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捕らわれの身
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目が覚めると、私は口を布で塞がれ手足を縛られていた。
周りを見渡すも木で出来た物置のような所という情報しかなく、窓は無かった。
背中に温かさを感じるので誰が同じく縛られているのかもしれないけれど身動きしていないのできっとまだ寝ていると思われ、私は眼をとじて心の中で自分に落ち着くよう言い聞かせた。
少しして後ろでモゾモゾと動きがあり、私の手のひらに何かが触れたので握ってみると、指の様だった。
私は相手の掌に指をはわせコンタクトをはかった。
(私はジゼル。あなたは?)
(私はシリウス様だ。)
私は何となくそのような気がしていたので驚きませんでした。大方スカーレット様と間違えたのでしょう。
(手の縄を切ります。動かないで。)
私はシリウス様の掌にそう書いてエアカッターを最小で発動させた。
縄はパラパラと解け、私は自由になった手で口を塞ぐ布をズラしシリウス様の方を向いた。
「ご無事ですか?」
「ああ、大丈夫だ。どうやら巻き込んでしまったようだな…すまない。」
「大丈夫です。ケガもしてませんし、きっと助けもすぐに来ますから。」
私は自分とシリウス様の足の縄を切り、いつでも動ける状態にし、私たちはこの後どうするか話し合った。
「私としては賊を捕まえたいところだが、ジゼルを巻き込む訳にはいかないしな…ジョシュアに殺されるし…」
「私がやりますから問題ありませんよ。」
私とシリウス様しかいない空間に聞き覚えのある声が響いて私は捕らわれているのに安心してしまいました。
「ジョシュア……」
そう私が呟くと、私の影の中からジョシュアが現れ優しく抱きしめてくれました。
温かさとシトラスの香りが私を更に安心させ、その背中に手をまわすと更に強く抱きしめてくれました。
「貴女が無事で良かったです。まさか二度も襲わせてしまうなんて申し訳ありません。」
「貴方も眠らされたのでしょ?大丈夫、私はジョシュアが来てくれるって信じていたから何も怖くなかったわ。」
私が微笑むとジョシュアは私の唇を熱を確かめるように何度も奪った。
凄く心配させてしまった事は自覚があったので、私はそれに答え、気が済むまで好きにさせた。
しかし、唇から首にキスが落とされるようになり「う"うん!」とシリウス様が咳払いをし、私は忘れていたシリウス様に謝り舌打ちするジョシュアを軽く叱った。
「続きは戻ってからですね。まずは襲撃者を片付けましょう。」
「わかってくれて何よりだ。ところでどうやって場所を特定したんだ?」
「Sクラスのピンバッジは発信機になっているんですよ。」
サラッと伝えられた情報に私とシリウス様は固まりました。
まさか自分がいつも身につけているものがそんな物だったなんて……。
「これでも警護も兼ねて担任をしているので不足の事態には備えてますよ。きちんと場所は報告してから来ましたから安心して下さい。」
きっと私とシリウス様の心は一つになった事でしょう。
((安心できません))
周りを見渡すも木で出来た物置のような所という情報しかなく、窓は無かった。
背中に温かさを感じるので誰が同じく縛られているのかもしれないけれど身動きしていないのできっとまだ寝ていると思われ、私は眼をとじて心の中で自分に落ち着くよう言い聞かせた。
少しして後ろでモゾモゾと動きがあり、私の手のひらに何かが触れたので握ってみると、指の様だった。
私は相手の掌に指をはわせコンタクトをはかった。
(私はジゼル。あなたは?)
(私はシリウス様だ。)
私は何となくそのような気がしていたので驚きませんでした。大方スカーレット様と間違えたのでしょう。
(手の縄を切ります。動かないで。)
私はシリウス様の掌にそう書いてエアカッターを最小で発動させた。
縄はパラパラと解け、私は自由になった手で口を塞ぐ布をズラしシリウス様の方を向いた。
「ご無事ですか?」
「ああ、大丈夫だ。どうやら巻き込んでしまったようだな…すまない。」
「大丈夫です。ケガもしてませんし、きっと助けもすぐに来ますから。」
私は自分とシリウス様の足の縄を切り、いつでも動ける状態にし、私たちはこの後どうするか話し合った。
「私としては賊を捕まえたいところだが、ジゼルを巻き込む訳にはいかないしな…ジョシュアに殺されるし…」
「私がやりますから問題ありませんよ。」
私とシリウス様しかいない空間に聞き覚えのある声が響いて私は捕らわれているのに安心してしまいました。
「ジョシュア……」
そう私が呟くと、私の影の中からジョシュアが現れ優しく抱きしめてくれました。
温かさとシトラスの香りが私を更に安心させ、その背中に手をまわすと更に強く抱きしめてくれました。
「貴女が無事で良かったです。まさか二度も襲わせてしまうなんて申し訳ありません。」
「貴方も眠らされたのでしょ?大丈夫、私はジョシュアが来てくれるって信じていたから何も怖くなかったわ。」
私が微笑むとジョシュアは私の唇を熱を確かめるように何度も奪った。
凄く心配させてしまった事は自覚があったので、私はそれに答え、気が済むまで好きにさせた。
しかし、唇から首にキスが落とされるようになり「う"うん!」とシリウス様が咳払いをし、私は忘れていたシリウス様に謝り舌打ちするジョシュアを軽く叱った。
「続きは戻ってからですね。まずは襲撃者を片付けましょう。」
「わかってくれて何よりだ。ところでどうやって場所を特定したんだ?」
「Sクラスのピンバッジは発信機になっているんですよ。」
サラッと伝えられた情報に私とシリウス様は固まりました。
まさか自分がいつも身につけているものがそんな物だったなんて……。
「これでも警護も兼ねて担任をしているので不足の事態には備えてますよ。きちんと場所は報告してから来ましたから安心して下さい。」
きっと私とシリウス様の心は一つになった事でしょう。
((安心できません))
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