あなたは私にドキドキしない

聖 りんご

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売りは全面に出すべし

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「リップは淡いピンクで髪はポニーテールにしてうなじを魅せ、オフショルの白いシフォンワンピースは男性好みなはずっ。よし、出来た。」

朝早く、鏡の前で360度完璧な事を確認しカリンは部屋を出た。
行先はダルの家、幼い頃から出入りしていた為カリンが勝手に家に入っても怒られることは無くダルの両親に普通に挨拶しカリンはダルの部屋へ向かった。
静かにドアを開けるとベッドでダルが眠る姿が見えカリンは静かにダルに近づく。

眠るダルの無防備な顔に思わずイタズラしたくなりカリンは鼻をつまんでやろうと手を伸ばした。
すると、眠っていたはずのダルがパシッとカリンの手首を掴みベッドへ押し、半分しか開いてない眼でぼーっとカリンを見詰めた。

「おはよう。ダル。」

「ん~?おはよう…カリン?」

少しずつ意識が覚醒し押し倒した人物がカリンだとようやく認識したダルはカリンを起こし手を離した。
好きな人にいきなり押し倒されたカリンは顔を赤くしていたがダルは無表情で何事もない顔をしていたのでカリンはとても気に入らなかった。

「ダルったら朝から押し倒してくるなんて大胆だな~」

「条件反射だろ。なんで俺の部屋にいるんだよ。(カリンは可愛いな)」

「それは~朝から可愛い私を見れたら幸せでしょ?」

「年頃なんだから男の部屋に勝手に入ってくるなよ。(間違えて襲ったらどうするんだ。)」

「ジルはかたいなぁ。それよりも、今日のカリンちゃんはいかがでしょう。」

カリンはダルの前でクルンと一周まわってみせた。
すると膝丈のスカートがフワッと広がりカリンの太ももまで露にした。
何とか下着は見えなかったもののダルには充分な破壊力で心の中で生足を見ていない事にするのに必死でカリンへの感想が「まあ。悪くない。」と素っ気ないものになってしまった。

それが気に入らなかったカリンは頬を膨らませてダルの右腕に抱きつきながら上目遣いで抗議した。
ダルの右腕をカリンの柔らかな果実が包みそこからカリンの体温が伝わり、ダルの神経を右腕に集中させる。
視覚的にもカリンの潤んだ大きな瞳と谷間に埋もれる自身の腕というコンボがダルを更に責めた。

「朝から勘弁してくれ。(柔らかすぎてどうにかなりそうだ。)妹みたいだからと言ってくっつきすぎだろ。」

ダルはカリンの拘束から逃れるとカリンが置きっ放しにしていたストールをイスの背もたれから取り、フワッと広がるストールがカリンの肩と胸を隠すとダルがカリンの耳元で「他のやつには見せるんじゃないぞ。」と囁いた。
たったそれだけなのにカリンの腰が砕けた。
ダルが出て行きカリンのみになった部屋でカリンは自身の敗北に身を伏していた。

「明日は負けないも~ん」
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