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髙﨑 レイ

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接章Ⅰ 綿津見

ワタツミ

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 Wクエスト 森塞ぐ熊の要塞の攻略に成功した次の日は柳葉楓を道場に招き刀術における足捌きや体の鍛え方を教えた。彼女は女優であることからか物覚えも良くわりと短い間で習得していた。まあ栄治が居なかったので顔が剥れていたがそれはそれで人気な理由なんだなと思いもしたが。ちなみに栄治当人は拓郎の新変化球の習得に捕手兼打者として悠二や佳奈と一緒に野戦練習場で訓練していてお昼を一緒に食べることになると機嫌は良くなった。温泉効果もあるだろうが。まあ僕としてもかなり有用な時間である事は確かなのでいいが。そしてその日の夕食を食べると一旦身を清めてから綿津見神社へと向かった。

 一口に綿津見神社と言ってもいろいろな箇所にあるが多分海近くのあの神社だろう。


 長い階段を上り鳥居を避けて境内に入る。他所では知らないが家ではここは神の通り道であるが故に通る事は許されていない。

 境内に入ると既に英義さんがおりお付きの妖怪や神主も居る。わあなんて非日常。なんかお前の方が非日常だろという声が聞こえた気がしなくも無いが気の所為だろう。『樹の精』だったりするのだろうか?我ながらなんてオヤジ臭いダジャレだ。いや『気』のせいか?もうよく分からなくなるな。

「よく来てくれた天埜香織殿」
「いえ討つべき存在だと認識しているので」
 実はこの場に来ることは誰にも告げてない。沙月には時間差でメールを届くようにしてはいるが。
「謙遜するでない。本来なら逃げてもいいのだがな」
「家について理解した上で言ってますか?」
「勿論のう。で【白咎】は如何じゃ?」
 うーん。なんとも言えないが正解だ。まあゲーム内では最後の局面で手足のように使えていたのは確かだがな。
「大丈夫かと。それに一応【星剣】も用意しましたし」
 珍しく家に真打も影打もあるものだったので拝借してきた。ゴルフバックに偽装してあるのでここまでで捕まる心配はない。流石に神の社でそんな愚かな真似をする警官もいるとは思わない。
「ほう。【星剣】か。天埜家由来となると【ジェミナズ】か」
「いえ【スバル】です」
 【ジェミナズ】は僕用ではないから無断で持ち出すわけにはいかない。というか【スバル】は維持費もかかるので良い加減に数を減らしたいのだが。最悪、研ぎ直しで別物へと作り替えても良い気がする。
「聞いたこともないがなぜ故に【スバル】と?」
「連星昴が輝く日に降り落ちた隕石鉱から作り出された伝わってますから」
 今思えば謎だな。数万年前の爆発の光が降り注いでいるのが星なわけなんだけどな。
「あのぉ英義さま香織さまそれそれ蒼き鎧兜のところに」
「すまんな神主さん。さて香織殿は神衣に着替えて来い」
「では一角をお借りします」
 神社内にある多目的トイレに入り素早く純白な袴着に白衣を着て千早を纏い白足袋を履く。そして【スバル】の鞘を腰に佩き【白咎】を後ろ腰に隠す。暗器も欲しいが仕方なしだな。
「エネルギーエッジ」
 【スバル】にその魔法を掛けるとすっと体から生気が抜けていき魔法が宿る。
還元アブソープ
 幾分か変換効率からか生気は抜けているものも問題無い。まあ少し体が怠いくらいだろう。それでも十分なくらいだし。
「さて行くか」


「コッチじゃ」
「はい」
 早速討伐しようとしたらその前に英義さんに蔵に案内される。
「ここは?」
「いろんなモンを封印しとるだけじゃ。お主の霊刀もここにある」
 いや~こんな禍々しい蔵なんて初めて見た。瘴気が滲み出る混沌してるし。ヒュドラ出てきそう。というか霊刀の調教が必須ですか…。
「ここ大丈夫なんですか?」
 寧ろこっちの方が浄化必須じゃねぇか!化てでも出てこられたら困るぞー。
「ここは【白萩】が使われており自然浄化作用がある。そう簡単に壊れも封印が解除もされん」
 へぇ~まあ魔を払うことはできても魔を祓うことはことは出来ないからな。祓わないと凶悪のモノが憑きそうだし。ここは管理下にあるから問題ないだろうが。中に入ると魔力のようなナニカが立ち込めている。
「瘴気じゃよ。一番奥にあるのが一番強い」
「どこも扱いは同じと。アレは?」
 綿津見神社は刀が開発された当初に海軍と地元の漁港の大漁を祈願して作られておりそれがあるの珍しい。
「ああ海陣剣じゃよ。言わば草薙の剣と同じモノじゃ」
「なるほど。剣だったので鬼になりました」
 別に剣でもいいけどな。というかどれさ?
「好きに選んでよい。蔵自体に時間停止が掛かっておるから破壊の心配はない」
「分かりました」
 一つ一つ吟味していくがこれと言ったものはない。まだ手前の方だが。

 30分探すと中央に鎮座してある杖。黒く瘴気や怨念が溢れ出てはいるものもとてつもなく強い力を感じる。いやこれ伝説の剣とかで岩に刺さっているようなもんだしな。しかも仕込み杖。中には剣が収まっているのだろう。何故かコレに強く惹かれる。
「これはー」
「分かりませぬ。ただ相当に格が強いと聞いておる」
 そっと近づき杖を手に取り握る。不思議と懐かしい感覚がして膨大な瘴気に襲われ怨念が悍しい事を語りかけてくる。ただその程度あの頃に比べるとなんら問題ない。気を強く持ち行使すれば良いだろう。その杖を持ち上げると怨念が溢れ出てくる。さて前哨戦といくかね。
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