迷いの森

聖 りんご

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国の大事は魔女と共に

国の大事は休息してから

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アインは不眠症に悩んでいた。
毎晩侍医が不眠症に効く物を持ってくるが効いた試しが無い。

この状況を打破できるであろう魔女は五日経ってもまだ来ない、手紙が届けられたのは確実なのにだ。
もしかしたら来ないのかもしれないと折れそうになる心を叱咤したのも片手では足りない。

すると、そんなアインの元に待ち焦がれた知らせが来た。
アインは走った。
優雅に見えるギリギリのラインで走った。
本当は全力で走りたいところを我慢して応接室へ向かいゴールの扉をみるとノックも忘れて開け放った。
バーンっと大きな音をたて開かれた扉の間からアインは溢れんばかりの笑みで室内に入った。

「魔女様!!!」

望んだ姿はそこには無く、ソファには優雅にお茶を飲むジルが座っていた。
ジルは立ち上がり優雅に挨拶するとアインが焦がれたプリマが来ていない事を伝え、アインの心を完全に折ってしまった。
そのままアインは気絶し、困ったジルはアインをソファに寝かせしばらく読書する事にした。

その後、半刻程でアインは目覚めたが目に光はなく無気力に俯いていた。
ジルは不憫に思いながらも勝手のできない身の上の為プリマの指示に従うのみだった。

『ご無沙汰しております、アイン様。本日は我が主は来ておりませんが、主からの伝言とアイン様のお力になるべく参じました。』

「本当か!!!!!!」

『はい。まずは伝言をお伝えしても宜しいでしょうか。』

『もちろんだ!』 

ジルは窓を開けると口笛で小鳥を一羽呼び寄せ首に札をかけた。
すると小鳥の口からはさえずりでは無くプリマの声がきこえた。

『アイン、久しぶりです。
手紙をありがとう、頼りにしていただけて嬉しかったわ。
けれども私は忙しくて会いには行けそうもないの。
代わりにジルを遣いにやりますのでこき使ってくれて構わないわ。
ジルにはアインのお仕事の手伝いと貴方の父親に関する任務を与えてあるから活用して下さいな。』

プリマの言葉が切れると同時に小鳥の首にかかっていたは札はバラバラになり塵だけが残った。
ジルは小鳥を手に乗せて外へ放し窓をしめるとアインはジルに近すぎる程近寄ってきた。

「任務とは何ですか!何時から働けますか!!」

『そうですね……お疲れのご様子ですので、まずは仕事を減らし休みましょう。指示を下さればその様に動きますよ。』

アインはまるで神にでも祈るかのようにジルに祈りを捧げ、即座に書類の山を持ってきた。
ジルはそれを見る間に処理し、アインを喜ばせ書類仕事が終わるとマッサージをしアインを秒で夢の中に誘った。
アインは不眠症が嘘のように眠り続け、翌朝スッキリした顔で起きクマも消え爽やかな青年に戻っていた。

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