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逃亡者は国王陛下
逃亡者は新天地の洗礼を受ける
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王が簡易な契約書にサインを書くと、いきなり目の前に50㎝は有りそうな本が現れた。
何もしていないのに開かれた本からは光が発せられ、その光が眩しくて王は眼をとじた。
次に眼を開けた時、景色は先程までと一変していた。
塵一つない豪華な室は古びた家具が並び少しホコリっぽい室に変わっていた。
戸惑う王は辺りを見回した。
すると魔女と従者は居なくなり、変わりに少し草臥れた格好をした老人がいた。
「ようこそ漆黒の世界へ。ここは漆黒の館、この世界の入り口です。詳しい説明をしますからそこに座ってください。」
王は少し嫌悪感を覚えたが、漆黒の世界も漆黒の館もわからないので老人に言われるまま目の前のソファに座って話をきく事にした。
しかし、老人にきいた話はとても信じられる内容では無かった。
まず初めにされた話は自分の体についてだった。
この世界では15歳からのスタートになるそうで私は今30歳だったはずなのに15歳まで若返っているという。
確かに自身の身体を確認すると肌がちがう。
サイズ感もやや小さい気がする。
次に性別は人によっては変わる事があるそうだが、幸運にも私は変わらなかったようだ。
名前は好きなものを名乗れと言うので自分の国の名前【テンダム】とした。
自身の状態を確認した後はこの世界の説明をきいた。
この世界は漆黒という名前しかなく他国の存在もなく、
この世界に転送されて最初に来るこの館は漆黒の館といい、老人が管理をしているらしい。
漆黒の館では転送されてきた者に最低限の説明をし、地図と当面の資金で金貨2枚を渡すのみだと言う。
「金が少なすぎる!もっとだせ!!私はテンダム国の王だぞ!」
「貴方は王様だったかもしれないが、ここに来たら只の民だ。貴方に権力はもうない事を理解しないとここでは生きていけない。」
「うるさいっ!四の五の言わず金を渡せ!」
「話が通じませんな。管理人権限により強制退館させます。最後に、きちんとお金は隠し持つ事をオススメします。」
老人がそう言うといきなり目の前の光景が歪み元に戻る頃にはテンダムは地面に座っていた。
「くそ。あの老人、俺を誰だと思ってるんだ!」
テンダムは悪態をつきながら立ち上がると、金の入った袋を確認した。
老人が言った通り金貨2枚が入っていた。
スリ対策で一枚は下着の中に入れもう一枚は袋に入れたままポケットに突っ込んだ。
そして今度は地図を開きながら辺りを見渡し、自分の位置を確認すると街まで歩き始めた。
街に着くと門番が二人おり、身分証の無い者は街に入るのに銀貨2枚が必要だと言った。
テンダムは門番に怒鳴りそうになったが、他に国の無いこの世界で騒ぎを起こすのは不味いと冷静になり、仕方なく金貨1枚を出し釣りをもらった。
街に入るとそこそこの活気はあったが雰囲気はあまり良くなかった。
大人たちは疲れた顔をした者が多く、子供たちは元気に走り回らずに花を売ったり靴を磨いたりしている。
道の端には汚い格好をした者が座り込みとても幸せな人生が送れる雰囲気ではない。
「あの魔女め…騙したな!」
テンダムは地図を確認すると足早に街から出て漆黒の館を目指した。
今のテンダムの中にあるのはプリマへの激しい怒り。
門番は街に戻るよう止めたが聞く耳をもたなかった。
そして後少しで漆黒の館に着こうというところでテンダムは野党に囲まれた。
数は5人。どうあっても勝てはしない人数だが目的は金だけだろう。
テンダムは潔く抵抗はしなかった。
「金なら置いていく。命は助けてくれ。」
そう言うと金の入った袋を地面に置き両手をあげた。
