかと冷静に見る皐月と要に対象して250回も観てくれていると感動する拓海。

「やっぱりいきなりバーンとはいかないか。」

皐月と拓海が画面から目を離してからも要はじーっと画面をみていた。

「ねぇ皐月~。皐月はコメントって見る方?」

要の唐突な質問に皐月はキョトンとしながらも首を横に振った。
何か変なコメントがあったのかと心配と興味で皐月は要がみている画面を横から覗きこむ。

「今度からはちゃんとみてあげよ~。めっちゃアドバイスくれてるよ~。」

そこには皐月への応援やアドバイス、愛ある酷評と一部の中傷が書かれていた。
皐月は中傷に怯え今までコメントは見てこなかったが今それを凄く後悔した。
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