2 / 48
捨てられた少女
捨てられた少女
しおりを挟む
目の前が怒りで真っ赤に染まった。
しかし何もできないようにされて吐き出すことができなかった。
信じられない裏切りだった。
私の居場所が無くなった家…サロンで談笑する主たちの声を私は忘れる事はないだろう。
出ていく私なんて一欠片も気にされない。
玄関の扉を開けた。
空は雲ひとつない晴天なのに私の心にその暖かさは届かない。
歩き始めた。
見送りしてくれる使用人さえいない
私自身望んではいないけれど…
門番も置物のように私を無視する
広場に出るといつもと何も変わらない騒がしさに少し複雑な気持ちになる
広場のベンチに座ると少し肩の力が抜けて気持ちが前に向いた。
これからの事なんて何も決まってない。
だけど、何としても生きると強く思ったらベンチから自然と立ち上がった。
今まで行ったことのない方角へ歩きだした。
知らない景色になっていく…
小さな家ばかりになり整備されたレンガの道が土になる。
家がまばらになり整備されていないゴツゴツした道になった。
しばらくすると履いていた靴のヒールが片方取れてしまったが、替えの靴もないのでもう片方の靴のヒール部分を壊してそのまま歩き始めた。
周りが少し寂れてきた頃、太陽も傾いてきたので夜を過ごす場所を探す事にした。
しかし、宿に泊まるお金もないし路上は強姦や人攫いが怖い。
どうするか悩んでいると立ち入り禁止の立て札がある森が目に入った。
ここしかないと思い人目を気にしながら立ち入った森は今のところ危険なようには思えない。
けれど、しばらく歩いてみたが良い場所には巡り会えず
そうしている内に身体のエネルギーが切れたのか地面の揺れる感覚と共に倒れこんでしまった。
食べ物を調達しなかった自分に後悔しかない。
疲れきっているからか土の上なのに激しい睡魔が襲ってきたが何だかもうどうでも良くて意識を手放してしまった。
微かな足音を聞いた気がした…
『ごはん…』
空腹で倒れた私は美味しそうな匂いで覚醒した。
眼を開けると見慣れない天井がある。
そういえば今私はフカフカのお布団に包まれている。
頭が急速に覚醒していき勢いよく起き上がった。
辺りを見渡すがどこを見ても一級品の家具、絨毯、カーテン…貴族の寝室にしかみえない
たった今まで私が寝かされていたであろうフカフカのベッドも高そうだ。
『私…売られた…?いや。拐われた…?』
(コンコン)
ドアがノックされて身なりの良い青年が入ってきた。
「気が付きましたか」
『あの…』
「まずはスープでもどうぞ。私は主人を呼んでまいります」
そう言うと青年はドアを閉めて立ち去った。
主人を呼びに行くと言っていたからには彼は執事か従僕なのだろう。
問題は呼びに言った主人の方だ。
きっと油ギッシュでボヨンボヨンの変態が来るに違いない。
逃げなくては行けないが、とりあえずお腹が空いているのでスープを飲む事にした。
スプーンを取り、いざ飲もうとした瞬間、またドアがノックされた。
溜め息と共につい『はやくない…』と呟いてしまった。
しかしドアを開けて入って来た人物を見て私は持っていたスプーンを落としてしまった。
変態親父が入ってくるはずのドアから入って来たのは輝く美貌の女性だった。
視線を外す事も動く事もできずにただ『綺麗』とだけが私から発せられた。
「まぁ。素直な子は大好きよ。」
「私はプリマ。この館の主よ。あなたを助けたのはジル。私の執事みたいなものよ。
あなた、道で倒れていたみたい。偶然見つけたジルがここに連れてきたの。」
プリマが話始めてやっと意識が自分にかえってきた。
『あの…助けていただき、ありがとうございます。』
慌ててジルへのお礼を述べると軽く会釈してくれた。
『私はミラと申します。私のような者にこんな手厚くお世話していただいてありがとうございます。あの…早々に立ち去りますので…』
「あら、お気になさらないで。まだ休んでいた方が良いわ。それに外は真っ暗よ?女の子を一人で放り出せないわ。それに…」
彼女の視線が私の顔からお腹に移ったので私は自身のお腹をみる。
するとそれが合図だったかのようにお腹が鳴いたので、私は顔を真っ赤にしうつ向いた。
「今から丁度夕食なの。一緒にいかが?」
しかし何もできないようにされて吐き出すことができなかった。
信じられない裏切りだった。
私の居場所が無くなった家…サロンで談笑する主たちの声を私は忘れる事はないだろう。
出ていく私なんて一欠片も気にされない。
玄関の扉を開けた。
空は雲ひとつない晴天なのに私の心にその暖かさは届かない。
歩き始めた。
見送りしてくれる使用人さえいない
私自身望んではいないけれど…
門番も置物のように私を無視する
広場に出るといつもと何も変わらない騒がしさに少し複雑な気持ちになる
広場のベンチに座ると少し肩の力が抜けて気持ちが前に向いた。
これからの事なんて何も決まってない。
だけど、何としても生きると強く思ったらベンチから自然と立ち上がった。
今まで行ったことのない方角へ歩きだした。
知らない景色になっていく…
小さな家ばかりになり整備されたレンガの道が土になる。
家がまばらになり整備されていないゴツゴツした道になった。
しばらくすると履いていた靴のヒールが片方取れてしまったが、替えの靴もないのでもう片方の靴のヒール部分を壊してそのまま歩き始めた。
周りが少し寂れてきた頃、太陽も傾いてきたので夜を過ごす場所を探す事にした。
しかし、宿に泊まるお金もないし路上は強姦や人攫いが怖い。
どうするか悩んでいると立ち入り禁止の立て札がある森が目に入った。
ここしかないと思い人目を気にしながら立ち入った森は今のところ危険なようには思えない。
けれど、しばらく歩いてみたが良い場所には巡り会えず
そうしている内に身体のエネルギーが切れたのか地面の揺れる感覚と共に倒れこんでしまった。
食べ物を調達しなかった自分に後悔しかない。
疲れきっているからか土の上なのに激しい睡魔が襲ってきたが何だかもうどうでも良くて意識を手放してしまった。
微かな足音を聞いた気がした…
『ごはん…』
空腹で倒れた私は美味しそうな匂いで覚醒した。
眼を開けると見慣れない天井がある。
そういえば今私はフカフカのお布団に包まれている。
頭が急速に覚醒していき勢いよく起き上がった。
辺りを見渡すがどこを見ても一級品の家具、絨毯、カーテン…貴族の寝室にしかみえない
たった今まで私が寝かされていたであろうフカフカのベッドも高そうだ。
『私…売られた…?いや。拐われた…?』
(コンコン)
ドアがノックされて身なりの良い青年が入ってきた。
「気が付きましたか」
『あの…』
「まずはスープでもどうぞ。私は主人を呼んでまいります」
そう言うと青年はドアを閉めて立ち去った。
主人を呼びに行くと言っていたからには彼は執事か従僕なのだろう。
問題は呼びに言った主人の方だ。
きっと油ギッシュでボヨンボヨンの変態が来るに違いない。
逃げなくては行けないが、とりあえずお腹が空いているのでスープを飲む事にした。
スプーンを取り、いざ飲もうとした瞬間、またドアがノックされた。
溜め息と共につい『はやくない…』と呟いてしまった。
しかしドアを開けて入って来た人物を見て私は持っていたスプーンを落としてしまった。
変態親父が入ってくるはずのドアから入って来たのは輝く美貌の女性だった。
視線を外す事も動く事もできずにただ『綺麗』とだけが私から発せられた。
「まぁ。素直な子は大好きよ。」
「私はプリマ。この館の主よ。あなたを助けたのはジル。私の執事みたいなものよ。
あなた、道で倒れていたみたい。偶然見つけたジルがここに連れてきたの。」
プリマが話始めてやっと意識が自分にかえってきた。
『あの…助けていただき、ありがとうございます。』
慌ててジルへのお礼を述べると軽く会釈してくれた。
『私はミラと申します。私のような者にこんな手厚くお世話していただいてありがとうございます。あの…早々に立ち去りますので…』
「あら、お気になさらないで。まだ休んでいた方が良いわ。それに外は真っ暗よ?女の子を一人で放り出せないわ。それに…」
彼女の視線が私の顔からお腹に移ったので私は自身のお腹をみる。
するとそれが合図だったかのようにお腹が鳴いたので、私は顔を真っ赤にしうつ向いた。
「今から丁度夕食なの。一緒にいかが?」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