一方その頃、プリマの元には客人が一人きていた。
その男はプリマに丁寧に頭を下げて懇願した。
「どうか、テンダム国王を御返しください。」
何もしていないのに開かれた本からは光が発せられ、その光が眩しくて王は眼をとじた。
次に眼を開けた時、景色は先程までと一変していた。
塵一つない豪華な室は古びた家具が並び少しホコリっぽい室に変わっていた。
戸惑う王は辺りを見回した。
すると魔女と従者は居なくなり、変わりに少し草臥れた格好をした老人がいた。
「ようこそ漆黒の世界へ。ここは漆黒の館、この世界の入り口です。詳しい説明をしますからそこに座ってください。」
王は少し嫌悪感を覚えたが、漆黒の世界も漆黒の館もわからないので老人に言われるまま目の前のソファに座って話をきく事にした。
しかし、老人にきいた話はとても信じられる内容では無かった。
まず初めにされた話は自分の体についてだった。
この世界では15歳からのスタートになるそうで私は今30歳だったはずなのに15歳まで若返っているという。
確かに自身の身体を確認すると肌がちがう。
サイズ感もやや小さい気がする。
次に性別は人によっては変わる事があるそうだが、幸運にも私は変わらなかったようだ。
名前は好きなものを名乗れと言うので自分の国の名前【テンダム】とした。
自身の状態を確認した後はこの世界の説明をきいた。
この世界は漆黒という名前しかなく他国の存在もなく、
この世界に転送されて最初に来るこの館は漆黒の館といい、老人が管理をしているらしい。
漆黒の館では転送されてきた者に最低限の説明をし、地図と当面の資金で金貨2枚を渡すのみだと言う。
「金が少なすぎる!もっとだせ!!私はテンダム国の王だぞ!」
「貴方は王様だったかもしれないが、ここに来たら只の民だ。貴方に権力はもうない事を理解しないとここでは生きていけない。」
「うるさいっ!四の五の言わず金を渡せ!」
「話が通じませんな。管理人権限により強制退館させます。最後に、きちんとお金は隠し持つ事をオススメします。」
老人がそう言うといきなり目の前の光景が歪み元に戻る頃にはテンダムは地面に座っていた。
「くそ。あの老人、俺を誰だと思ってるんだ!」
テンダムは悪態をつきながら立ち上がると、金の入った袋を確認した。
老人が言った通り金貨2枚が入っていた。
スリ対策で一枚は下着の中に入れもう一枚は袋に入れたままポケットに突っ込んだ。
そして今度は地図を開きながら辺りを見渡し、自分の位置を確認すると街まで歩き始めた。
街に着くと門番が二人おり、身分証の無い者は街に入るのに銀貨2枚が必要だと言った。
テンダムは門番に怒鳴りそうになったが、他に国の無いこの世界で騒ぎを起こすのは不味いと冷静になり、仕方なく金貨1枚を出し釣りをもらった。
街に入るとそこそこの活気はあったが雰囲気はあまり良くなかった。
大人たちは疲れた顔をした者が多く、子供たちは元気に走り回らずに花を売ったり靴を磨いたりしている。
道の端には汚い格好をした者が座り込みとても幸せな人生が送れる雰囲気ではない。
「あの魔女め…騙したな!」
テンダムは地図を確認すると足早に街から出て漆黒の館を目指した。
今のテンダムの中にあるのはプリマへの激しい怒り。
門番は街に戻るよう止めたが聞く耳をもたなかった。
そして後少しで漆黒の館に着こうというところでテンダムは野党に囲まれた。
数は5人。どうあっても勝てはしない人数だが目的は金だけだろう。
テンダムは潔く抵抗はしなかった。
「金なら置いていく。命は助けてくれ。」
そう言うと金の入った袋を地面に置き両手をあげた。
一方その頃、プリマの元には客人が一人きていた。
その男はプリマに丁寧に頭を下げて懇願した。
「どうか、テンダム国王を御返しください。」
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