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壱章 クマさん道場
いつかの時 どこかの場
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「えっ、香織?いやカオル?」
「どう言うこと?」
錯乱しているメイを抱き寄せて殺気を向ける。左手も開けてドロップ品の投槍を持つ。
「あれ現実でのカオルに似ている。でもなんか違う」
「そりゃあ性別が違うわけだし。うん?」
言われてみればさっきキャラメイクで見た自分の姿に似ていなくもないが確かになんか違う。生気がないしなにより覇気がない。
「いつかの私、どこかの貴方」
彼女は表情一つ変えずに紡ぐ。
「バグか?僕だけに見えるならともかくメイにも見えているわけだし」
「そんな単純な話には見えないけど」
ちなみにこの時代のゲームなどではバグはほぼ起きない。仕様外の状態になる事案は度々発生するし謎の干渉により異能が作用してしまう事もあるのでバグは単純な話ではない。
ただこの師匠と弟子は異能絡みや天埜流術理などによりバグの方が軽く見えている。
「目覚め始めた私に言う」
「私って僕のことだよな?」
「前世含め過去がずっと同じ性別とは限らないからそうじゃない?」
ちなみに2人だけの秘密であるが人間には輪廻が存在している事を理解している。神魔再生の副作用とでも香織の異能の代償とでも言うべきナニカによって辿り着いた理である。
そんなこと気にせず続ける。まるで旧時代ゲームのNPCのように定型文を繰り返すように進む。
「その時は近い。それが起きる前にそれが進む前に熾る災厄」
「大予言じみてるな~」
「にしてもなんで私たち?聖女と勇者がいるはずなのに」
呑気に呟くが2人にして記憶力は良くなんなら神魔再生を利用した解析もできるので聞き流している。
「火は必殺、門は鍵、礫は刃、呪は光」
終焉焔、天閉門、付呪にかつての力。そこまで分析されているとは思っていたがそこまでとは。
「系統樹や無限は翻る翼。100の芸は共に響く」
この世界で判明した系統樹の光、無限の飛躍そして共鳴と武器百芸。ここまで全ての意味はなんとなくだが分かる。ただ未だ分からないのが一つ。
「不屈。それは知らずのうちに全てに影響を与える。いつかの時、どこかの場私は知る。貴方を。貴方は私を知る」
随分と要領を得ないが何かしらの内に屈しないようにしているのだろう。
「で結局、君は?」
全ての武器を仕舞い殺気を消す。取り敢えずあの子が僕の過去もしくは未来である事は理解した。がなぜ今接触してきたのか分からない。
「魂の欠片。今言えるのはそれだけ。ただ確実なのは停滞していた世界のギアが回り始めたこと。それに伴う変化の予兆を貴方に伝えるだけ」
停滞か…。緩やかだが世界のギアとやらは回っていたと。ただいつから停滞していたかも不明なソレがいつその予兆に辿り着くかが分からないわけだし。
「そしてメイだったわね。いつかの私が側に置いてた選ばれし英傑の1人にして…」
そこまで告げるとまるで最初から居なかったように消えた。
「…」
「…最後の何だったのかな?」
「さあ。でもあの感じ」
彼女の哀愁漂いどこか後悔を感じる表情。あの子は失ったのだろうか。側に置いたいつかの沙月を。
「家族のように大切のはずだよ。幾重の時を超えても魂で結ばれているのを確認して」
「その上で私の進むべき道を示したと」
僕の考察を注ぐように彼女は結論付ける。全くの同意見だが一つ気がかりが生まれる。
僕は沙月を失っても屈していない。
つまりこの世界・この時でも失ってしまうのかも知れない沙月を。
その考えがただただ堪らなく怖く恐ろしく絶望的だった。
自然と沙月を自分の体に押し当てる。彼女の鼓動を温もりを存在をすぐ近くに感じていたい。例えこの感触が仮初で創られたものでもここに居ると肯定したい。
「カオル。…」
何かを悟ったのかそっと背中を背すり頭を撫でる。その感触がただただ心地よい。
「大丈夫。私たちは何があっても側にいるから。一番近くで支え続けるから」
「…」
「…」
「頼むよ。メイ」
「任されたわ。カオル」
装備品を全て装備する。
「にしてもカオルって何が試練クリアした?」
同じく普段使いの装備にお着替えしたメイがいる。修道服ではあるものも何処か和テイストだ。ただメイの黒い髪と水晶のように透き通った紫の瞳に合っている。
「辰之刻を。ひょっとしてミュウ?」
「…そう。ミュウの異能で」
マジか。使ったのか?あんな代物。エージの面焼きよりも使い道が狭い異能で?
「それにその作品のほぼを見分けたのもあの子」
弟子、優秀すぎね。ー女性陣だけだけど。
「じゃああの2人の所行こうか?」
「だよな。やっぱり同じクランだよな」
ドアをメイが開けて部屋を出てリビングらしき集会所に入るとソレは勢い良く飛び出しくっついてきて。その場に押し倒される。後頭部を床に打ち付け今日何度か分からない失神をした。
「どう言うこと?」
錯乱しているメイを抱き寄せて殺気を向ける。左手も開けてドロップ品の投槍を持つ。
「あれ現実でのカオルに似ている。でもなんか違う」
「そりゃあ性別が違うわけだし。うん?」
言われてみればさっきキャラメイクで見た自分の姿に似ていなくもないが確かになんか違う。生気がないしなにより覇気がない。
「いつかの私、どこかの貴方」
彼女は表情一つ変えずに紡ぐ。
「バグか?僕だけに見えるならともかくメイにも見えているわけだし」
「そんな単純な話には見えないけど」
ちなみにこの時代のゲームなどではバグはほぼ起きない。仕様外の状態になる事案は度々発生するし謎の干渉により異能が作用してしまう事もあるのでバグは単純な話ではない。
ただこの師匠と弟子は異能絡みや天埜流術理などによりバグの方が軽く見えている。
「目覚め始めた私に言う」
「私って僕のことだよな?」
「前世含め過去がずっと同じ性別とは限らないからそうじゃない?」
ちなみに2人だけの秘密であるが人間には輪廻が存在している事を理解している。神魔再生の副作用とでも香織の異能の代償とでも言うべきナニカによって辿り着いた理である。
そんなこと気にせず続ける。まるで旧時代ゲームのNPCのように定型文を繰り返すように進む。
「その時は近い。それが起きる前にそれが進む前に熾る災厄」
「大予言じみてるな~」
「にしてもなんで私たち?聖女と勇者がいるはずなのに」
呑気に呟くが2人にして記憶力は良くなんなら神魔再生を利用した解析もできるので聞き流している。
「火は必殺、門は鍵、礫は刃、呪は光」
終焉焔、天閉門、付呪にかつての力。そこまで分析されているとは思っていたがそこまでとは。
「系統樹や無限は翻る翼。100の芸は共に響く」
この世界で判明した系統樹の光、無限の飛躍そして共鳴と武器百芸。ここまで全ての意味はなんとなくだが分かる。ただ未だ分からないのが一つ。
「不屈。それは知らずのうちに全てに影響を与える。いつかの時、どこかの場私は知る。貴方を。貴方は私を知る」
随分と要領を得ないが何かしらの内に屈しないようにしているのだろう。
「で結局、君は?」
全ての武器を仕舞い殺気を消す。取り敢えずあの子が僕の過去もしくは未来である事は理解した。がなぜ今接触してきたのか分からない。
「魂の欠片。今言えるのはそれだけ。ただ確実なのは停滞していた世界のギアが回り始めたこと。それに伴う変化の予兆を貴方に伝えるだけ」
停滞か…。緩やかだが世界のギアとやらは回っていたと。ただいつから停滞していたかも不明なソレがいつその予兆に辿り着くかが分からないわけだし。
「そしてメイだったわね。いつかの私が側に置いてた選ばれし英傑の1人にして…」
そこまで告げるとまるで最初から居なかったように消えた。
「…」
「…最後の何だったのかな?」
「さあ。でもあの感じ」
彼女の哀愁漂いどこか後悔を感じる表情。あの子は失ったのだろうか。側に置いたいつかの沙月を。
「家族のように大切のはずだよ。幾重の時を超えても魂で結ばれているのを確認して」
「その上で私の進むべき道を示したと」
僕の考察を注ぐように彼女は結論付ける。全くの同意見だが一つ気がかりが生まれる。
僕は沙月を失っても屈していない。
つまりこの世界・この時でも失ってしまうのかも知れない沙月を。
その考えがただただ堪らなく怖く恐ろしく絶望的だった。
自然と沙月を自分の体に押し当てる。彼女の鼓動を温もりを存在をすぐ近くに感じていたい。例えこの感触が仮初で創られたものでもここに居ると肯定したい。
「カオル。…」
何かを悟ったのかそっと背中を背すり頭を撫でる。その感触がただただ心地よい。
「大丈夫。私たちは何があっても側にいるから。一番近くで支え続けるから」
「…」
「…」
「頼むよ。メイ」
「任されたわ。カオル」
装備品を全て装備する。
「にしてもカオルって何が試練クリアした?」
同じく普段使いの装備にお着替えしたメイがいる。修道服ではあるものも何処か和テイストだ。ただメイの黒い髪と水晶のように透き通った紫の瞳に合っている。
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弟子、優秀すぎね。ー女性陣だけだけど。
「じゃああの2人の所行こうか?」
「だよな。やっぱり同じクランだよな」
ドアをメイが開けて部屋を出てリビングらしき集会所に入るとソレは勢い良く飛び出しくっついてきて。その場に押し倒される。後頭部を床に打ち付け今日何度か分からない失神をした。
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