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Special♡Thanks!③~誕生日~
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マックスが十二歳の頃、リリンは凍りついたように冷たい瞳をして笑顔を見せなくなっていた。
リリンの両親も兄も皆ブラウンの瞳と髪を持っておりリリンだけが違った。母親は気味悪がり、父親や兄は暴言を吐いては服で見えない部分をムチで打った。
路上で花を売り、家では針仕事をしながら家族にぞんざいに扱われるリリンをマックスはみていられなかった。
「父様、お願いしたい事があります。」
マックスは二年前から父の許可を得て万事屋という便利屋を始めていた。
名目は市民の暮らしの勉強や貴族のパイプ作りなど様々だったが今ではきちんと利益を出すようになり、マックスは万事屋の利益でリリンの家を借りる許可を父親に願った。
「私情に流されるとは…やはりまだ子供か。」
「父様、私は将来彼女と夫婦になる事を望んでいます。」
「マックス、人間の心は移ろいやす 「父様が母様を見初められたのは十三歳だったとか。」 い。まだ社会にも出ていないお前 「こちら万事屋の収支資料です。立ち上げ当初より黒字のうなぎ登りです。」 には……。彼女の家族は我が家には 「我が家には毒なので更生させます。これがそのプランで無理なら軟禁しましょう。」 ……。」
父親を言い負かしたマックスはすぐさま万事屋の近くの空き部屋を契約し少し整えてからリリンの元に向かった。
いつもの広場に来てみるとリリンは居らず、マックスはリリンの家に行ってみる。すると、しんと静まりかえり中からは何も聞こえてこない。
クズ家族かと思っていたがもしかしたらリリンの誕生日を祝いに外食してるのかもしれない、とマックスは残念に思いながらも出直そうとした。
しかし一応窓から中を覗いてみると、針仕事をするリリンが見えマックスは激高したが何とか抑えた。リリンの家族を今日から更生させる事を誓い、いつも通りを装ってドアをノックするとリリンが出てきた。
「リリン、誕生日おめでとう!」
マックスは笑顔で小さな小箱を差し出した。
「要らないわ。私の誕生日なんてめでたくないもの。」
「リリンの誕生は僕の人生の中で一番尊いよ。」
「貴方の人生って軽薄ね。帰って。」
ドアを閉めようとしたリリンの手を掴んだマックスは笑顔でリリンを引っ張り出した。
「見せたいものがあるんだ!行こう!!」
マックスはリリンの手を掴んだまま走り出した。
リリンは困惑しながら引っ張られるように走り、途中で楽しそうに食事をする知らない家族が目につき俯いた。
「着いたよ。」
「ここは…?」
「僕が用意した君の居場所だよ。」
「…私の…居場所……。」
「リリン、僕は君を愛してるよ。これからもずっと一緒にいたい君が苦しんでるのを見ていたくない!君を傷つける家族から守りたい。」
「嘘よ、信じられないわ。貴方は私を騙している、信じた私を嘲笑いたいのね。性格が悪いわ!」
「僕は性格が悪いよ。だって君の家族に君の苦しみを分からせてやりたくてウズウズしてる。リリン、信じてくれるまで僕は君への愛を伝え続けるよ。
本当は今すぐにでも一緒に暮らしたいけど今はまだ子供すぎて出来ないから毎日ここに通うよ。君の家族はまともになるまで近づけさせないけどいいかな。その分僕と一緒にご飯を食べよう!何気ない会話をしながら一緒の時間を過して…毎日君に贈り物をしたいな!それから…リリン?」
リリンはマックスの言葉に涙が溢れた。
ずっと抑えていた気持ちが解放されるかのように拭っても拭っても涙はとまらない。マックスはそんなリリンを抱き寄せると優しく頭を撫でて耳元で「愛してるよ」と囁いく。
リリンはただ一度、こくりと頷きマックスの暖かさに包まれていた。
泣き疲れてそのまま眠ってしまったリリンをマックスは離すことなく抱いていた。
目を腫らしたリリンを愛おしそうにそっと撫でるとリリンに受け取って貰えなかった小箱を取り出し開封する。
中にはホワイトリリーの髪留めが入っており、マックスはリリンの髪を器用に編み込むと髪留めをつけた。
