あなたは私の運命の人

咲貴

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第三話〈イザイア視点〉

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 ――俺、イザイア・パルッソの朝は早い。

 騎士団に身を置く者として、出勤前、早朝から身体を鍛えなくてはいけないからだ。

 ……なんて事はなく、目覚めたらすぐに顔を洗い、お肌の手入れをしなくてはいけないからだ!

 お肌を整えておかないと、女装する時の化粧ノリが悪くなっちゃうしさ、スキンケア大事よマジで。

「イザイアお兄様ー!」
「――っ‼︎」

 鏡に向かい化粧水と乳液で肌を整えていたら、自室の扉が勢いよく開かれビクッとする。

「ちょっ、もー、ノックしてっていつも言ってるだろー?」

 マジで心臓に悪いからー。

「私とお兄様の仲ではありませんか!」
「仲って、兄妹以外の何があんのよ」

 ニコニコしながら俺の部屋に押し入ってくる彼女は、末の妹で9歳のソニアだ。
 毎朝と言っていいくらい突撃してくるんだよね。
 スキンケアの為に早起きしてる俺と、同じくらい早く起きていてこれだけ元気一杯とか、ちびっ子の体力恐ろしいんだけど。

「さあさあお兄様!今日のドレスを選んでください!」
「えー……」

 可愛い笑顔で言ってくるけど、お兄様は今スキンケア中なんですよ。

「もー、侍女に任せなよぉ。お兄様忙しいんだよぉ」
「お兄様のお肌は充分お綺麗なのですから、少しくらい手を止めていただいても平気ですわ!」
「ありがとう、でもおバカ!日頃の積み重ねが大事なんだよ!その『少しくらい』が後々、命取りになるんだから!」

 無邪気な笑顔で言ってもダメなんだからね!

「そうなのですか?」
「そうなのです!もう終わるからあと少し待って」
「わかりましたわ!」

◇◇◇

「はい、お待たせ。それで、今日は何があるの?」

 ソニアに見守られながらスキンケアを終え、彼女の部屋に移動してドレス選びに取り掛かる。

「今日はお友達のお茶会に参加しますの」
「同じ年頃のご令嬢達とのお茶会ね、じゃあ、年相応に可愛いデザインのドレスが良いね。薄いピンクのドレスにしようか、あの大きいリボンが付いてるやつ」

 ドレスを選び、アクセサリーなんかも合わせて選ぶ。

「お兄様、ありがとうございました!」

 一通り揃えてやると、満足そうに礼を言うソニア。

「どーいたしまして。お兄様も暇じゃないんだから、いい加減侍女にまかせなさいね」
「だって、お兄様が選んでくださる方が良いんですものー!そういえば、お兄様が女装を始めたきっかけはなんだったんですの?」
「んー?なんだったっけ……」

 気づいた時には女装を楽しんでたからなぁ、何がきっかけだったかなぁ……?
 今のソニアよりも幼い頃から女装に目覚めてたけど、はっきりといつだったかは覚えてないな。

「うーん、覚えてないわ」

 ま、思い出せないものは仕方がないとして、Wデートの時の服どうしようかなぁ。
 ダニエラの服に合わせたいし、今度相談しよう。

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