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髙﨑 レイ

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壱章 クマさん道場

幼馴染とアマ

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 朝食を素早く済ませて全員分の弁当をささっと作り佳奈と悠二を学校に送ってから3人で学園に登校する。いやあの2人も同じ学園の小等部なんだけどね。徒歩圏内だし。
「おはよう3人とも」
「おう、おはようさん」
「おはよう」
「おはよう、拓郎」
 丁度よく、下駄箱の前にタクこと土井拓郎が居た。若干汗拭きシートの匂いがすることから今日も部活動の朝練習なのだろう。そういえばセンバツに出るんだっけ。この野球部四番投手さまによって。基本的には盾と槍を教授しているわけだが投槍もなぜか流派の自衛隊に教え込まれておりその才能を開花させたわけだ。時速160kmを超す真っ直ぐやよく落ちるフォークに切れすぎて捕手が取れないスライダーなどがある。ちなみに100mならすでに世界でも勝負可能な足を持つ。

 はい、察しての通り野球における超人です。既にドラフト1位で確定している。まだ一年生なのに。ちなみに僕・栄治と3人で奇跡のトリオとリトル時代は呼ばれておりまず同年代では試合にならなかった。まあ僕らの投げたボールは僕らしか取れていないけど。走の天埜、攻の土井、守の火野と言われており負け知らずだ。まあ途中から実家で忙しくなった僕とプロゲーマーの世界に誘われた栄治は離脱することになったが拓郎は今もまだ続けている。というかどハマりしており今でもたまに勝負させられる。ちなみにコイツの所為おかげで動体視力がかなり強化されている。どうでもいいか。

 4人で教室に入ると既に7割型埋まっている。うんいつも通りだな。

「おはよう、みなみ」
「おはよう香織。それに皆も」
 そう言えば約2週間ぶり会うのが今、目の前にいる少女で風間みなみ。声優兼アイドルで既に一定層のファンを持つ。ここ最近は劇場版の収録故か学園に全然来れていなかったが昨日、ゲームにログインしていたように長いお仕事も終わったらしい。
「大丈夫なの体?」
「ある程度は。朝も乱取りしてきたし」
 というかそんなに酷いのかよマイボディ。女顔で小柄とはいえ武家の一員なんだし昨日の夜にも感じたように寧ろ優れている体調に手間取っている。
「…体は労ろうぜ香織」
「お前に言われたくないわ」
 そっと肩に手を置いてきた拓郎だが僕が知る中で平気で無茶をするのは彼1人なので本当に言われたくない。ちなみに沙月や栄治にも言われたくない。前者は締め切りが迫ると睡眠時間をかなり削るし後者はアチコチ飛び回る上に基本的に土日はほぼゲームや自己鍛錬しかしていないので健康的ではない。その点みなみはちゃんとしている。どこかおっちょこちょいけど。
「そう言えば香織さんに来客がお昼の授業からあると学園長から伺っています」
「ありがと。にしても誰が?」
 家族ならあの父さんや義母さんだろうけど佳奈や悠二に連絡させるだろうしそれ以外なら家の固定電話か道場用の電話にメールなり電話なりがあるはず。あるとしたら柳葉楓だろうがそれならみなみではなく沙月だな。
「詳しくは本人に直接伝えると。そろそろSHRなので席に着かれては?」
「だな」
 今の口調はみなみ本人のではないな。軽くデコピンすると入っていたことに気付いてらしく顔を赤く染めた。ここら辺が大きな課題だよな、みなみの。その分ロールプレイは本当に凄いモノだが。

 そして授業はあっと言う間に過ぎて5人で仲良く昼食を食べて一応の身嗜みを整えて学園長室に入る。
「失礼します」
「来たわね、香織くん」
 その部屋に居るのは妖艶な表情をした女性。肌を見るにまだ三十代前半と言ったところか。溢れ出る色気があるがどうにもこの人を信用出来そうにない。
「久しぶりかしら。どう?私としっぽりしない?」
「殺しますよ」
 冗談だと分かってはいるがどうにも苦手だ。なんというか狐みたいな感じで掴みようがない。
「はいはい。流石は天埜家長男にして異能者ね。私を簡単に殺すなんて言うのは貴方くらいよ」
「で話とは?仕事ですか?」
 以前にとある事態からこの女から仕事を受けているがどうにも本来の依頼人は違うらしく裏が読めない。
「いえ違うわ。実はまだその相手が来ていないの」
「前回までとは違うと」
「ええ。だから貴方もこっちね」
 そのレベルかよ。一体誰なんだ?

 しばらくするとノックがされる。
「どうぞ」
『失礼する』
 返ってきた返事は老人男性のもの。多分だが杖をついている。

 ガチャっという音と同時に扉が開く。

 えっ!?

「久しいのを。謡」
 三枝謡が学園長の名前だ。セカンドネームってことはそれなりの仲なのか。
「ええお久しぶりです」
 如何出ればいいか分からんな。紹介を待つか。そう考える前に御老人は席に座る。あの杖って重心とか構造がおかしいな。鉛か?
「そちらの方が例の子ですか」
「ええ。我が校が誇る生徒の中でも珍しいタイプです」
 雲行きが怪しい。ロクなことじゃないなー?
「君、名前は?」
「天埜香織と申します」
「ほう。あの天音の忘形見か。顔も似ておる」
 天音!それは母さんの名前。
「母についてナニカ知っているのですか」
 父さんも話たがらないしな。まああの人のことだからとんでもない事実で僕が壊れるのではと思っているのかもしれない。歪すぎる思考しか持てていないわけだし。
「あの娘の担任をしたことがあるからのう。本当に似ている。目の澄み具合とか魂の輝き方とか」
 この人は一体何者だ?そんなモノは普通の人には見えない。底が見えない魔性。
「おおっと忘れていたのう。儂は英義。そこに居る謡の祖父に当りここら一帯を占める妖怪の頭首じゃ」
「えっ!?」
「そんで持ってお主に依頼したい。次の日曜にとある亡霊を討って欲しい」
 うん人伝なんて持っての他だね。亡霊なんて信じれる人は少ないしな。でもここ最近は全く耳にしていない。あの事故の時に少し出た程度。
「その亡霊とは?」
「なんでも鎧兜型。霊刀はこちらで準備しよう」
 受けさせる気前提かよ。別に良いけどさあ。
「報酬は円満30枚」
 破格すぎる。裏があるとしか思えない。というかそんな金額どっから出てんだ?
「受けよう。場所を」
「綿津見神社の裏庭だ。なんでも蒼い鎧兜のことだ」
 綿津見ってことは海神か。なんで今になって出てくるかね。まあ家の教義に反するので殺すが。

 さて取り敢えず一言。

 最近強敵多過ぎない。
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