「あと十一個…一緒に選んでもらおうかな。ごめんね。逃がしてあげられないから。」
リリンの両親も兄も皆ブラウンの瞳と髪を持っておりリリンだけが違った。母親は気味悪がり、父親や兄は暴言を吐いては服で見えない部分をムチで打った。
路上で花を売り、家では針仕事をしながら家族にぞんざいに扱われるリリンをマックスはみていられなかった。
「父様、お願いしたい事があります。」
マックスは二年前から父の許可を得て万事屋という便利屋を始めていた。
名目は市民の暮らしの勉強や貴族のパイプ作りなど様々だったが今ではきちんと利益を出すようになり、マックスは万事屋の利益でリリンの家を借りる許可を父親に願った。
「私情に流されるとは…やはりまだ子供か。」
「父様、私は将来彼女と夫婦になる事を望んでいます。」
「マックス、人間の心は移ろいやす 「父様が母様を見初められたのは十三歳だったとか。」 い。まだ社会にも出ていないお前 「こちら万事屋の収支資料です。立ち上げ当初より黒字のうなぎ登りです。」 には……。彼女の家族は我が家には 「我が家には毒なので更生させます。これがそのプランで無理なら軟禁しましょう。」 ……。」
父親を言い負かしたマックスはすぐさま万事屋の近くの空き部屋を契約し少し整えてからリリンの元に向かった。
いつもの広場に来てみるとリリンは居らず、マックスはリリンの家に行ってみる。すると、しんと静まりかえり中からは何も聞こえてこない。
クズ家族かと思っていたがもしかしたらリリンの誕生日を祝いに外食してるのかもしれない、とマックスは残念に思いながらも出直そうとした。
しかし一応窓から中を覗いてみると、針仕事をするリリンが見えマックスは激高したが何とか抑えた。リリンの家族を今日から更生させる事を誓い、いつも通りを装ってドアをノックするとリリンが出てきた。
「リリン、誕生日おめでとう!」
マックスは笑顔で小さな小箱を差し出した。
「要らないわ。私の誕生日なんてめでたくないもの。」
「リリンの誕生は僕の人生の中で一番尊いよ。」
「貴方の人生って軽薄ね。帰って。」
ドアを閉めようとしたリリンの手を掴んだマックスは笑顔でリリンを引っ張り出した。
「見せたいものがあるんだ!行こう!!」
マックスはリリンの手を掴んだまま走り出した。
リリンは困惑しながら引っ張られるように走り、途中で楽しそうに食事をする知らない家族が目につき俯いた。
「着いたよ。」
「ここは…?」
「僕が用意した君の居場所だよ。」
「…私の…居場所……。」
「リリン、僕は君を愛してるよ。これからもずっと一緒にいたい君が苦しんでるのを見ていたくない!君を傷つける家族から守りたい。」
「嘘よ、信じられないわ。貴方は私を騙している、信じた私を嘲笑いたいのね。性格が悪いわ!」
「僕は性格が悪いよ。だって君の家族に君の苦しみを分からせてやりたくてウズウズしてる。リリン、信じてくれるまで僕は君への愛を伝え続けるよ。
本当は今すぐにでも一緒に暮らしたいけど今はまだ子供すぎて出来ないから毎日ここに通うよ。君の家族はまともになるまで近づけさせないけどいいかな。その分僕と一緒にご飯を食べよう!何気ない会話をしながら一緒の時間を過して…毎日君に贈り物をしたいな!それから…リリン?」
リリンはマックスの言葉に涙が溢れた。
ずっと抑えていた気持ちが解放されるかのように拭っても拭っても涙はとまらない。マックスはそんなリリンを抱き寄せると優しく頭を撫でて耳元で「愛してるよ」と囁いく。
リリンはただ一度、こくりと頷きマックスの暖かさに包まれていた。
泣き疲れてそのまま眠ってしまったリリンをマックスは離すことなく抱いていた。
目を腫らしたリリンを愛おしそうにそっと撫でるとリリンに受け取って貰えなかった小箱を取り出し開封する。
中にはホワイトリリーの髪留めが入っており、マックスはリリンの髪を器用に編み込むと髪留めをつけた。
「あと十一個…一緒に選んでもらおうかな。ごめんね。逃がしてあげられないから。」
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