婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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恋愛に策略はつきものです

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作戦会議をする為に三人でジョシュアの専用部屋に来ました。

ソファに座り先ずは状況を確認します。

「ジョシュアはシリウス様の事をどれだけ知っているの?」

「そうですね…不本意ながらこの中で一番私が殿下を知っている自負があります。」

「そうなの?では隣国の王女については?」

「そちらは一般教養レベルですね。」

「ではリリアン様はどうでしょうか。」

「私は…隣国の王女についてはあまり存じ上げませんわ。殿下についてはホクロの数から裏取引の総てくらいは把握しております。」

そこまで知ってて何故私の事は知らなかったのでしょうか。

とりあえず、殿下にバレないように動く事が大切なのでリリアン様は殿下の監視をし、ジョシュアは外堀を埋め、私は社交で噂を広めつつ隣国の王女に接触する役目を担った。

そして、私たち三人が集まっているのを目撃されたくないのでリリアン様に通信装置を渡し、私といつでも連絡をとれるようにした。

リリアン様とジョシュアを繋がなかったのはジョシュアが私の側にずっといるからです。それ以上でも以下でもありません。

まずはもうすぐ始まるパーティーから作戦開始です。



広い講堂に全生徒が集められ、学園長から労いの言葉がかけられるとパーティーが始まりました。

私はドリンクを貰うと、まずはボーンヘイ侯爵子息の元に行き労いと再戦を望む言葉をかけましたが再戦は丁寧にお断りされました。

逃げるように居なくなられたら私傷つきますよ。

気を取り直して、次は殿下の元に行きお祝いと再戦を望む言葉をかけました。
私にもお祝いの言葉をかけていただけましたが、再戦の話は無視されました。
気を遣われてしまったみたいです。

仕方がないので本題にいきました。

「殿下、今度お時間頂けないでしょうか。確認したいことがあります。……彼女の事で。」

私が視線をリリアン様に向けると殿下は頷いた。

「お互いに婚約者がいる身だ。二人きりでは難しいがそれでも良いかな。」

「では私のこん」

「いや、密室でなければ大丈夫だろう。城のガゼボでお茶でも飲みながら聞こう。日付はまた連絡する。」

「分かりました。お待ちしております。」

会話が終わるとタイミングよくリリアン様が向かってくるのが見えた。
殿下も接近を察知したのか足早に去って行った。

リリアン様は私に尊大な態度で話しかけてきた。

「今日は貴女に譲ってあげたけど、今回だけですわ。次は負けません!!」

リリアン様は言うだけ言って去っていきました。

素晴らしい演技力です。
本番一発勝負とは思えません。
殿下はバッチリ今のシーンをみていました。
きちんと誤解していただけたでしょう。

このパーティーでの仕掛けはコレで終わりなので後はゆっくり軽食を食べつつ楽しみました。

そして数日後、殿下からお茶会のお誘いの手紙が届きました。
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