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髙﨑 レイ

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壱章 クマさん道場

矛盾

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 矛盾
 それは中国の故事で有名な話だろう。
 最強の矛と最強の盾と謳う商人の話で片方が正当ならもう一方が間違いになるという話だが僕としては何故そういう話になるのだが。どんな物も貫く矛と何でも防ぐ盾。もし仮にそんなものが存在するとしたら確実に戦況が変わるだろう。あのヒトラーが手にした者が世界を統べるという逸話を持つロンギヌスの槍を欲したように権力者がこぞって欲しがるだろう。

 だからなんだ?というわけでもあるが。どんな優れたモノでも使う側が無能ならダメな扱い方をされる事は歴史が証明をしている。

 さて最強の矛と最強の盾の話だがそれを仮に拓郎に持てせてみたいと思った。ただそれは叶わない事と分かっているが此処で見るタクはそんな事を軽々とやってのけた。

「掛かってこいや!」
 大楯と長槍の重さをものとせずにフォレストベアに立ち向かいヤツの気を単独で引き受けているお陰で観察がしやすい。まず驚くべきはその身長だろう。凡そ5.5mほどもありその腕には4mほどの巨剣があり腰には両刃斧やえmの山刀もある。装備は軽鎧とでも言うべきモノだが手には黒光りする手甲がある。エージとカナデはあの拳を受けて吹き飛んだのだろう。無論ヤツだけでなく周りには騎士に魔法士に回復術士弓術士と取り巻きも居る。がまだこの広間にいるのは数人のためかまだ誰1人として臨戦態勢を取ろうとすらしていない。
「—竜顎アギト
 右腕に東洋竜を出現させて司祭服擬きを着た熊に殴りかかる。ただ周囲5mの範囲でソレを察知したらしく全員が立ち上がる。その瞬間に虚に入り込んでいた2人が天井から落ちてくると同時に世界の全てを置き去りにして切り刻む。竜顎で持つ辰之剣ドラゴスレイブに集中して一気にその場所に入る。
【戦鬼】
 剣を振るわずにしてただの暴虐を撒き散らす。微かに振るうだけでも斬撃が飛んでいく。がLPは大して削れていないが何もかもが違うこの世界ではそれだけで充分に見えてしまう。タク・アオイ・ユージオのみを判別してその他全てを空間ごと斬っていく。しばらくすると豪炎が雹雷が矢弾が飛んできたのを感じ取り戦鬼おシャットダウンさせて竜顎も仕舞う。連続的に深く入りすぎたせいか日常的な世界の方が酔ってしまうそうなほど情報が多く取り込まれていく。
「各PTそれぞれ一体づつタゲ取って!出来れば各個撃破。不可能なら最先にヒーラーを潰せ!」
 エージの指令が通ると事前に打ち合わせでもしていたのか各々がそれぞれ一体づつフォレストベアを相手に立ち向かう。
「カオルは全体の様子を見て援護射撃。ヒーラーの動きをしてくれ」
「おうよ!—ルーティング そんでもって魔導弾装填」
 辰之銃ファブニルスを自在に動かして次弾の命中率を上げて魔導弾を装填する。
「ヒーラーを留める。逝け」
 その引き金を引くと青い弾丸が射出されて回復術士のフォレストベアの足に当たり徐々にそこから凍結していく。
「おまけだ。存分に食らえ」
 今度は緑と黄色が入り混じる弾丸が射出される。その弾丸はヤツの胸元に吸い込まれると動きが鈍くなり痙攣する。今度は麻痺弾だ。
「リロードTYPE:RH」
 魔導弾が指定したタイプが次々と装填されていく。そして簡易ステータスを見て蒼銀の弾丸を撃つ。それと同時に紫の刀身をした投げナイフを【テンノオウ】が相手する個体に投げる。そのナイフの柄に蒼銀の弾丸が当たり跳弾する。ナイフは首筋にグサリと刺さり弾丸はタクに当たりその効力を発揮する。蒼銀のベールが被弾者を覆い癒す。リジェネ効果とヒールが同時発動した結果だ。
「リロードTYPE:ウェポン」
 6連射撃して流れで撃鉄を打ちもう6連射撃でアタッカーにバフ効果を追加していく。ただMPの消費もかなり激しくなっている。まあまだ1スタックの半分も消費していないがそれでも今までと比べると段違いだ。一か八か【竜魔法】を使うか?もしくは【時空魔法】。数分程度なら動きを封じられなくも無いがそれで戦況が変わるとは思えない。まだどの隊もLPバーが3本ある内の1本目だ。まだほぼ全個体は物理攻撃のみ。復讐ヴェンジェンスを使ったところでそこまで大きな意味が生まれない。そしてアレは操作性故にまだここでは使ってない。最悪の場合は終焉焔メギドだがそれが原因でここまで積んだものを崩すわけにはいかない。よって下すは現状維持だが多少は打ってでる。
「リロードTYPE:AM3rd」
 照準を見定め引き絞りトリガーに指を掛ける。
「アオイ!!」
「発動対象辰之銃ファブニルス最大限!!」
戦技アーツ 弾倉全一射フルブート
 【銃】系スキルの戦技の中でも最大限の強化値を誇るソレをアオイの最大強化で放った!
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