婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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何事もない二年生

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早いものでもうすぐ私は三年生になります。
一年生の時は色々あって忙しない日々でしたが、二年生は音楽祭以降はとても平和な日常を送り、明日からまた進級試験です。


試験一日目は座学の試験、二日目にダンスと芸術とシューティングの試験、三日目に学年全体で下克上鬼ごっことなっています。
下克上鬼ごっこは皆が胸に自身の順位が書かれたプレートをつけ奪い合うもので、順位に関係なく取って一点、上の順位で100点、死守して50点、ただし、50位以上上の者のプレートは加点500点、上位5位までは死守すれば500点となっています。

制限時間は朝の授業開始チャイムから昼休みのチャイムまで。
作戦が大切です。


試験一日目と二日目はとてもスムーズで今年もリリアン様の腕前が光っていました。
クラゲの魔獣、ではなくて猫がジャレている絵だっだようです。
芸術って難しい……。

そして本日、三日目の朝、開始はそれぞれの教室からになります。
皆が緊張した顔をしている中、開始のチャイムが鳴ると、Sクラスの皆は教室では争わずに一斉に廊下へダッシュしました。
教室に残されたのは両殿下とリリアン様と私だけ。

「やはり皆出て行ってしまったか。」

「まあ定石ですわね。」

「お茶でもしましょうか。」

結局、私たちは教室からは出ずに優雅にお茶会をしていました。
たまに私たちを狙う者が来たので名前を呼ばれた人が対処するようにしていきましたが、○○○○ホイホイというのはこんな感じなのかもしれません。

平和に終わった進級試験は私たちの順位は変わりませんでしたが、レティ様が25位で三年生からSクラスにはいることになりました。
これはとても喜ばしくて、私はさっそくお茶会に誘い両殿下とリリアン様にレティ様を紹介しました。

「あ……わ、私は、初めて御目にかかります。ロンマー伯爵家のレティシアと申します……」

緊張した面持ちのレティ様は可愛らしくて抱きしめてしまいたくなりました。
皆がレティ様に哀れみの視線を向けていたのは何故か分かりませんが仲間が増えるのはとても嬉しい事です。


「ジゼル、進級おめでとう。進級祝いを用意したんだけど、受け取ってくれないかな。」

ジョシュアは今年も進級祝いのプレゼントをくれました。
箱の中にはまた指輪が入っていて守護の指輪は三連の指輪になりました。

「それはジゼルの五感に関する異常を防ぐものです。眼、耳、鼻、舌、皮膚に異常と判断されたものは無効化されます。毒はこのブレスレットで無効化します。」

そういうとジョシュアは私の左腕にアメジストのブレスレットをつけました。

きっと私は寿命以外では死なないと思います。
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