迷いの森

聖 りんご

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踊り子は夢を魅せてもユメヲミナイ

踊り子は幸運の女神に拾われる

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「ミラさん助けていただいてありがとうございます。」

「いいえ。困った時はお互い様ですから。」

森を出たナタリーはまず街で情報収集する為に身なりがしっかりめな人物に声をかけていた。
すると、そんなナタリーを見て子連れが声を掛けてきた。

「何か困り事がお菓子ありですか?」

ナタリーは最初こそ警戒したが、その女性の物腰の柔らかさ、身なりがきちんと整えられている様子から信用してみる事にした。

「私は他国からこちらに来たばかりで、この国について教えていただけると嬉しいです。」

そう伝えると、女性は快く頷き「長話になるので家に来ませんか?」と誘ってきたので、ナタリーは好意に甘えることにした。

「私はナタリー、砂漠に囲まれた国で踊り子をしていました。」

「ナタリーさんですね。私はミラと申します。この子はアランです。
ここはサイロ国の外れの街で、お食事できる場所と宿屋は一箇所ありますが……女性にはオススメできません。
別の街に行く馬車は三日に一回しか出ていません。」

「別の街まで歩くとどれくらいかかりますか?」

「丸一日はかかりますので、今から出ると野営しなければいけません。お困りなら泊まっていかれますか?」

ナタリーはミラの言葉に驚いた。
今さっき会ったばかりの謎の人物を泊めるだなんてナタリーの常識の中には存在しない。

「私の家にはお金になるものなんてありません。それに、私も移り住んできた者ですので大変さは理解できます。」

ミラのその言葉はナタリーの心に素直に入ってきた。
もし、ここで断ると宿屋に行くしかないが、自分にはそんなお金が無いので、ナタリーはミラの家に泊まることにした。

「そうでした。ナタリーさん森には入らないようにして下さいね。」

「え?」

「この森は【迷いの森】と呼ばれる立ち入り禁止区域です。中には魔女様が住んでいらっしゃるのです。」

ミラのその言葉にナタリーは素直に森からきた事を話すか悩んだ。
もし、この街の住民にとって魔女と会った事が特別な事だとしたら自分の身に何があるか分からない。
ナタリーは森からきた事は言わずミラに尋ねた。

「ミラさんは魔女様を見たことがあるのですか?」

ナタリーのその質問にミラは笑顔で「魔女様は私の恩人です。」と答えた。
その顔をみてナタリーはミラが魔女にきちんと会った事があると判断した。

「実は…私、森から来たのです。」

ミラは一瞬驚いた顔をしたが、ナタリーの気まずそうな顔に「大丈夫ですよ」と優しい笑顔をナタリーにむけた。

「少し、私のお話をしても良いでしょうか。」

「ええ、聞かせてください。」
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