地球に落ちたのは異惑星の(元)神様でした!
涼月あん
ファンタジー
※登場人物の会話が多い物語です。ご注意ください。
自星の惑星の消滅で地球にやって来たギリリッシア神達。流星となり地球に衝突!あわや地球まで消滅する事態を回避したが、神力がなくなり、力のない神に成り下がってしまった。
地球の神は神力を復活させて、仲間になるよう提案してきたが⋯。
否!神様辞めました!なので今日からマッタリ生きます。神生から人生へ⋯すべての世界が変わってしまった彼らだが、今日もマイペースに突き進む。
ギリリッシア家は全員仲良し!そして⋯神様だろうが、人間だろうが関係なく⋯困っている者を見ると見放す事ができない性分⋯【ほっとけない症候群】なのだ!
神宿島の小さなエリアで起こる⋯人々の問題に!神々のお願い事に!巻き込まれながら、スキル(すこしだけの神力)を使って問題解決?
ギリリッシア家の人々の涙あり?笑いあり!ハチャメチャコメディが炸裂??
旧題:地球に落ちたのは異惑星の(元)神様でした!〜神様やめて自由気ままにエンジョイライフ始めます〜
(タイトルを短くしました)

私のドラゴンライフ
聖 りんご
ファンタジー
私、マリアのお仕事はドラゴン達のお世話をする事です。
掃除、食事、お風呂の手伝い、ケンカの仲裁も私のお仕事。
ドラゴンってとても可愛いのに皆怖がるから不思議です。
※水曜日更新になります。

とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~
夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。
全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。
適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。
パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。
全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。
ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。
パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。
突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。
ロイドのステータスはオール25。
彼にはユニークスキルが備わっていた。
ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。
ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。
LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。
不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす
最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも?
【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる