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孝宏編
真奈の2
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「私…なんで孝宏と付き合ったんだっけ……」
テーブルにはビールの空き缶やポテチやおつまみのゴミが山積みになり床には食べカスと飲み物がこぼれシミになったラグ、ソファの上には酔いつぶれた孝宏とその周りにも酔いつぶれた友達らしき男性が三人。
土曜出勤から帰ってきた私はこの部屋をどう綺麗にしようか悩んだ。
我が家のルールでは友人等を呼ぶ際は事前連絡、私と孝宏で食べた物以外は個人で片付けるという項目があるがそろそろ破られた時の罰則を決めるべきかもしれない。
とりあえずソファで眠る孝宏の頭をスリッパで叩き起こすことにした。
「ん?あ~真奈ちゃんおっかえりぃ」
「ただいま。まだ夢心地かな?じゃあ目が覚めるようにお手伝いをしてあげるよ。」
私は冷凍庫に入れていた保冷剤を取り出し孝宏の背中に突っ込んだ。
「うわっ!冷てっ!!なにすんだよ!!!」
「なにすんだ?こっちのセリフだから!何この惨状!!」
機嫌を悪くした孝宏は私が怒鳴り怯んだようで一瞬ビクッとして辺りを見渡した。そして現状の把握をするとヘラヘラと苦笑いしながら「悪い悪い。あいつらが急に来てさ。」と言いながら触ろうとしてきたので私は一歩後ろに下がった。
「とりあえず、この三人を追い出して。話はそこからです。」
孝宏はヘラヘラしたまま三人を揺さぶり起こすと「ほら、もう帰れよ~。」とフラフラと歩く三人を玄関に誘導した。
三人が出ていくと私と孝宏はテーブルに向かい合わせに座った。
「さて…何が言いたいか分かるかな?」
「えっとぉ…散らかしてごめん?」
「そうだね。それもだけど…私、来客予定なんて聞いてないよ。住み始めてから孝宏は一個もルール守ってくれやいよね。」
バツが悪そうに俯いていた孝宏は何を思ったのか急に私を睨みつけて怒鳴り出した。
「俺にだって都合があるんだよ!そんな口煩く言わなくたっていいだろ!!あ~あ、真奈がそんな奴だとは思わなかった。別れようぜ。出てけよ!!」
「ここ、私の家だから。別れてあげるから今すぐ出てって!」
孝宏は上着と鞄を持って乱暴にドアを閉めて出ていった。
もっと早くこうするべきだったのかもしれない。そうすればこんな散らかったリビングを片付けなくてすんだはずだ。
戻って来られても迷惑なので一先ず鍵を閉めチェーンロックまですると、私はゴミ袋に孝宏の物を片っ端から突っ込んでいった。
服や小物は一時間程で詰め終わり、孝宏が持ち込んだベッド、テレビ、ローボードをどうするか悩んでいるとガチャりとドアを開けようとする音がした。私はチェーンロックまでしておいて良かったと心から思い玄関に向かう。
「真奈!入れてくれよ。ごめん、俺が悪かったから!やり直そう。」
「その前に実家の住所書いてくれない?」
私がドアの隙間から紙とペンを出すと「いや、意味が分からんから!」となかなか書いてくれない。
「貴方の親にご挨拶したいのよ。」
「は?挨拶?…俺は真奈にプロポーズしてないぞ。」
「そうね。でも貴方との今後を考えてお話したいの。電話番号でも良いわ。」
孝宏は微妙な顔をしながらもメモを受取り電話番号を書いた。私だったらそんな事絶対にしないけど。
とりあえず目的は達成出来たので「これ以上騒げば警察を呼ぶ」と脅してドアを閉めた。
テーブルにはビールの空き缶やポテチやおつまみのゴミが山積みになり床には食べカスと飲み物がこぼれシミになったラグ、ソファの上には酔いつぶれた孝宏とその周りにも酔いつぶれた友達らしき男性が三人。
土曜出勤から帰ってきた私はこの部屋をどう綺麗にしようか悩んだ。
我が家のルールでは友人等を呼ぶ際は事前連絡、私と孝宏で食べた物以外は個人で片付けるという項目があるがそろそろ破られた時の罰則を決めるべきかもしれない。
とりあえずソファで眠る孝宏の頭をスリッパで叩き起こすことにした。
「ん?あ~真奈ちゃんおっかえりぃ」
「ただいま。まだ夢心地かな?じゃあ目が覚めるようにお手伝いをしてあげるよ。」
私は冷凍庫に入れていた保冷剤を取り出し孝宏の背中に突っ込んだ。
「うわっ!冷てっ!!なにすんだよ!!!」
「なにすんだ?こっちのセリフだから!何この惨状!!」
機嫌を悪くした孝宏は私が怒鳴り怯んだようで一瞬ビクッとして辺りを見渡した。そして現状の把握をするとヘラヘラと苦笑いしながら「悪い悪い。あいつらが急に来てさ。」と言いながら触ろうとしてきたので私は一歩後ろに下がった。
「とりあえず、この三人を追い出して。話はそこからです。」
孝宏はヘラヘラしたまま三人を揺さぶり起こすと「ほら、もう帰れよ~。」とフラフラと歩く三人を玄関に誘導した。
三人が出ていくと私と孝宏はテーブルに向かい合わせに座った。
「さて…何が言いたいか分かるかな?」
「えっとぉ…散らかしてごめん?」
「そうだね。それもだけど…私、来客予定なんて聞いてないよ。住み始めてから孝宏は一個もルール守ってくれやいよね。」
バツが悪そうに俯いていた孝宏は何を思ったのか急に私を睨みつけて怒鳴り出した。
「俺にだって都合があるんだよ!そんな口煩く言わなくたっていいだろ!!あ~あ、真奈がそんな奴だとは思わなかった。別れようぜ。出てけよ!!」
「ここ、私の家だから。別れてあげるから今すぐ出てって!」
孝宏は上着と鞄を持って乱暴にドアを閉めて出ていった。
もっと早くこうするべきだったのかもしれない。そうすればこんな散らかったリビングを片付けなくてすんだはずだ。
戻って来られても迷惑なので一先ず鍵を閉めチェーンロックまですると、私はゴミ袋に孝宏の物を片っ端から突っ込んでいった。
服や小物は一時間程で詰め終わり、孝宏が持ち込んだベッド、テレビ、ローボードをどうするか悩んでいるとガチャりとドアを開けようとする音がした。私はチェーンロックまでしておいて良かったと心から思い玄関に向かう。
「真奈!入れてくれよ。ごめん、俺が悪かったから!やり直そう。」
「その前に実家の住所書いてくれない?」
私がドアの隙間から紙とペンを出すと「いや、意味が分からんから!」となかなか書いてくれない。
「貴方の親にご挨拶したいのよ。」
「は?挨拶?…俺は真奈にプロポーズしてないぞ。」
「そうね。でも貴方との今後を考えてお話したいの。電話番号でも良いわ。」
孝宏は微妙な顔をしながらもメモを受取り電話番号を書いた。私だったらそんな事絶対にしないけど。
とりあえず目的は達成出来たので「これ以上騒げば警察を呼ぶ」と脅してドアを閉めた。
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