10 / 17
私の居場所
しおりを挟む
「好きだ、愛してる。カリン無しじゃ生きて行けないんだ。」
ダルはカリンを抱きしめながら消え入りそうな声で呟いた。
その声はカリンの耳に届いてはいたが、カリンの中で反発する心が素直にその言葉を受け止めさせない。
「妹だって言った!」
「うん。」
「くっつくといつも迷惑そうだった!」
「うん。」
「なんで?!ズルいよ!!」
「ごめん、泣かないでくれ。」
「ダルのバカ~!!」
カリンは今度こそダルを振り払って走って部屋を出ていった。
ダルがその場で立ち尽くしていると勢いよくダルの母親が入ってきてダルの両頬を思いっ切り叩いた。
「バカ息子!今追いかけなくてどうすんだい?!早く行っておいでっ!」
そうダルを激励するとダルの背中にもみじ型ができる程強く背中を叩いた。
「い゛っ!!た…い。母さん……言いたいことは色々あるけど、ありがとう行ってくる。」
ダルは走って部屋を出ていく。
ダルの母親はそんなダルの姿をヤレヤレといった様子で見送った。
ダルにはカリンの行先に覚えがあった。
落ち込んだ時、独りになりたい時いつも決まって行くのは教会で、鐘まで登って隅で泣いているのだ。
「やっぱりここにいた。」
「帰って!放っておいてよ…。」
「できるわけないだろ。」
ダルはカリンの隣に座った。
長い、長い沈黙がその場を支配した。
太陽はすっかり高い位置まで出てきている。
「私、ずっとダルの事が好きでどうしたら私を好きになってくれるんだろうってずっと…ずっと考えてた。」
「怖かったんだ…カリンがいなくなるのが。
だからずっと気づかないフリをしてたんだと思う。
昨日、カリンが気持ちをぶつけてくれた時、このままだとカリンが離れていくと思って怖かった。
そこでやっと自覚した…ごめん。」
「遅いよ…私がどれだけ傷ついたかわかってる!!」
「ごめん…何でもするから許して欲しい。」
「本当に……?」
「ああ。」
「じゃあ…私をダルのお嫁さんにして下さい。絶対に離れないで。」
カリンは立ち上がりダルに軽くキスしが、ダルは離れようとしたカリンを引き寄せて深いキスをし抱き寄せた。
「ありがとう…。」
二人で手を繋ぎダルの家に帰ると互いの両親が揃っていた。
「カリン…カリンがついに…」
「「私達の勝利だわね。」」
「……どういう事だ?」
二人の母親がカリンとダルに近づくとカリンに鍵を渡した。
「はい。戦利品!」
「やった~!おば様、お母さんありがとう!!」
「なんの鍵だ?全く分からん。」
話はぶどう酒祭りの前日に遡る……。
ダルはカリンを抱きしめながら消え入りそうな声で呟いた。
その声はカリンの耳に届いてはいたが、カリンの中で反発する心が素直にその言葉を受け止めさせない。
「妹だって言った!」
「うん。」
「くっつくといつも迷惑そうだった!」
「うん。」
「なんで?!ズルいよ!!」
「ごめん、泣かないでくれ。」
「ダルのバカ~!!」
カリンは今度こそダルを振り払って走って部屋を出ていった。
ダルがその場で立ち尽くしていると勢いよくダルの母親が入ってきてダルの両頬を思いっ切り叩いた。
「バカ息子!今追いかけなくてどうすんだい?!早く行っておいでっ!」
そうダルを激励するとダルの背中にもみじ型ができる程強く背中を叩いた。
「い゛っ!!た…い。母さん……言いたいことは色々あるけど、ありがとう行ってくる。」
ダルは走って部屋を出ていく。
ダルの母親はそんなダルの姿をヤレヤレといった様子で見送った。
ダルにはカリンの行先に覚えがあった。
落ち込んだ時、独りになりたい時いつも決まって行くのは教会で、鐘まで登って隅で泣いているのだ。
「やっぱりここにいた。」
「帰って!放っておいてよ…。」
「できるわけないだろ。」
ダルはカリンの隣に座った。
長い、長い沈黙がその場を支配した。
太陽はすっかり高い位置まで出てきている。
「私、ずっとダルの事が好きでどうしたら私を好きになってくれるんだろうってずっと…ずっと考えてた。」
「怖かったんだ…カリンがいなくなるのが。
だからずっと気づかないフリをしてたんだと思う。
昨日、カリンが気持ちをぶつけてくれた時、このままだとカリンが離れていくと思って怖かった。
そこでやっと自覚した…ごめん。」
「遅いよ…私がどれだけ傷ついたかわかってる!!」
「ごめん…何でもするから許して欲しい。」
「本当に……?」
「ああ。」
「じゃあ…私をダルのお嫁さんにして下さい。絶対に離れないで。」
カリンは立ち上がりダルに軽くキスしが、ダルは離れようとしたカリンを引き寄せて深いキスをし抱き寄せた。
「ありがとう…。」
二人で手を繋ぎダルの家に帰ると互いの両親が揃っていた。
「カリン…カリンがついに…」
「「私達の勝利だわね。」」
「……どういう事だ?」
二人の母親がカリンとダルに近づくとカリンに鍵を渡した。
「はい。戦利品!」
「やった~!おば様、お母さんありがとう!!」
「なんの鍵だ?全く分からん。」
話はぶどう酒祭りの前日に遡る……。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
すべてフィクションです。読んでくだり感謝いたします。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
無表情いとこの隠れた欲望
春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。
小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。
緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。
それから雪哉の態度が変わり――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫
梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。
それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。
飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!?
※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。
★他サイトからの転載てす★
(R18)灰かぶり姫の公爵夫人の華麗なる変身
青空一夏
恋愛
Hotランキング16位までいった作品です。
レイラは灰色の髪と目の痩せぎすな背ばかり高い少女だった。
13歳になった日に、レイモンド公爵から突然、プロポーズされた。
その理由は奇妙なものだった。
幼い頃に飼っていたシャム猫に似ているから‥‥
レイラは社交界でもばかにされ、不釣り合いだと噂された。
せめて、旦那様に人間としてみてほしい!
レイラは隣国にある寄宿舎付きの貴族学校に留学し、洗練された淑女を目指すのだった。
☆マーク性描写あり、苦手な方はとばしてくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる