40 / 61
壱章 クマさん道場
天剣逆鱗
しおりを挟む
「さて人の顔を見るなり攻撃するとは良い趣味してんな」
復讐はその性質上、攻撃してきた相手を判断し易くなる。どこかの大罪人団長と暗黒聖騎士の戦法を掛けて2で割った感じだからな。ソイツらにピンポイントで殺気を浴びせていき暗に覚えたと脅していく。はっきりいうとまだ門下の幼稚園生の方がマシな気がする。あのチビらはまだ武道が何たるかを理解していないがこんな事はしないだろう。まあこんな反撃をする自分も未熟者だな。ただ身内が標的になる以上は潰す。それは復讐を繰り出す以上は確実。
「人に刃を向けた以上はそういう認識で良いな?」
その内の1人に近づき襟元を掴み聞く。ただ恐怖を感じているのか一切答えようとはしない。はあ使えない。試しに別の人間にしてみるも効果はなし。あなた方はゴースト種ですかね。そりゃあ格闘種の僕の攻撃なんて当たるはずもないですよね。
「つまらないな。努力不足を他人に擦りつけないで欲しい。つい殺してしまいそうだ」
凄まじい量の覇気を放出しながらソレに近づく。ソレは復讐とは別の手段で縫い止めた者。
「さて今後一切関わるな三下。もうお前は盗んだ。ささっと全員を連れて消えろ」
辰之剣を喉元に突きつけ殺意を滲み出す。鞘に納められているとは言えどもかなりの存在感を放つその剣に充てられてかなんとか持ち直している。まあ盗んだのは復讐対象全員だけどな。瞬時に盗める程度の技量もないというわけだな。全員同時だったし。それと同時に右手に魔力を纏わせて飛んできた魔法を打ち消す。
「大道芸でもしてるのか?」
「なっ!おいGM見てるだろ!今、絶対チー」
腹蹴りを喰らわせてその言葉を紡がせない。流石にそれは逆鱗だ。
「盗んだ。そう言ったはずだ。お前の呼吸、動作、思考全てを盗み取ったと言った。もうどんな攻撃は意味がない」
というかあの程度ならユージオやアオイでも簡単に出来ると思うけどな。多少の才覚の違いはあれども現在に至るまでにしてきた努力の量と方向性があるわけでそれを全て蔑ろにして結果だけを叩くなら赦すわけがない。異能を使った知覚ならともかく完全にプレイヤースキルをそういう風に貶めるのなら裁きを。
「裁きの」
辰之剣が七色の輝きを放つと急に背後から覇大な気配がする。復讐はもう使えない。付呪は苦手属性が分からないから使えない。虚無幻想は周りへの被害が大きすぎる。術理はメイを巻き込む。
つまりは勝てない。存在の格が違いすぎる。復讐で墜とした連中がネズミとして僕がゾウならばソレは神龍だろう。昨日のクロノスドラゴンよりトリプルスコアはつけて上に居る格上。間違いなく万全でも3分保てば良い方だろう。
光の輝きを収めて辰之剣を鞘に収めるとソレは背中に背負う大剣を抜き放つ。禍々しくも何処か美術品のような美しさを持つ紫の大剣は魔力が絶大なほど宿っておりとてつもない存在感がある。もし仮に復讐が使えたとしても反撃する前に体が弾け飛ぶというか肉片一つ残らないだろう。
『決闘騒ぎがあると聞いてきたがまさかお主とは。ログデータを遡ってみたら面白いモノが見れた。流石は試練合格者』
威厳のある武人の声でそう称される。やっぱりアレってこの世界ではかなり凄いモノなんだな。偶々型に嵌ったから勝てただけで本来の能力を万全に使われていたら確実に負けていただろう。
「勿体なきお言葉。ですがどう考えても偶々です」
そう。幾らシュミレートしてもどう動いても勝てない。付呪の出力は足りない。魔法は完全に初級で体が壊れないようにして尚且つ虚に沈んだわけでもないが昨日と今日考え分かった。絶対に何らかの干渉を受けたと。というかそうでないと説明がつかない。
『謙遜は避け。アレはそう言うモノだ。お主のソレらはこちらも謎だが基本的には不干渉だ。それにソイツらは努力を少しもしていない怠け者だ。こんなに早く事を仕出かすとは思わんかったが。奈落』
