27 / 61
壱章 クマさん道場
神速と不壊
しおりを挟む現在の段階で踏み込めるだけ踏み込む。その出力はあの時の全力だったクロノスドラゴン戦の出力とは比べものにならないほどの力が溢れている。それでも現在のレベルやステータスの半分にも満たないだろう。
だからなんだって話ではあるが。そもそものステータスはあんなに加速度的に増えていくものではない。だからこそあの頃はあの異能を多用していた。アレを活かすのに必要なのは術者本人の武道の腕。故にある銘は【不動の神速】。驚愕すべきステータスはAGIとMP特化。幼き頃の話とはいえどもその半分は踏み込めるのだ。全てがスローの状態で動くのは難しく身体を動かすのもままならないが見えている。背後からじっくりと迫ってくる矢も一般人からすれば高速だろう。
いわゆるゾーン。さっきのゴブリンどもに使った必要ない感覚を消してそのリソースを他に回すとは別のゾーン。動きは簡単に分かるが踏み込みすぎるが故に動けない弊害を持つ全力。この時間こそ一番重要だ。
全ての計算が終わった。だからこそ割り振る。
カオル レベル30
LP 1400 MP 2050 ST 2050 AP 173
STR 185
VIT 120
AGI 185
WIS 185
DEX 185
LCK 120
チラッとステータスを見る。全値28を均等に振って残り5は保留。
カオル レベル30
LP 1400 MP 2050 ST 2050 AP 5
STR 185(+28)
VIT 120(+28)
AGI 185(+28)
WIS 185(+28)
DEX 185(+28)
LCK 120(+28)
ふむ。APで得たステータスはLP、MP、STの補正に入らないと。まああくまで参考値だしスキルやジョブそれに装備による補正はここには明記されないからな。
たった一歩の踏み込みでもその恩恵は分かる。ただ慣れていない急激な上昇が身体を振り回す。目のみをなんとか踏み込み現在の全力で解放する。いつもなら最短距離で振っていたであろう辰之剣を強引に振り回して雹弾と炎矢を相殺する。すると一気に狼二匹が迫ってくる。なんとか素早く跳躍してその突撃を回避する。
「カバー」
「付加 VIT」
スローになった時間の中でタクとメイの声がする。少し不味いか。魔法陣を展開する。できるか?ソレを魔力へと変換して反転している足場で爆発させる。それにより若干のダメージを受けるが気にしない。
天埜流剣術片刃輪
二匹の首を切先三寸…刀でならば斬りやすい位置になるように振るう。それと同時に落下の勢いを全て使い切りストンと何事もなく着地する。
「エネルギーアロー」
牙の根本を狙った狙撃を至近距離で放つも精密性ゆえに回避される。そして再び狼が突進してくる。ただ今回は角と牙に魔力を込めて居る。
「タク、戦技を使われる!」
「なっ!カバー ワイドガード ピアースガード コールヘイト」
現状覚えているという全ての盾の戦技を使用した上で大楯を構えて来るべき衝撃に備える。
「エンハンスガード アクアベール」
「エンハンスアーマメント ウィンドベール」
タクの真後ろの2人の補助魔法がタクを包む。ただそれだけというのに不壊を思わせるような気配を漂わせる。
「じゃあやりますか。共鳴タク タクセット」
即座にタクの後ろに周り彼の心臓近くの位置に手を当てて唱える。僕の力を補正値も含めて押し流す。LP、MP、STが循環し1つとなる。
「これも久しいな!竜人化 付呪岩」
その言葉に呼応するようにタクの体がドラゴンの特徴を持つドラゴニュートのモノへと変化する。
そして先ほどよりも小さな衝撃音とほんの小さな揺さぶりが起こる。がこの程度いつもの稽古で慣れている衝撃だ。
「さて止めとするか。限定神地槍」
トリアイナ
別名トライデント。ギリシア神話において、ポセイドーンはギリシアの水源や馬を作り出すのに、古代ギリシア語でトリアイナ (τρίαινα) と呼ばれる三叉の矛を使用した。ポセイドンは海の神であると同時に地震を起こす神でもあり、彼が怒り、地を突くときには地震が起こり、トリアイナを使用して大波、津波、嵐を巻き起こすとされるだっけ。大分前にwikiを見た時そんな説明だったはず。地槍ということはあと何属性あるのだろうか。
そう疑問に思うより前にMPがドッカンと減った気がする。酩酊したような気分になる。ただその分の威力は強力無慈悲だ。前方の地が裂け大きな地震が起こり大きな岩が砕けて散弾のように周囲に巻き散る。ただし誰もLPは減っていない。そういうスキルなのかそれともタクの能力なのかは分からないが異常なことだろう。
一通りの破壊活動が終わると2人してその場に崩れる。まあ無理もないか。こんなに大規模破壊したわけだし。
「カオルあとどの位?」
インベントリの中身とセリアの注文メモを見ているとタクの回復を済ませたメイが聞いてきた。
「あとは地霊の石と石鱗かな」
「となると鉱山方面だな。一旦ログアウトして飯だな」
飯の時間?メニューを立ち上げると確かに2種の時計がある。片方はデジタルでゲーム内時間。でアナログはリアルの時間で既に7時半だ。ゲームを始めたのが4時から妥当と言えば妥当か。ゲーム内じゃあ時間加速するわけだし。
「リアル時間で9時からで良いな?」
「問題なし」
「同じく」
「僕も大丈夫」
タクの提案に全員が問題と示す。まあ僕とメイは諸事情で1人暮らしだしミュウやタクも趣味には全力な家庭だし。
なんで家の門下生なんだろう。皆の両親。
そう思いつつログアウトした。
10
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く
オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。
しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。
農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ!
※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる