婚約者の愛は重たい

聖 りんご

文字の大きさ
上 下
26 / 36

Sクラスの守護者

しおりを挟む
「まずは殿下とジゼルの土人形を作ります。」

ジョシュアは私そっくりの土人形を魔法でつくりましたが、シリウス様と私で出来栄えが微妙に違う辺りがジョシュアクオリティだと思いました。

「次にステルスを私たちにかけます。襲撃者たちの前では極力喋らないで下さい。」

ジョシュアは光と水の混合魔法のステルスを発動し私達の姿隠しました。

「てっきり私たちを帰すかと思っていた。」

「二人を帰すと監視がいたらバレます。更に私はジゼルと離れたくないですし、一番安全なのは私の側です。」

「「確かに。」」

私とシリウス様は大人しくジョシュアに従いました。
少しすると足音が聞こえ、扉が開きました。
その人物は小柄。

「ダメヤバ―男爵令嬢?!」
「ヤバメ―ダ男爵令嬢!」

「バーダメヤよ!失礼ね!!ってなんで声が出せるのかしら……」

つい叫んでしまった私とシリウス様は急いで口を塞いだ。

「まあいいわ。久しぶりね!あんた達の所為でホント散々な目にあったわ!!これからたっぷりお礼してあげるから覚悟してなさい。」

それだけを言いたかったのかバーダメヤ元男爵令嬢は笑いながら出て行った。

「これで手引きした人物は分かりましたね。サインの魔法で追跡は可能にしたので少し距離をとって追跡しましょう。」

ジョシュアは扉を少しだけ開くと風魔法で睡眠香を流しました。
すると、扉の向こうで人が倒れる音がし、静かになったのを確認して扉を開けました。
どうやら見張りは四人いたようで仲良く寝ていたので蔓でグルグル巻にするとジョシュアが羨ましそうに見ていたので気のせいにして進みます。

要所に何人か人がいたので同じ要領で進み続けると、立派な扉に行きあたりました。
そっと扉を開けると中にはバーダメヤ元男爵令嬢とあまり上品とは言えない服装の男性が話をしていたがあまり聞き取れずヤキモキしていると、ジョシュアが拡張機を取り出し話を聞けるようにしました。

「ガツメン様~作戦成功ですね!」

「ミリ―お前もたまには役に立つな。その身体が平らで無かったら愛人にしてやったのに。」

「ちゃんとガツメン様のお好みの子を紹介て差し上げたじゃないですか~」

「うむ、ジゼルたんは素晴らしい!!あの溢れんばかりの胸、ビスクドールのように滑らかそうな肌うなじも最高だしもう早く剥いてしまいたい!」

聞かなければ良かったと激しく思いました。
果てしなく気持ち悪くて吐き気がします。
チラッとジョシュアの方をみると殺気が凄くて怖かったので、助けを求める相手を間違えたと思いシリウス様をみると祈りのポーズをとっていました。

「命だけは取らないように。」

「分かりました。命だけです。ジゼルはこれ以上汚いものに近づけたくないので殿下とお留守番してて下さいね。」

「……はい。」

その後、シリウス様と私の周りを分厚い氷が覆い隔離されました。

「シリウス様、暇なのでゲームでもしましょう。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

婚約解消は君の方から

みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。 しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。 私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、 嫌がらせをやめるよう呼び出したのに…… どうしてこうなったんだろう? 2020.2.17より、カレンの話を始めました。 小説家になろうさんにも掲載しています。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

処理中です...