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十
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暫く言い合いを続けたジルとプリマはお互い疲れて黙った。
すると、ジルが突然笑いだした。
「懐かしいですね、まるで昔に戻ったようだ。初めの頃は毎日こんな風に言い合いをして、言葉も今よりずっとフランクで…。」
「そうね。あの頃は私も幼かったし、ジルも全く言う事を聞かないし…落ち着いたわね。」
「貴女が言ったんですよ。こんな恥ずかしい従者はいらないからきちんとしないなら廃棄にしてやると。」
「貴方だって、こんなクソガキじゃなくて美しいレディなら心から敬い従うのにって言ったじゃない。」
昔を懐かしみながら心の中で穏やかさを取り戻したジルとプリマは少し沈黙する。
「プリマ様、これらは何に使うのですか?」
「…貴方の身体を組み替えるのに必要だったのよ。従者としてつくったは良いけれど、その頃の私は未熟で貴方の身体には欠陥が多いわ。確実に私より先に死んでしまう……。だからより私と近い形にして同じくらい生きるようにしたかったの。」
「では、貴女は何を選ばせようとしたのですか? 」
ジルの真剣な眼に見つめられ少し恥ずかしそうなプリマは思いっきり顔をそらす。
「貴方の意思で私の隣にいるか強制的にいさせるしかないでしょう!私はジル無しでは生きていけないのだから。」
プリマが言い終わると同時にジルはプリマの背中から抱きついた。
ジルの体温と香りがプリマを包みまるで沸騰したお湯のようにプリマの体温も急上昇する。
ジルの力は強く、プリマは少し苦しさを感じながらも身動きはしなかった。
「私だって…貴女がいない世界でなんて生きていけません。」
「し、知ってるわ。もう…絶対に私の元から居なくならないで。絶対によ。」
「はい…。もう何があっても離れません。愛してますプリマ様。」
「様は余計よ…。」
少し拗ねた口調で呟いた言葉は幸せを噛みしめるジルには届いていなかった。
それから数日後、ジルはプリマに身体を組み替えてもらった。
儀式自体はすぐに終わったが、身体への負担が大きく寝込む事になった。
「プリマ様にお世話される日が来るなんて…。」
「あら、何か不満があるのかしら?」
「不満はありませんがいたたまれません。……一つお願いがあるのですが…。」
「何かしら。」
「誕生日に従者を作ると言われましたよね。」
「そうね。」
「やはり従者はいりません。」
「貴方は…まだしがみつくつもり?」
「いいえ。貴女のお世話は私の特権です。私以外の者が触れるなんて許容範囲を超えていますから…これからも私がやります。」
プリマは耳を少し赤くしながらも「仕方ないわね。」と呆れた顔をジルに向けた。
FIN
すると、ジルが突然笑いだした。
「懐かしいですね、まるで昔に戻ったようだ。初めの頃は毎日こんな風に言い合いをして、言葉も今よりずっとフランクで…。」
「そうね。あの頃は私も幼かったし、ジルも全く言う事を聞かないし…落ち着いたわね。」
「貴女が言ったんですよ。こんな恥ずかしい従者はいらないからきちんとしないなら廃棄にしてやると。」
「貴方だって、こんなクソガキじゃなくて美しいレディなら心から敬い従うのにって言ったじゃない。」
昔を懐かしみながら心の中で穏やかさを取り戻したジルとプリマは少し沈黙する。
「プリマ様、これらは何に使うのですか?」
「…貴方の身体を組み替えるのに必要だったのよ。従者としてつくったは良いけれど、その頃の私は未熟で貴方の身体には欠陥が多いわ。確実に私より先に死んでしまう……。だからより私と近い形にして同じくらい生きるようにしたかったの。」
「では、貴女は何を選ばせようとしたのですか? 」
ジルの真剣な眼に見つめられ少し恥ずかしそうなプリマは思いっきり顔をそらす。
「貴方の意思で私の隣にいるか強制的にいさせるしかないでしょう!私はジル無しでは生きていけないのだから。」
プリマが言い終わると同時にジルはプリマの背中から抱きついた。
ジルの体温と香りがプリマを包みまるで沸騰したお湯のようにプリマの体温も急上昇する。
ジルの力は強く、プリマは少し苦しさを感じながらも身動きはしなかった。
「私だって…貴女がいない世界でなんて生きていけません。」
「し、知ってるわ。もう…絶対に私の元から居なくならないで。絶対によ。」
「はい…。もう何があっても離れません。愛してますプリマ様。」
「様は余計よ…。」
少し拗ねた口調で呟いた言葉は幸せを噛みしめるジルには届いていなかった。
それから数日後、ジルはプリマに身体を組み替えてもらった。
儀式自体はすぐに終わったが、身体への負担が大きく寝込む事になった。
「プリマ様にお世話される日が来るなんて…。」
「あら、何か不満があるのかしら?」
「不満はありませんがいたたまれません。……一つお願いがあるのですが…。」
「何かしら。」
「誕生日に従者を作ると言われましたよね。」
「そうね。」
「やはり従者はいりません。」
「貴方は…まだしがみつくつもり?」
「いいえ。貴女のお世話は私の特権です。私以外の者が触れるなんて許容範囲を超えていますから…これからも私がやります。」
プリマは耳を少し赤くしながらも「仕方ないわね。」と呆れた顔をジルに向けた。
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