一瞬で魔法が紡がれると復讐対象が全員地面に吸い込まれていく。…まずはこのレベルまでは成長する必要があるよな。多分それでも届くとは思ってもいないが。
『お主は一応、お咎めなしだ。ただもう少し上手くやれ。復讐の調節などそうすればお主の目標に近づくであろう』
そう告げるとソレは消えていく。それを確認すると僕はその場に膝をつく。そして全身から冷汗が出てくる気がする。本当に底が見えない。そしてまだそれは成長過程なのだろう。
「カオル、大丈夫?」
すぐにメイが駆け寄り肩を貸してくれる。
「ああ大丈夫だ。にしてもあんな凄いヤツがいるとはなあ」
お陰で吹っ切れた。何と言うかボタンを掛け違えていたというか努力の方向性を少し歪めていたというか。
「あれでも断罪NPCよ?」
「そうなのか?一度でいいから手を合わせて貰いたいが」
それは無理だな。流石にそんなNPCを訓練ように貸してくれと言っても駄目だろうな。十全たる殺し合いの中で学びもあるのだが。
「論点が違うというか?貰いたい?」
ありゃ濁したつもりだが気付くか。まあ確かに願いたいが基本的に言うセリフだしな。
「ああ。多分、今の僕たちでも7分持つか持たないかだろ。お陰で目標が出来たけど」
「そう思えるのはカオルだけ…」
だよな。ほぼ全員がアイツの雰囲気に呑まれていたし僕も大剣に見惚れてアイツ自身はよく覚えていない。って意識の誘導されてるのかよ!
「じゃあ狩りでも行こう!」
「だな」
PTを組んで草原へと出る。さて少しでも依頼達成のため国のために剣の錆になりやがれ有象無象。
復讐はその性質上、攻撃してきた相手を判断し易くなる。どこかの大罪人団長と暗黒聖騎士の戦法を掛けて2で割った感じだからな。ソイツらにピンポイントで殺気を浴びせていき暗に覚えたと脅していく。はっきりいうとまだ門下の幼稚園生の方がマシな気がする。あのチビらはまだ武道が何たるかを理解していないがこんな事はしないだろう。まあこんな反撃をする自分も未熟者だな。ただ身内が標的になる以上は潰す。それは復讐を繰り出す以上は確実。
「人に刃を向けた以上はそういう認識で良いな?」
その内の1人に近づき襟元を掴み聞く。ただ恐怖を感じているのか一切答えようとはしない。はあ使えない。試しに別の人間にしてみるも効果はなし。あなた方はゴースト種ですかね。そりゃあ格闘種の僕の攻撃なんて当たるはずもないですよね。
「つまらないな。努力不足を他人に擦りつけないで欲しい。つい殺してしまいそうだ」
凄まじい量の覇気を放出しながらソレに近づく。ソレは復讐とは別の手段で縫い止めた者。
「さて今後一切関わるな三下。もうお前は盗んだ。ささっと全員を連れて消えろ」
辰之剣を喉元に突きつけ殺意を滲み出す。鞘に納められているとは言えどもかなりの存在感を放つその剣に充てられてかなんとか持ち直している。まあ盗んだのは復讐対象全員だけどな。瞬時に盗める程度の技量もないというわけだな。全員同時だったし。それと同時に右手に魔力を纏わせて飛んできた魔法を打ち消す。
「大道芸でもしてるのか?」
「なっ!おいGM見てるだろ!今、絶対チー」
腹蹴りを喰らわせてその言葉を紡がせない。流石にそれは逆鱗だ。
「盗んだ。そう言ったはずだ。お前の呼吸、動作、思考全てを盗み取ったと言った。もうどんな攻撃は意味がない」
というかあの程度ならユージオやアオイでも簡単に出来ると思うけどな。多少の才覚の違いはあれども現在に至るまでにしてきた努力の量と方向性があるわけでそれを全て蔑ろにして結果だけを叩くなら赦すわけがない。異能を使った知覚ならともかく完全にプレイヤースキルをそういう風に貶めるのなら裁きを。
「裁きの」
