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壱章 クマさん道場
適性
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飛んできた石の礫を剣で弾き返す。
「3時の方向。120度」
その方向に矢が鋭く飛ぶ。その上で岩槍と水弾が続く。魔法を撃つ必要はないな。
矢が着弾して岩槍が貫き水弾が制圧する。それだけで光の粒子となって消える。
「早いな。弾丸を撃つ必要なしか」
「俺、タンクなんだけどなあ。索敵必要ないのは助かるけど」
左手を視線感じた方向に出し唱える。
「天閉門」
その重圧が全てを封圧に閉ざす。たったそれだけで周囲から大量の光が漏れ出でる。うん楽だわ。
「カオル今のは?」
「バベル。用は刃と一緒だな。攻防一体異能。ちなみに気絶の原因」
「おい!やっぱりデタラメな対応力だな」
「異常はないみたいだけど無茶は厳禁」
そう言ってメイがペタペタと体を触ってくる。無茶はしていないし出力もわりと落とせたしな。
「カオルさんなんであんなことを?」
ミュウが心配そうな表情でこちらを見ている。まあ普段なら確かにしないわ。
「少し嫌な夢を見てな。どうにも早く成長しておく必要性がありそうでな」
辰之銃を抜きミュウの背後にいるモンスターを狙撃する。
「——ウインドカッター」
それと同時にミュウが後ろ向き魔法と矢を同時に放つ。ただそれだけで推定75m先から光が溢れる。
「ほぼソロ専用だろカオルって」
「まだ抜けてないだけだろ。あの頃の感覚が」
あるいは長年ネトゲをソロでプレイし続けた弊害か。一人で全てをこなそうとしてしまう。
「そう言えば熊公ってどこら辺なんだ?」
「こっちとは真反対。どうも熊公以外のボスエリアまではあるがそっから先はまるっと崖で囲まれているらしく」
「らしい?なんでまた」
既に稼働3か月あるわけだし攻略の糸口が見えないのは可笑しいと思うのだが。
「いやそれがさっぱり。兎に角突破出来ていないのがそこだけで金曜日の夜から攻略しようって話が出てた」
「ウチにフラグメントやクラフトで。フルレイドを組む予定だったけどトップ2人が使えないとなるとな」
やらかしたか。いや一部戦力に頼り切っていたら前には進めない。それに作戦までにはあと2日ある。乱桜を一部でも形にしていれば補うことは可能だろう。いやその程度はしてもらう。全盛期の付呪には耐えてもらう必要が彼女にはある。あくまで多用な属性を選択するのにリソースを割いている付呪と栄治の煉獄焔装には耐えれない。エージが多用するとは思わないが何かあったらアイツは真先に彼女を優先するはず。
「大丈夫でしょう。2人してクソ真面目ですし」
ミュウの評価が若干酷い気がする。普段は怠惰そうな表情しているのにな。対人、対軍での戦場管理が得意なメイに対してミュウは対NPCや分析が得意だ。寧ろ魔道具や兵器に詳しいのはミュウだろう。それこそ一瞬で装備制作者を見抜けるほどに。
「ええ。それにカオルの課題をクリアしないわけないわよ」
そこまで重視するように言った覚えはないぞ。まあ僕だったら最初は100回は殺すだろうけどよ。その上で模擬戦千本。それから素振り1万回。そこから術理を説く。
「怖くないかコイツらの底なしの信頼」
「ああ。少なくとも無理だと思う」
そっと耳打ちしてきたタクに返す。流石にその発言には驚いている。
「ちなみに何故だ?エージが教えるわけだろうし」
「エージだからだ。アイツは乱桜を理解しているわけでもないし教えるのも上手くない、いや下手だ」
天才肌かつ一撃必殺やクリティカルを狙う強撃がエージだが見た感じカナデは手数型そして無数の努力やトライ&エラーを重ねるタイプ。その違いはかなり大きい。幸いなのは同じ武器種であることくらい。だからこそ分解を指示した。カナデには悪いがどちらかと言うとエージの成長の割合が大きい。
「ならなんでエージに託した」
「それがアイツのためだ。より正確に言えば今の僕ではあの2人を成長させる段階でない。お互いにだ」
フルダイブゲームに復帰した僕とひとに教える立場に上がっておらず武術家としての力を溜めるべきエージに術理を扱うべき段階に達していないカナデ。全員が全員欠陥を抱えているのだ。理論上数%可能なだけ。
「ただアイツはプロだ。僕たちのように数回のうちに1回を引けばいいがアイツは小数点の彼方にある可能性を一回で引き続ける必要がある」
「それはお前がプロゲーマーと言う色眼鏡で見ているだけだ」
事実だ。確かにそう言う色眼鏡で見ているのは確か。ただそれは成長していく上で栄治が選んだ選択。そしてその言葉は僕の言葉じゃない。
「アイツが世界王者になった試合の解説や本人の感想からそう言った成長が必要と師範代やアイツの師匠との話し合いで決まった」
天埜流武術の術理こそ用いてないが決勝戦では動きがかなり分析されていた。もう少しで負けていたはず。それから多少のバリエーションは増やしたが成長速度は確実に遅い。手数による攻めも身につけてはいるが所詮は付け焼き刃。次の大会はもう一月しかない。今身につけるとしたら一番近い二刀流連撃。
「それはそうだが。でもアイツは知ってるのか?そんな重要なこと」
「まさか。ただ強くなるためで自分の成長には必要だというのは頭では理解しているはず」
そう頭では。どこまで成長できるかは心次第。ただそれが出来れば飛躍だ。それこそ一瞬で駆け上がったからこそ突き刺さった今回とは別で常に複数のパターンをチラつかせるだけでも充分にストレスを与えられる。
そんな雑談をしながら森を進む。
「さてとそろそろボスエリアだな」
そのタクの言葉と同時にその咆哮は聞こえる。
そして一番槍の如く迫ってきたそれにギリギリで剣を振り抜く。振り遅れた?
「3時の方向。120度」
その方向に矢が鋭く飛ぶ。その上で岩槍と水弾が続く。魔法を撃つ必要はないな。
矢が着弾して岩槍が貫き水弾が制圧する。それだけで光の粒子となって消える。
「早いな。弾丸を撃つ必要なしか」
「俺、タンクなんだけどなあ。索敵必要ないのは助かるけど」
左手を視線感じた方向に出し唱える。
「天閉門」
その重圧が全てを封圧に閉ざす。たったそれだけで周囲から大量の光が漏れ出でる。うん楽だわ。
「カオル今のは?」
「バベル。用は刃と一緒だな。攻防一体異能。ちなみに気絶の原因」
「おい!やっぱりデタラメな対応力だな」
「異常はないみたいだけど無茶は厳禁」
そう言ってメイがペタペタと体を触ってくる。無茶はしていないし出力もわりと落とせたしな。
「カオルさんなんであんなことを?」
ミュウが心配そうな表情でこちらを見ている。まあ普段なら確かにしないわ。
「少し嫌な夢を見てな。どうにも早く成長しておく必要性がありそうでな」
辰之銃を抜きミュウの背後にいるモンスターを狙撃する。
「——ウインドカッター」
それと同時にミュウが後ろ向き魔法と矢を同時に放つ。ただそれだけで推定75m先から光が溢れる。
「ほぼソロ専用だろカオルって」
「まだ抜けてないだけだろ。あの頃の感覚が」
あるいは長年ネトゲをソロでプレイし続けた弊害か。一人で全てをこなそうとしてしまう。
「そう言えば熊公ってどこら辺なんだ?」
「こっちとは真反対。どうも熊公以外のボスエリアまではあるがそっから先はまるっと崖で囲まれているらしく」
「らしい?なんでまた」
既に稼働3か月あるわけだし攻略の糸口が見えないのは可笑しいと思うのだが。
「いやそれがさっぱり。兎に角突破出来ていないのがそこだけで金曜日の夜から攻略しようって話が出てた」
