私のドラゴンライフ

聖 りんご

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紅のコレクション

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翠はとても暇を持て余していた。
いつも構って遊んでいる琥珀は珍しく出かけてしまい、他のドラゴンは歳上すぎて翠とは遊んでくれない。
良くて趣味に付き合わされ、悪くてドラゴンの歴史について延々語られるので翠は迷わずマリアの元に向かった。

「マリア!遊ぼうぜ~!!!」

マリアの家の前で家の中に呼びかけてみる。すると、玄関のドアが開きマリアが鞄を持ってでてきた。

「おはようございます。今日は紅さんのコレクション磨きをする事になっていますが、一緒に来られますか?」

「紅の兄貴のコレクションってアレだろ?金ピカの。」

「光るものがお好きですからね。たくさんあって大変なのでお手伝いに行くのですよ。だから翠さんとは遊べません。」

「え~暇だよ!遊ぼうぜ!!紅の兄貴のコレクションなんて放っておこうぜ!!!」

駄々をこねる翠に少し迷惑だなと感じたマリアは仕方が無いので収納から暇つぶしになりそうな物を三つ出してみた。

一つ目はトランプ。遊び方の本もつけたので翠だけでも他のドラゴンとでも遊べる。
二つ目はパズル。ピースは少なめの初心者向けなので翠でも楽しめると思われる。
三つ目は立体パズルブロック。ブロックには凹凸がついているので様々な形に作り上げる事ができる。サンプル本もつけたので何も出来ないという事はないはずだ。

マリアの出した見慣れない物に翠は興味をしめした。

「コレらは人間の娯楽物の一部です。遊び方の本もありますので挑戦してみて下さい。」

「人間のか!確かに全体的に小さいな。人化してやってみる!!」

翠はドラゴンの姿から 十歳前後の少年の姿になった。
しかし人化に慣れていない為、緑色の髪からは角が出ているし尻尾もある。
身体が小さくなれば問題ないのでマリアは指摘せずに紅の家に向かった。


マリアが紅の家に着くとすでに紅が庭でコレクションを磨いていた。

「おはようございます。」

「おはよう、マリア嬢。今日は手伝い感謝するよ。私は力が強いから繊細な造りのものは難しくてね…これをお願いしたいんだ。」

紅がマリアに渡したのは見覚えのある王冠だった。
王冠は国によって形も違うので見間違う訳が無い。紅が渡した王冠はマリアの出身国のもので間違いなかった。

「コレは…どうされたのですか?」

「空の散歩を楽しんでいた時に人間からの攻撃されまして、とても腹立たしかったのですがマリア嬢が哀しむかと思い指揮していた人間の頭にあった光る物を貰うだけに留めたのですよ。」

「そうなのですね。」

マリアは記憶の中のその人物を思い浮かべた。
短慮で自身の利益しか考えていない器の小さい王で、甘言を吐くものばかりを侍らせる。

「それを身に付けていた者が少し汚らしかったので浄化もしておいて下さい。」

「分かりました。」

マリアは紅の物になった王冠を曇りなく磨き上げた。
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