辰之剣が七色の輝きを放つと急に背後から覇大な気配がする。復讐はもう使えない。付呪は苦手属性が分からないから使えない。虚無幻想は周りへの被害が大きすぎる。術理はメイを巻き込む。
つまりは勝てない。存在の格が違いすぎる。復讐で墜とした連中がネズミとして僕がゾウならばソレは神龍だろう。昨日のクロノスドラゴンよりトリプルスコアはつけて上に居る格上。間違いなく万全でも3分保てば良い方だろう。
光の輝きを収めて辰之剣を鞘に収めるとソレは背中に背負う大剣を抜き放つ。禍々しくも何処か美術品のような美しさを持つ紫の大剣は魔力が絶大なほど宿っておりとてつもない存在感がある。もし仮に復讐が使えたとしても反撃する前に体が弾け飛ぶというか肉片一つ残らないだろう。
『決闘騒ぎがあると聞いてきたがまさかお主とは。ログデータを遡ってみたら面白いモノが見れた。流石は試練合格者』
威厳のある武人の声でそう称される。やっぱりアレってこの世界ではかなり凄いモノなんだな。偶々型に嵌ったから勝てただけで本来の能力を万全に使われていたら確実に負けていただろう。
「勿体なきお言葉。ですがどう考えても偶々です」
そう。幾らシュミレートしてもどう動いても勝てない。付呪の出力は足りない。魔法は完全に初級で体が壊れないようにして尚且つ虚に沈んだわけでもないが昨日と今日考え分かった。絶対に何らかの干渉を受けたと。というかそうでないと説明がつかない。
『謙遜は避け。アレはそう言うモノだ。お主のソレらはこちらも謎だが基本的には不干渉だ。それにソイツらは努力を少しもしていない怠け者だ。こんなに早く事を仕出かすとは思わんかったが。奈落』
一瞬で魔法が紡がれると復讐対象が全員地面に吸い込まれていく。…まずはこのレベルまでは成長する必要があるよな。多分それでも届くとは思ってもいないが。
『お主は一応、お咎めなしだ。ただもう少し上手くやれ。復讐の調節などそうすればお主の目標に近づくであろう』
そう告げるとソレは消えていく。それを確認すると僕はその場に膝をつく。そして全身から冷汗が出てくる気がする。本当に底が見えない。そしてまだそれは成長過程なのだろう。
「カオル、大丈夫?」
すぐにメイが駆け寄り肩を貸してくれる。
「ああ大丈夫だ。にしてもあんな凄いヤツがいるとはなあ」
お陰で吹っ切れた。何と言うかボタンを掛け違えていたというか努力の方向性を少し歪めていたというか。
「あれでも断罪NPCよ?」
「そうなのか?一度でいいから手を合わせて貰いたいが」
それは無理だな。流石にそんなNPCを訓練ように貸してくれと言っても駄目だろうな。十全たる殺し合いの中で学びもあるのだが。
「論点が違うというか?貰いたい?」
ありゃ濁したつもりだが気付くか。まあ確かに願いたいが基本的に言うセリフだしな。
「ああ。多分、今の僕たちでも7分持つか持たないかだろ。お陰で目標が出来たけど」
「そう思えるのはカオルだけ…」
だよな。ほぼ全員がアイツの雰囲気に呑まれていたし僕も大剣に見惚れてアイツ自身はよく覚えていない。って意識の誘導されてるのかよ!
「じゃあ狩りでも行こう!」
「だな」
PTを組んで草原へと出る。さて少しでも依頼達成のため国のために剣の錆になりやがれ有象無象。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く
オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。
しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。
農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ!
※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる