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ミグの遊戯
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「はい。最後はリックにあーん♡」
「あーん♡」
ミグはだらしない顔をしたリックの口にスプーンを入れる。満足気なリックの顔に思わずニヤニヤしてしまう。
(ああ…他人の男を自由にする事ってなんて気持ちがいいのかしら。)
ミグは妻子のある男性に手を出す事を趣味にしていた。
小さい頃に母親が出て行き、父親の雑貨屋を手伝う日々。なんの刺激もない退屈な日常に嫌気がさして夜にバーでウェイトレスを始めたのが始まりだったのかもしれない。
丈が短めだけど可愛い服を着て髪もメイクもソレに合うようにセットすると、鏡の前には雑貨屋の地味娘では無くキラキラ可愛い自分が居た。
「一杯奢るから座りなよ!!」
「時給払ってやんから座りなっ!」
気前の良い客が酒を奢ってくれる。可愛い自分と酒を飲みたいと呼んでチヤホヤしてくれる。ミグは天職かもしれないと思った。好みの男性には少しサービスしてあげるのも悪くない。
まるで自分のモノと言わんばかりに意気揚々とフロアをあるけば気分はとても良く連日バーに入る。
その内、くプライベートでも客と飲んだりし始め、気がつけば親密な関係になる人も少なくなかった。しかし実家にはバレたくないので雑貨屋では地味なまま。ミグとしては好みの男性から求められるのは至極の喜びだった。
そんなある日、お気に入りの男性が別の女性と楽しそうに歩いているのを目撃した。怒りで詰め寄り男性の胸元を掴んだ。
「誰よその女!」
「え?誰?なんなんだいきなり!」
男性の反応で今の自分の冴えない姿を思い出したミグはクスッと笑う声で男性の隣の女に目を向けた。
「何この子。知り合いなの?」
女の蔑む顔がミグの目に焼き付く。自分より不細工な女に可愛い自分が笑われる。ミグにとってそれはとても許容出来ない事だ。
「は?知らねーよ!誰と間違えてんだか知らねーけど早く離せよっ!」
男性がミグの肩を強く押してミグはよろめいた。
既にミグから視線を外した二人は結婚の約束でもあるのか住む家がどうとか話をしているのが聞こえる。
「許さない…。」
それからミグは男性をバーで骨抜きにしてこの女から奪ってやった。それはもう今までで一番の快感だった。もちろん目的は女の悔しがる顔を見ることなので用済みの男性はすぐに捨ててやった。
この快楽が忘れられずパートナーのいる男性ばかりバーで誘うになり、気がつけば昼に雑貨屋を手伝う時でさえ通行人をチェックするようになっていった。
そうして引っかけた最新の男がリックだ。
そろそろ潮時かとは思っているのでいつものように終わらせなくてはならない。
リックのパートナーがどんな顔をしてくれるのか期待で胸をいっぱいにしながらミグはリックの口についた生クリームを指で拭って口にした。
「ご馳走様。」
「あーん♡」
ミグはだらしない顔をしたリックの口にスプーンを入れる。満足気なリックの顔に思わずニヤニヤしてしまう。
(ああ…他人の男を自由にする事ってなんて気持ちがいいのかしら。)
ミグは妻子のある男性に手を出す事を趣味にしていた。
小さい頃に母親が出て行き、父親の雑貨屋を手伝う日々。なんの刺激もない退屈な日常に嫌気がさして夜にバーでウェイトレスを始めたのが始まりだったのかもしれない。
丈が短めだけど可愛い服を着て髪もメイクもソレに合うようにセットすると、鏡の前には雑貨屋の地味娘では無くキラキラ可愛い自分が居た。
「一杯奢るから座りなよ!!」
「時給払ってやんから座りなっ!」
気前の良い客が酒を奢ってくれる。可愛い自分と酒を飲みたいと呼んでチヤホヤしてくれる。ミグは天職かもしれないと思った。好みの男性には少しサービスしてあげるのも悪くない。
まるで自分のモノと言わんばかりに意気揚々とフロアをあるけば気分はとても良く連日バーに入る。
その内、くプライベートでも客と飲んだりし始め、気がつけば親密な関係になる人も少なくなかった。しかし実家にはバレたくないので雑貨屋では地味なまま。ミグとしては好みの男性から求められるのは至極の喜びだった。
そんなある日、お気に入りの男性が別の女性と楽しそうに歩いているのを目撃した。怒りで詰め寄り男性の胸元を掴んだ。
「誰よその女!」
「え?誰?なんなんだいきなり!」
男性の反応で今の自分の冴えない姿を思い出したミグはクスッと笑う声で男性の隣の女に目を向けた。
「何この子。知り合いなの?」
女の蔑む顔がミグの目に焼き付く。自分より不細工な女に可愛い自分が笑われる。ミグにとってそれはとても許容出来ない事だ。
「は?知らねーよ!誰と間違えてんだか知らねーけど早く離せよっ!」
男性がミグの肩を強く押してミグはよろめいた。
既にミグから視線を外した二人は結婚の約束でもあるのか住む家がどうとか話をしているのが聞こえる。
「許さない…。」
それからミグは男性をバーで骨抜きにしてこの女から奪ってやった。それはもう今までで一番の快感だった。もちろん目的は女の悔しがる顔を見ることなので用済みの男性はすぐに捨ててやった。
この快楽が忘れられずパートナーのいる男性ばかりバーで誘うになり、気がつけば昼に雑貨屋を手伝う時でさえ通行人をチェックするようになっていった。
そうして引っかけた最新の男がリックだ。
そろそろ潮時かとは思っているのでいつものように終わらせなくてはならない。
リックのパートナーがどんな顔をしてくれるのか期待で胸をいっぱいにしながらミグはリックの口についた生クリームを指で拭って口にした。
「ご馳走様。」
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