「ウチにフラグメントやクラフトで。フルレイドを組む予定だったけどトップ2人が使えないとなるとな」
やらかしたか。いや一部戦力に頼り切っていたら前には進めない。それに作戦までにはあと2日ある。乱桜を一部でも形にしていれば補うことは可能だろう。いやその程度はしてもらう。全盛期の付呪には耐えてもらう必要が彼女にはある。あくまで多用な属性を選択するのにリソースを割いている付呪と栄治の煉獄焔装には耐えれない。エージが多用するとは思わないが何かあったらアイツは真先に彼女を優先するはず。
「大丈夫でしょう。2人してクソ真面目ですし」
ミュウの評価が若干酷い気がする。普段は怠惰そうな表情しているのにな。対人、対軍での戦場管理が得意なメイに対してミュウは対NPCや分析が得意だ。寧ろ魔道具や兵器に詳しいのはミュウだろう。それこそ一瞬で装備制作者を見抜けるほどに。
「ええ。それにカオルの課題をクリアしないわけないわよ」
そこまで重視するように言った覚えはないぞ。まあ僕だったら最初は100回は殺すだろうけどよ。その上で模擬戦千本。それから素振り1万回。そこから術理を説く。
「怖くないかコイツらの底なしの信頼」
「ああ。少なくとも無理だと思う」
そっと耳打ちしてきたタクに返す。流石にその発言には驚いている。
「ちなみに何故だ?エージが教えるわけだろうし」
「エージだからだ。アイツは乱桜を理解しているわけでもないし教えるのも上手くない、いや下手だ」
天才肌かつ一撃必殺やクリティカルを狙う強撃がエージだが見た感じカナデは手数型そして無数の努力やトライ&エラーを重ねるタイプ。その違いはかなり大きい。幸いなのは同じ武器種であることくらい。だからこそ分解を指示した。カナデには悪いがどちらかと言うとエージの成長の割合が大きい。
「ならなんでエージに託した」
「それがアイツのためだ。より正確に言えば今の僕ではあの2人を成長させる段階でない。お互いにだ」
フルダイブゲームに復帰した僕とひとに教える立場に上がっておらず武術家としての力を溜めるべきエージに術理を扱うべき段階に達していないカナデ。全員が全員欠陥を抱えているのだ。理論上数%可能なだけ。
「ただアイツはプロだ。僕たちのように数回のうちに1回を引けばいいがアイツは小数点の彼方にある可能性を一回で引き続ける必要がある」
「それはお前がプロゲーマーと言う色眼鏡で見ているだけだ」
事実だ。確かにそう言う色眼鏡で見ているのは確か。ただそれは成長していく上で栄治が選んだ選択。そしてその言葉は僕の言葉じゃない。
「アイツが世界王者になった試合の解説や本人の感想からそう言った成長が必要と師範代やアイツの師匠との話し合いで決まった」
天埜流武術の術理こそ用いてないが決勝戦では動きがかなり分析されていた。もう少しで負けていたはず。それから多少のバリエーションは増やしたが成長速度は確実に遅い。手数による攻めも身につけてはいるが所詮は付け焼き刃。次の大会はもう一月しかない。今身につけるとしたら一番近い二刀流連撃。
「それはそうだが。でもアイツは知ってるのか?そんな重要なこと」
「まさか。ただ強くなるためで自分の成長には必要だというのは頭では理解しているはず」
そう頭では。どこまで成長できるかは心次第。ただそれが出来れば飛躍だ。それこそ一瞬で駆け上がったからこそ突き刺さった今回とは別で常に複数のパターンをチラつかせるだけでも充分にストレスを与えられる。
そんな雑談をしながら森を進む。
「さてとそろそろボスエリアだな」
そのタクの言葉と同時にその咆哮は聞こえる。
そして一番槍の如く迫ってきたそれにギリギリで剣を振り抜く。振り遅れた?
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