呪われた口は塞ぐが早い

聖 りんご

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思い出の花

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リリンはどうやら眠ってしまっていたようでベッドから身体を起こすと太陽の位置が少し低くなっていた。
お昼ご飯も食べずに部屋に篭ってしまったので少しお腹が空いている。物音がしないのでマックスは出かけているのであろう。

(私を放って…出かけたのね……。)

リリンはマックスへの評価を更に下げて何か食べようと部屋のドアを開けた。すると、目の前には白い花が溢れ甘い香りが広がった。
マックスは出かけたと思っていたリリンは驚いた。
全く気配がしなかったのにドアの前には膝まづきながら花束を差し出すマックスが居たのだ。一体何時からこの格好でいたのだろう…ささくれ立った心が少しだけ和らぐのを感じた。

「ホワイトリリー……。」

それはリリンの一番好きな花でマックスが告白の時にリリンに渡した花でもあった。

「リリン…君を傷つけてしまってごめんよ。僕は君との新婚の様な生活が嬉しくって舞い上がってたんだ。どうかもう一度、君の隣に並ぶチャンスを下さい。」

「マックス…私が貴方を嫌いになれる訳が無いわ…。覚えてる?五年前の私の誕生日の事。」

「リリンとの思い出を僕が忘れる訳無いじゃないか。君は誕生日なのに誰もいない家で何でもない日のように針子の仕事をしていて、とても寂しそうだった。」

「家族は私の誕生日なんて忘れて出かけたのに、マックスだけがおめでとうってプレゼントをくれたの。あの時から私は貴方だけには素直になれるようになったわ。…怒ったりしてごめんなさい。愛してるわ、マックス。」

マックスは立ち上がりリリンを強く抱き締めた。
もう二度とリリンを悲しませないと心に誓い、強く強く抱き締める。

「……マックス、流石に痛いわ。」

「ごめん、つい…。」

腕を緩めるとリリンはマックスの頬に唇を落した。
リリンの予期せぬ行動にマックスは嬉しさと愛おしさでいっぱいになりリリンの足を持ち上げると、その唇に口付けテレれるリリンを見詰める。

「おかえり僕のプリンセス。」

その後、再び甘いひと時を過ごした二人だったがまたもやドアをノックする音に邪魔をされた。

「マックスさ~ん!お手紙ですよ~!急ぎのお手紙ですよ~!!マックスさ~ん!!」

「……マックス。」

マックスはとても不機嫌そうに玄関に向かうと手紙を受け取り直ぐにリリンの元へと戻った。

「読まなくていいの?」

「リリン以上に優先する事なんてないさ。」

「でも……。」

手紙を気にするリリンに仕方なく開封する事にしたマックスは封を切り中を読む。内容はやはり厄介なものだったが、それを全く表情に出さずに再びリリンを優先した。


FIN

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