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髙﨑 レイ

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接章Ⅰ 綿津見

海とデュラハン

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「すまんな。急に蔵全体が反応するとは思わんかった」
 浄化が完了し蔵を出ると英義さんに謝れた。
「いえ多分、格が強いのを選んだみたいで」
 だってコレ中身は未だ浄化出来てないだろうし。普通に打撃武器として使用可能だからな。妙に先端が尖ってるから刺突武器としてでも可能か。…これ某TCGで翼神竜を使ってた千年棒に似てるな。あれも仕込み武器みたいなものだし。
「ほう。それはなんとも珍しいモノを選んだようじゃな」
「知ってるんですか?」
 血塗れ辰の字と薄い子の字。多分あの世界での継承者なのだろう。でもコレがソレに対応しているのならば如何やって干渉しているのだろうか?ネズミ自体はトリックスターというか道化師みたいな一面があるからね。似たような面もあるだろう異能に関して。
「いや伝承なようなものでな。先代は卯、寅、午、酉に未だと聞いた」
 ソレ何処の勇者サイドだ。何ですか飛翔走破の滅多撃ちですか?それとも砲撃して跳躍でライフ減らないのですか?それだと僕敵サイドなんですが…。良いか別に。
「さて行けるかの?」
「無論。今すぐ殺ろう」
 現実世界でこの状態に入るのは楽だが生気を維持するのにもコツや自身の能力限界もある。それに今はまだ子の刻だ。上手くやればこの杖も力を貸してくれるだろう。
「なら逝くぞ」
 
 案内されたのは直径100mを覆うようにお札による結界がありその中央にはデッカイ岩としめ縄に大量のお札による封印がされてある。
「あの中央に封印しておるがもう時間の問題じゃ。行ってこい」
「分かった」
 【白咎】を抜き放ち1枚のお札を切り裂きその僅かな隙間から結界内に侵入すると再び封印を施す。【白咎】を腰に納刀して今度は【スバル】を抜く。
「さて取り敢えず成仏しな」
 神速の一撃を岩に繰り出し切断してそのまま杖で突くも大楯に防がれる。そしてそのまま大楯を突き出され跳ばされる。咄嗟にバックステップで衝撃をも殺すがその距離は優に30mはあるだろう。そして露わになる鎧兜の正体。
「特殊金属のデュラハンかよ」
 全身が深海のように澄んだ蒼い鎧に赤珊瑚のような色合いを持つ大楯に魚の鱗のような輝きを持つ白銀の大剣。兜が見当たらないのだが。
「【スバル】と同格か。不味いな」
 見た感じ僕より上の腕を持っているだろうし。一気に終わらせる。
「【戦鬼】」
 現状最高段階まで踏み込み脳のリミッターを外す。狙うとするなら腹にあるはずの核。
「天埜流剣術刀牙」
 牙のように鋭く噛み砕くような一撃は上から押し潰すような大剣の攻撃により無効化される。予想通りとはいえども本当にそのままされたら傷付くぞ。
「天埜流棒術鏖殺点」
 杖をしならせ鞭のような一点のみの打撃を大楯の中心に叩き込み蹴り上げと同時に【スバル】を振り下ろす。天埜流総合武術殴殺点。その合術理を「破天」と呼び火力としては最上位に値する。が相手は少し蹌踉めくていど。だからこそ続けざまに数多の術理を振るいまずは大楯を攻略する。そう考えた瞬間に白銀の剣が淡い青に煌く。

 直後。

 暴虐とでもいうべき渦潮が地を襲う。
「歩行術天翔け」
 それを滑るような足使いで渦巻きを利用して最大威力のソレ叩き込む。
瞬間付呪インスタンス聖光 ドラゴンブレス」
 天埜流剣術片刃輪
 勢い及び速度や重さを上乗せして対幽霊・妖怪・アンデット特攻の属性を付与して竜の祝福をこの身に宿した最高峰の一撃を大楯に叩き込もうとするが直前で赤珊瑚の盾は融解して砲弾となる。
復讐ヴェンジェンス
 その砲弾を刀身で受け流すように受け火力へと変換して叩き込む。現状の一撃における最大火力に【スバル】の星の力に子の刻による能力上昇が掛かったある意味ではステータスをも凌駕するジャイアントキリングの一撃。

 のはずだがまるでスケイルメイルみたいな形状になった大剣に防がれる。これもダメかよ。馬鹿火力の反動で痺れる腕を無視して杖で突き刺す。多分このタイミングしかないな。あの時から一度も使わない最強にして最恐の多段攻撃を。
「崩れる刃」 
 直後。
 【スバル】や杖に存在していた刃に当たる部分が幾つもの外れ崩れ剣となる。
「メタトロン」
 言葉に呼応するようにその刃はとある形に形成される。
「天の焔」
 空からその陣目掛け雷が墜ちる。そこにダメ押しと言わんばかりの攻撃を加える。
辰の吐息ドラゴ・ブレス
 杖の水晶に辰の字が煌めき轟然と滅しゆく。


「結局アレはなんだったんですか?」
 あの強力な二撃を放った代償かしばらくの間動けなくなっていたが今なんとか動けるようになったのでこうして英義さんと話している。
「さあ。我らも急に出現したので驚いた。でも流石は【天】の名を継ぐ者じゃ」
「やっぱり特別ですか」
 そんな気はしていた。特に天皇の人間宣言以降はその傾向が強く感じている。ここ最近は彼らは本当は現人神なのではないかと懸念も抱くほどだ。
「そうじゃのう。あの【テンス】と同じレベルじゃな」
 【テンス】。
 現国連の特殊機関にしてナンバーズとも呼ばれている史上最強の武装異能者集団。いくら僕でもその最下位にすら一太刀も入れれないであろう最強の壁。それと同レベルに扱ってもらえるのは武人として光栄だが。多分あの一撃でようやく重い腰を上げてその瞬間には負けているだろう。
「まだまだですよ。僕には高嶺すぎます」
 今はまだ理想。ただし開祖の段階に到れば良い。今はその状況を目指すべきだ。
「ハハッ。お主なら付くじゃろ。さてホレ」
 何故か僕が持ってきたゴルフバックを投げ渡される。
「その中に報酬を入れておる。また何かあったらのためにも連絡機も入れておく」
 …この日本人形すか。怖いんですけど。夜中に入って喋りかけてきたら切り捨てそうな気がする。
「ええ分かりました」
 【スバル】に杖を入れて…。
「そう言えば杖の銘は?」
 最後に一つ聞き忘れていた事を聞く。
「確かな…【エデン】だった気がする」
 【エデン】。意味合い的には楽園だっけ?
「ではまた」
 ぺこりとお辞儀をしてそう知らずのうちに言い家に帰ってそのまま寝た。

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