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姉弟の母親(前編)
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その日は朝から風が強い日でした。
教会に馬車が横付けされ、中からは金髪ののびた背筋が印象的な女性が出てきました。
司祭は馬車から降りた女性に近付きました。
「おはようございます。マダム、本日はどのような御用向きでしょうか。」
「この教会の方ですか。初めまして、私ハミエル・アンダーソンと申します。こちらに息子のリンデルがお世話になっていると聞き参りました。」
「ああ、リンデルさんのお母様でしたか。まずは中へどうぞ。」
司祭はハミエルを教会の応接室へ通し、お茶を出すとリンデルを呼びに行った。
リンデルは孤児院の子供の世話をしており、ハミエルの来訪を伝えると顔を真っ青にした。
「司祭様、実は俺…クララとの関係をまだ報告してないんだ。」
二人が付き合い初めて三ヶ月程は経っていました。
リンデルはガタガタと震え緊張した様子で司祭はとりあえずリンデルを応接室へ引っ張って行きました。
ノックをして部屋に入ると、ハミエルさんは綺麗な所作でお茶を飲んでいました。
「遅くなりました。リンデルさんをお連れしました。」
司祭がそう声をかけた瞬間、ハミエルは信じられない速さで動きリンデルの目の前まで到達すると回し蹴りを繰り出しました。
リンデルはそれをギリギリのところで防御しますが廊下までぶっ飛ばされます。
「リ、リンデルさん?!」
司祭は目の前で起こった事に驚きすぎて頭の中で処理が追いつきません。
「リンデル、鈍りましたね。貴方鍛錬を怠っていますね?」
「いきなり襲いかかって来る事はないでしょう。母さん…しかも部屋の中ですよ。」
「お黙りなさい。いついかなる時も備えなさいと教えたはずです。」
司祭はとりあえず二人を宥め、応接セットに座りました。
「お恥ずかしい姿をみせました。」
リンデルは司祭に頭を下げます。
司祭は気にしていない事をアピールする為に思い切り首を横に振りました。
「面白い方ですね。改めまして、リンデルがお世話になっておりますおります。」
「い、いえこちらこそ、リンデルさんには教会の手伝いもしていただき大助かりです。」
「そのように言っていただけて安心しました。しかし、あのような鈍らではやはりご迷惑をかけますので鍛え直さなければなりませんね。」
「司祭様、母は元騎士団の隊長をしておりまして…」
「あ、ああ!そうなのですね!通りでお強いはずです。先程の動きなんて私は眼で追えませんでした。」
「お恥ずかしいですわ。あのような鈍った技をみせてしまいまして。」
司祭は心の中でそんな事ないと全力で叫びました。
「して、本日はリンデルさんの様子を見に来られたのですか?」
「はい。それと、クララさんが近くで働いているので久しぶりに会いに来ました。」
教会に馬車が横付けされ、中からは金髪ののびた背筋が印象的な女性が出てきました。
司祭は馬車から降りた女性に近付きました。
「おはようございます。マダム、本日はどのような御用向きでしょうか。」
「この教会の方ですか。初めまして、私ハミエル・アンダーソンと申します。こちらに息子のリンデルがお世話になっていると聞き参りました。」
「ああ、リンデルさんのお母様でしたか。まずは中へどうぞ。」
司祭はハミエルを教会の応接室へ通し、お茶を出すとリンデルを呼びに行った。
リンデルは孤児院の子供の世話をしており、ハミエルの来訪を伝えると顔を真っ青にした。
「司祭様、実は俺…クララとの関係をまだ報告してないんだ。」
二人が付き合い初めて三ヶ月程は経っていました。
リンデルはガタガタと震え緊張した様子で司祭はとりあえずリンデルを応接室へ引っ張って行きました。
ノックをして部屋に入ると、ハミエルさんは綺麗な所作でお茶を飲んでいました。
「遅くなりました。リンデルさんをお連れしました。」
司祭がそう声をかけた瞬間、ハミエルは信じられない速さで動きリンデルの目の前まで到達すると回し蹴りを繰り出しました。
リンデルはそれをギリギリのところで防御しますが廊下までぶっ飛ばされます。
「リ、リンデルさん?!」
司祭は目の前で起こった事に驚きすぎて頭の中で処理が追いつきません。
「リンデル、鈍りましたね。貴方鍛錬を怠っていますね?」
「いきなり襲いかかって来る事はないでしょう。母さん…しかも部屋の中ですよ。」
「お黙りなさい。いついかなる時も備えなさいと教えたはずです。」
司祭はとりあえず二人を宥め、応接セットに座りました。
「お恥ずかしい姿をみせました。」
リンデルは司祭に頭を下げます。
司祭は気にしていない事をアピールする為に思い切り首を横に振りました。
「面白い方ですね。改めまして、リンデルがお世話になっておりますおります。」
「い、いえこちらこそ、リンデルさんには教会の手伝いもしていただき大助かりです。」
「そのように言っていただけて安心しました。しかし、あのような鈍らではやはりご迷惑をかけますので鍛え直さなければなりませんね。」
「司祭様、母は元騎士団の隊長をしておりまして…」
「あ、ああ!そうなのですね!通りでお強いはずです。先程の動きなんて私は眼で追えませんでした。」
「お恥ずかしいですわ。あのような鈍った技をみせてしまいまして。」
司祭は心の中でそんな事ないと全力で叫びました。
「して、本日はリンデルさんの様子を見に来られたのですか?」
「はい。それと、クララさんが近くで働いているので久しぶりに会いに来ました。」
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