リンバース公爵領の教会で

聖 りんご

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姉弟の母親(中編)

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「クララさんは公爵家にお勤めですから私からお手紙を出しましょう。お返事が来るまでどうぞリンデルさんとお寛ぎ下さい。」

司祭はクララに手紙を出すために席を立ちました。
その際コソッとリンデルにクララとの事を報告するように促しましたが、リンデルは暗い顔をしていました。

「ご親切にありがとうございます。」

ハミエルは先程の事が嘘のように優雅にお茶を飲んでいました。

司祭は退室すると自身の書斎に向かい手紙を書きました。
簡単にハミエルが来てリンデルと話をしている事をしたためすぐに持って行かせます。
応接室に戻る前に心の準備をし、司祭はゆっくり応接室にもどりました。

しかし、応接室に戻るともぬけの殻で二人ともいません。
不思議に思いながら窓から庭を覗くと、ハミエルとリンデルが剣を混じえていました。

それを見た司祭の頭の中では、リンデルがクララとの事を伝えハミエルが激怒する流れが浮かび慌てて庭に向かいました。
庭に着くと窓から見た時より激しく剣を混じえていました。

ハミエルは婦人服のままなのにも関わらず空を舞いリンデルを翻弄しています。
不思議な事にその衣服に乱れはなく美しくダンスでもしているかの様でした。
リンデルはハミエルの攻撃を防ぐので手いっぱいの様子で自身から攻撃に出られないようでした。

「お二人共、ここは教会ですので撃ち合いは困ります!」

司祭は少し距離を取り巻き込まれないような位置から叫びましたが、二人の耳には届いていないようでした。
どうした物かと司祭が手をこまねいていると、孤児院の方から子供たちが庭に飛び出して来ました。

「危ない!!」

司祭は咄嗟に叫びました。
その声はハミエルとリンデルにも届き二人は咄嗟に飛びのきました。

「お前達、飛び出したら危ないでしょう!」

司祭は子供たちを叱りつけて孤児院へ戻るように促すと今度はハミエルとリンデルに向き直りました。

「お二人共、ここは教会です。神の御元でこの様な血を流しかねない事を私は許容できません!しかも、もう少しで子供たちが怪我をするところでした!!」

「「申し訳ございません。」」

二人は大人しく頭を下げ反省しました。

「ハミエルさん、貴女が怒るのも分かります。再婚相手のお嬢様、娘となった方と恋人関係になるなど親としては「待って!」い……」

リンデルは司祭の言葉を遮りましたが少し遅く、大切な部分はきちんと聞こえるかたちとなってしまいました。
司祭はリンデルの顔を見て察し不味いと思いハミエルの顔を見ました。
ハミエルは固まっており、処理が追いつかない様子でリンデルも顔を青くしながら滝のように汗を流していました。
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