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髙﨑 レイ

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壱章 クマさん道場

天剣逆鱗

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「さて人の顔を見るなり攻撃するとは良い趣味してんな」
 復讐ヴェンジェスはその性質上、攻撃してきた相手を判断し易くなる。どこかの大罪人団長と暗黒聖騎士の戦法を掛けて2で割った感じだからな。ソイツらにピンポイントで殺気を浴びせていき暗に覚えたと脅していく。はっきりいうとまだ門下の幼稚園生の方がマシな気がする。あのチビらはまだ武道が何たるかを理解していないがこんな事はしないだろう。まあこんな反撃をする自分も未熟者だな。ただ身内が標的になる以上は潰す。それは復讐を繰り出す以上は確実。
「人に刃を向けた以上はそういう認識で良いな?」
 その内の1人に近づき襟元を掴み聞く。ただ恐怖を感じているのか一切答えようとはしない。はあ使えない。試しに別の人間にしてみるも効果はなし。あなた方はゴースト種ですかね。そりゃあ格闘種の僕の攻撃なんて当たるはずもないですよね。
「つまらないな。努力不足を他人に擦りつけないで欲しい。つい殺してしまいそうだ」
 凄まじい量の覇気を放出しながらソレに近づく。ソレは復讐とは別の手段で縫い止めた者。
「さて今後一切関わるな三下。もうお前は盗んだ。ささっと全員を連れて消えろ」
 辰之剣ドラゴスレイブを喉元に突きつけ殺意を滲み出す。鞘に納められているとは言えどもかなりの存在感を放つその剣に充てられてかなんとか持ち直している。まあ盗んだのは復讐対象全員だけどな。瞬時に盗める程度の技量もないというわけだな。全員同時だったし。それと同時に右手に魔力を纏わせて飛んできた魔法を打ち消す。
「大道芸でもしてるのか?」
「なっ!おいGM見てるだろ!今、絶対チー」
 腹蹴りを喰らわせてその言葉を紡がせない。流石にそれは逆鱗だ。
「盗んだ。そう言ったはずだ。お前の呼吸、動作、思考全てを盗み取ったと言った。もうどんな攻撃は意味がない」
 というかあの程度ならユージオやアオイでも簡単に出来ると思うけどな。多少の才覚の違いはあれども現在に至るまでにしてきた努力の量と方向性があるわけでそれを全て蔑ろにして結果だけを叩くなら赦すわけがない。異能を使った知覚ならともかく完全にプレイヤースキルをそういう風に貶めるのなら裁きを。
裁きのジャジメント
 辰之剣が七色の輝きを放つと急に背後から覇大な気配がする。復讐はもう使えない。付呪は苦手属性が分からないから使えない。虚無幻想は周りへの被害が大きすぎる。術理はメイを巻き込む。

 つまりは勝てない。存在の格が違いすぎる。復讐で墜とした連中がネズミとして僕がゾウならばソレは神龍だろう。昨日のクロノスドラゴンよりトリプルスコアはつけて上に居る格上。間違いなく万全でも3分保てば良い方だろう。

 光の輝きを収めて辰之剣を鞘に収めるとソレは背中に背負う大剣を抜き放つ。禍々しくも何処か美術品のような美しさを持つ紫の大剣は魔力が絶大なほど宿っておりとてつもない存在感がある。もし仮に復讐が使えたとしても反撃する前に体が弾け飛ぶというか肉片一つ残らないだろう。
『決闘騒ぎがあると聞いてきたがまさかお主とは。ログデータを遡ってみたら面白いモノが見れた。流石は試練合格者』
 威厳のある武人の声でそう称される。やっぱりアレってこの世界ではかなり凄いモノなんだな。偶々型に嵌ったから勝てただけで本来の能力を万全に使われていたら確実に負けていただろう。
「勿体なきお言葉。ですがどう考えても偶々です」
 そう。幾らシュミレートしてもどう動いても勝てない。付呪の出力は足りない。魔法は完全に初級で体が壊れないようにして尚且つ虚に沈んだわけでもないが昨日と今日考え分かった。絶対に何らかの干渉を受けたと。というかそうでないと説明がつかない。
『謙遜は避け。アレはそう言うモノだ。お主のソレらはこちらも謎だが基本的には不干渉だ。それにソイツらは努力を少しもしていない怠け者だ。こんなに早く事を仕出かすとは思わんかったが。奈落』
 一瞬で魔法が紡がれると復讐対象が全員地面に吸い込まれていく。…まずはこのレベルまでは成長する必要があるよな。多分それでも届くとは思ってもいないが。
『お主は一応、お咎めなしだ。ただもう少し上手くやれ。復讐の調節などそうすればお主の目標に近づくであろう』
 そう告げるとソレは消えていく。それを確認すると僕はその場に膝をつく。そして全身から冷汗が出てくる気がする。本当に底が見えない。そしてまだそれは成長過程なのだろう。

「カオル、大丈夫?」
 すぐにメイが駆け寄り肩を貸してくれる。
「ああ大丈夫だ。にしてもあんな凄いヤツがいるとはなあ」
 お陰で吹っ切れた。何と言うかボタンを掛け違えていたというか努力の方向性を少し歪めていたというか。
「あれでも断罪NPCよ?」
「そうなのか?一度でいいから手を合わせて貰いたいが」
 それは無理だな。流石にそんなNPCを訓練ように貸してくれと言っても駄目だろうな。十全たる殺し合いの中で学びもあるのだが。
「論点が違うというか?貰いたい?」
 ありゃ濁したつもりだが気付くか。まあ確かに願いたいが基本的に言うセリフだしな。
「ああ。多分、今の僕たちでも7分持つか持たないかだろ。お陰で目標が出来たけど」
「そう思えるのはカオルだけ…」
 だよな。ほぼ全員がアイツの雰囲気に呑まれていたし僕も大剣に見惚れてアイツ自身はよく覚えていない。って意識の誘導されてるのかよ!

「じゃあ狩りでも行こう!」
「だな」
 PTを組んで草原へと出る。さて少しでも依頼達成のため国のために剣の錆になりやがれ有象無象。
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