NEXT LIFE ONLINE

髙﨑 レイ

文字の大きさ
上 下
30 / 61
壱章 クマさん道場

巧さと上手さ

しおりを挟む
「機嫌直せ佳奈。ほらシャーベット」
 全員分の食器を洗浄機に入れて冷凍庫から昨日作り置きしていたシャーベットを人数分取り出す。
「うん。でもなんで香織お兄ちゃんはカナデさんのこと気に入ったの?」
「なんとなくだが上手くて巧い気がしたんだ彼女は」
 一同は首を傾げているがやっぱりよく伝わらないか。
「例えばだが僕は天埜流武術の皆伝故にある巧さがある」
「ここにいるのほぼそれの継承者だがな」
 それは言うなよ。この5人の内3人はその生まれなんだから。
「ただシステムを上手く使えるわけじゃあない。まあこれは武術家の抱えるアシストの弊害だろう」
 システムによる体の動きで戦技を繰り出すという仕様上、万人が使えるモノではなくてはならない。そう体が強制的に動かさられる感覚があるから使わない選択をしても結局は使えるわけだから上手くはない。下手だというべきだ。
「素人か完成したものか、何方かでしかあり得ないが稀にその両方を併せ持つ人が居る」
「それがあの娘?」
「まあ。リアルチートってようはそう言う支援の効果が裏目に出る場合もあるか。じゃあ何でカナデは?」
「さあ?アシストを前提とする動きを覚えたのか自衛のために護身術を身につけているだろう」
 そんな人物見た事ないから分からない。サバゲーを趣味としていた頃じゃあ勘や精密射撃に特化してたり影が薄い人は居なくもなかったが。天然モノってわけか。
「センススキル?って言うらしいわ。例えば読唇術とか読心術とか」
 うんとんでもないよその2つ。
「真偽判定、罠看破、罠解除」
 となると全種武具や調合や泳ぎ釣りに各種生産と広がるな。
「リアルスキルを扱う巧さとゲーム的システムを利用する上手さが両立しているのは珍しいなと思っただけ」
 何方かがもう一方に多少引きづられる場合はなくもないし異能者研究もそういう背景がある故になされたのだが結局のところ成果なしでまとめざる終えなくしたし。
「ひょっとして俺もか?」
「多少リアルスキルに頼ってるだろ。いやお前の場合そっちの方が良いかも知れん」
「えっ?」
「簡単な話。リアルスキルは個人依存型。ゲーム毎でアシストが多少変わってしまうなら必要ないだろ」
 それに対応するのもプロとして必要と言い切られればそれまでだが。栄治の場合そこら辺は勘で掴んでしまうだろうし多少のシビアな判定も楽に対応出来る技量があるわけだが。今のスタイルが格闘と二刀流一撃型で習得中が二刀流連撃型。二刀流は重ねさせるとして短剣による翻弄型にパルチザンもしくはハルバートだな。
「そう言われればそうなんだが。エレンには勝てない」
「天災女王ね。相性だろ」
 エレン・L・アスタルト
 某米国が誇る現在のゲーム界で史上最強の名を欲しいままにしているプロゲーマーだ。テンション型とでも言うべきか学習型とでも言うべきか訳分からない少女だ。ちなみに栄治が世界王者になった試合の決勝の相手で本家大元初披露だった刀で最初は圧倒したが最終ラウンドではほぼ五分だった。まあ本当に相性だ。僕や佳奈、悠二は簡単に完封出来そうだ。
「相性って勝てるのか?」
「暗器には弱いだろ。ああいうタイプ」
「確かに。最後は匕首だったし」
 それは暗器じゃない。護身用だ、少なくとも天埜流武術では。
「佳奈に教わるか?流石に暗器は教えれるほど巧くないし」
 こればかりは才能だ。器用貧乏か一芸特化か。虚をつくのか正面切って倒すのか。殺し方にも色々ある。全く教えていないアレもあるし。術理も使用なしでよく勝ち抜けるとは思うが。
「俺は別に良いが佳奈ちゃんは?」
「私は構いません。香織お兄ちゃんの弟子ですし色々と教えるのも楽しそうなので」
 ようやく機嫌を取り戻したか。うん、もうこんな時間か。
「さてとみなみや拓郎との約束の時間だしそろそろログインするか?多分2人のギアにもインストールされただろうし」
 とある事情で最高級のギアがあるしな2人とも。ゲームのインストールくらいなら数分あれば終わる。
「それ俺も加わっていいか?カナデ用事があるって言われたから」
「別にいいが佳奈と悠二も始めるわけだし」
 出来れば面倒を見るくらいはしたいがまだ数時間しか触れていないわけだしな。不安だ。
「大丈夫。着いていく」
「ばっさばっさ斬ればいいわけだし」
 何でこんな脳筋思考?まあ僕も似ているけどさ。酷くない?
「大丈夫だろ。別に全く戦えないわけでもあるまいし」
「2人なら大丈夫。香織の妹弟だから」


 結局、全員でリビングにあるソファーに寄り掛かる。
『NEO‘S起動』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く

オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。 しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。 農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ! ※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています

もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。 使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。

処理中です...