7 / 13
思わぬ牽制
しおりを挟む
ララの家から帰ってきたメリーとサムはテーブルに向かい合わせで座り一息をついた。
七歳になる息子はまだ戻って来てはいないので気遣うものは何も無い。
「ララがちゃんとリックにやり返してやれて良かったわ~。」
「あ、ああ…そいだね。」
「何よ。何か不満?まあ、サムからしたらリックへの同情もあるのかしら。」
「ど、同情している訳じゃないよ。」
サムのハッキリしない態度にメリーは呆れた顔を向ける。
男女の考え方の違いなのか、あるいは別の理由なのか、どちらにしてもメリーには息子が帰ってくる前にサムに話しておかなくてはいけない事があるので話しを進める事にした。
「あのね、私のお腹に二人目がいるみたいなの。」
「ほ!本当か!!」
「ええ。ちゃんと診てもらってるから間違いないわ。」
「ああ…メリー!愛してるよ!!」
「私もよ。だから貴方の一時の過ちを許すわ。」
その言葉にサムは身を硬くしてメリーと目を合わせた。
メリーは笑顔でサムを見返すがその目は笑っていない。
何か言わなければと思いながらもサムの喉は何かがつっかえているようで言葉が出てこない。
「ララに頼まれてメリッサのところに行って疑問に思わなかった?何故メリッサのところに行くように言ったのか。何故ミグの父親を連れて行ったのか。メリッサはととっても詳しかったでしょ?」
「い、いつから…。」
「少なくとも今日明日では無いわね。私とっても悩んだのよ?あ、リックの件はメリッサもララに話そうとしてたところだったの。先に現場見ちゃったけど。」
頭を強く殴られたような衝撃を受けたサムは椅子から立ち上がるとメリーに土下座の姿勢をとった。
サムはリックみたいにミグに溺れている訳では無い。愛するのは家族のみ。ミグは安い娼婦のような存在で都合よく使っていたにすぎない。メリーはきっと理解してくれたからララに便乗しなかったのだとサムは信じた。
「メリー、すまなかった!もうしない!!金輪際あの店にも行かない!!!」
「そうね。でも許すのは今回だけだからね。次が無いこと忘れないでね?」
「もちろんだ!神に誓う!!」
「結婚の時に誓ってコレだもの。誓わなくていいわ。」
話が終わった直後、タイミング良く息子が帰ってきて二人はドキリと心臓は跳ねた。
「ただいまー。父さんそんな格好でどうしたの?」
「あ、ああ、おかえり。ちょっと腕立てでもしようと思ってな。」
「ここで?ふ~ん…。変なの。」
「ハ…ハハ…。お前もやるか?」
「やるわけないじゃないか。僕はそういうのはお断り!」
「…だよな。」
サムは誤魔化す為にその場で数回腕立て伏せをするとそそくさと部屋に入っていった。
メリーはその様子を黙ってみながら心の中で再びララに感謝をし、伸びをすると椅子から立ち上がった。
七歳になる息子はまだ戻って来てはいないので気遣うものは何も無い。
「ララがちゃんとリックにやり返してやれて良かったわ~。」
「あ、ああ…そいだね。」
「何よ。何か不満?まあ、サムからしたらリックへの同情もあるのかしら。」
「ど、同情している訳じゃないよ。」
サムのハッキリしない態度にメリーは呆れた顔を向ける。
男女の考え方の違いなのか、あるいは別の理由なのか、どちらにしてもメリーには息子が帰ってくる前にサムに話しておかなくてはいけない事があるので話しを進める事にした。
「あのね、私のお腹に二人目がいるみたいなの。」
「ほ!本当か!!」
「ええ。ちゃんと診てもらってるから間違いないわ。」
「ああ…メリー!愛してるよ!!」
「私もよ。だから貴方の一時の過ちを許すわ。」
その言葉にサムは身を硬くしてメリーと目を合わせた。
メリーは笑顔でサムを見返すがその目は笑っていない。
何か言わなければと思いながらもサムの喉は何かがつっかえているようで言葉が出てこない。
「ララに頼まれてメリッサのところに行って疑問に思わなかった?何故メリッサのところに行くように言ったのか。何故ミグの父親を連れて行ったのか。メリッサはととっても詳しかったでしょ?」
「い、いつから…。」
「少なくとも今日明日では無いわね。私とっても悩んだのよ?あ、リックの件はメリッサもララに話そうとしてたところだったの。先に現場見ちゃったけど。」
頭を強く殴られたような衝撃を受けたサムは椅子から立ち上がるとメリーに土下座の姿勢をとった。
サムはリックみたいにミグに溺れている訳では無い。愛するのは家族のみ。ミグは安い娼婦のような存在で都合よく使っていたにすぎない。メリーはきっと理解してくれたからララに便乗しなかったのだとサムは信じた。
「メリー、すまなかった!もうしない!!金輪際あの店にも行かない!!!」
「そうね。でも許すのは今回だけだからね。次が無いこと忘れないでね?」
「もちろんだ!神に誓う!!」
「結婚の時に誓ってコレだもの。誓わなくていいわ。」
話が終わった直後、タイミング良く息子が帰ってきて二人はドキリと心臓は跳ねた。
「ただいまー。父さんそんな格好でどうしたの?」
「あ、ああ、おかえり。ちょっと腕立てでもしようと思ってな。」
「ここで?ふ~ん…。変なの。」
「ハ…ハハ…。お前もやるか?」
「やるわけないじゃないか。僕はそういうのはお断り!」
「…だよな。」
サムは誤魔化す為にその場で数回腕立て伏せをするとそそくさと部屋に入っていった。
メリーはその様子を黙ってみながら心の中で再びララに感謝をし、伸びをすると椅子から立ち上がった。
8
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?

拝啓、大切なあなたへ
茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。
差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。
そこには、衝撃的な事実が書かれていて───
手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。
これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。
※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる