私のドラゴンライフ

聖 りんご

文字の大きさ
上 下
12 / 23

薬か毒か

しおりを挟む
「琥珀さん大丈夫ですか?」

「ゔ~ん…お腹痛いよ~。」

マリアは今、琥珀の家に来ていた。
翠が琥珀の体調が悪そうだとマリアの元に来たので翠と琥珀の家に来てみると、お腹を押さえてぐったりしていたのだ。

「琥珀さん昨日何を食べたか覚えてますか?」

「ゔ~ん分かんない…。昨日は翠が食べてたのと同じのしか……。」

「翠さんが食べてたもの?翠さん心当たりはありますか?」

翠は昨日の事を唸りながら思い出していたが全く覚えがない。むしろ一緒の物を食べているなら自分だって体調が悪くなっているはずなのにピンピンしている。

「翠さん昨日行った場所に案内してくれますか?」

「分かった!!」

翠はマリアを乗せると超特急で飛び出した。

まず来たのは大きな川だった。
結構な激流で落ちたら直ぐに流されてしまいそうだ。
翠はマリアを一旦降ろすと川に入って魚を取った。

「コレ昨日食べたんだ!」

「ん~山女魚ですか…あまり関係無さそうですね。」

翠はションボリしながら川に魚を戻すとまたマリアを乗せて飛び立つ。次に来たのは色とりどりの花が咲き誇る花畑だった。一見何も食べるような物は無いように見えるが、翠はマリアを降ろすと花畑にある黄色い花を詰んだ。

「この花食べれるんだ!昨日も食べてた!!」

「これは……ニッコウキスゲですね。これも関係ないと思います。」

残念そうにする翠を撫でて次に行こうとマリアが声をかけると翠はマリアを乗せて次の場所に向かった。次に来たのは森にあるリンゴの木だった。真っ赤なリンゴが幾つもなっており甘い匂いがしている。

「このリンゴも食べたんだ。」

マリアは沢山実っているリンゴの木をじっと眺める。
すると、中に葉っぱの形が異なる木がある事に気づいた。

「あ…たぶん原因はコレですね。リンゴの木の隣、偽リンゴの木が生えてます。」

「偽リンゴ?何が違うんだ??」

「偽リンゴの木は葉っぱがリンゴの木よりトゲトゲしています。それ以外の見た目は全く一緒で、間違えて食べると腹痛、嘔吐、目眩等が起こります。」

「怖っ?!どうすれば治るんだ?!」

「偽リンゴを正しい方法で調理しまて食べれば治ります。」

マリアは偽リンゴを幾つか取ると翠と急いで家に戻った。

「まずは鍋を雪解け水で満たして沸騰させます。沸騰したら陳皮等の生薬を入れ暫く煮立たせます。」

「なんだか……鍋の中が闇色……。」

グツグツ煮ていくと鍋から強烈な臭いがし始め翠は堪らず鼻を押さえて転げまわった。

「ぐあっ。臭い!!ダメだマリア、失敗して腐ってる!!」

「いいえ。成功です。」

マリアは鍋に偽リンゴを丸ごと入れて更にグツグツ煮ていく。翠が鼻を押さえ鍋の中を覗くと、リンゴが次第に黒く染まっていく。翠にはそれが薬には思えず、今後リンゴを食べに行くのをやめようと強く誓った。

「そろそろいいですね」

鍋から出されたリンゴは黒光りしており異臭を放っている。マリアはそれを収納し鍋を片付けると急いで琥珀の家に向かった。

あまりの異臭に食べるのを拒む琥珀の愚痴をマリアは力づくてこじ開けリンゴを放り込むと、琥珀は気絶した。
目が覚めると腹痛は治っていたが、二匹のドラゴンがリンゴ恐怖症になり暫くリンゴをみると逃げ出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

迷いの森

聖 りんご
ファンタジー
訳ありさん達は森がお好きで勝手に入ってくる!迷いこんでくる!捨てられてくる! 森の住人プリマからしたら良いおもちゃ。 きちんとお・も・て・な・し致します。 皆でハッピーライフを送りましょう。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...