NEXT LIFE ONLINE

髙﨑 レイ

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序章 刻の始まり

プロローグ

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 3月中旬。学年末考査や卒業式などが無事に終了してクラスメイトの全体的に浮ついている。僕も似たような感じだ。まあこの時間がお昼休みで今の席が窓際で1番後ろという事もあるだろう。心地よい春の陽気が体をポカポカにしてくる。このまま一時の眠りにつきたいが
「何か用でも?栄治」
 先ほどからチロチロとこちらを伺っている親友に声を掛ける。すると当人はビクッとなると何か諦めたような表情をしてこちらに来る。プラチナブロンドの髪に深紅のような瞳そして白磁のような肌…アルビノ正確には先天性白皮症を患っている彼は火野栄治ひのえいじ。中学生の頃からプロゲーマーとして活動しており昨年末に開催された世界大会で王者に輝いた凄腕だ。ジャンルは格闘でメインは双剣や二刀流でその修行は僕ー天埜香織が受け持っている。瞬発性には優れており初速度では既に世界トップクラスだ。ただコイツはなにかと貸し借りが嫌いな性分らしくそう言ったことを全くしない。やったとしてもすぐに返却するのだ。
「いやゲームしないか?というお誘いだ」
「良いけど」
 とこんな事も聞くのにおどおどとしている。ただこれは現実世界だけであり仮想世界では普通らしい。
 気安く返すと呆気に取られたような顔になる。おい、聞いておいてその表情はないだろう。メンタリストが今の見て驚いているぞ。
「あんな事が遭ったのにか?」
 アレか。別段気にしているわけでもないし不幸な事故が重なって三か月ログインしていなかったらもう良いかな~と思ったからそのまま引退しただけだし。まあ潮時と感じてもいたからな。
「別に気にしないさ。それにフルダイブ系も久々にしようかなって思っていたし」
 これは嘘偽りない本音。僕はどちらかと言うとローグライク系やタワーディフェンス系が得意だがフルダイブ系も割と好きだ。例の事故一連が無ければ僕も向こう側だったのだろう。多分。
「なら良かった。こんな事はあの3人が居ない今日しか聞けそうになかったし」
「ああそう言えば皆忙しいって言っていたな」
 この学園は目の前に居る栄治がプロゲーマーとして活動しながらも無事に高校生活を送れているようにここに居る生徒や教師は尖っている。例えば唖然としていたメンタリストはああ見えても既にいくつものメディアに出ており国民の半数以上は彼女の名を知っているであろう。そしていつも一緒にいるその3人もとんでもスペックだ。
「タイトルはNEXT LIFE ONLINEで略称NEO‘S。よくあるファンタジー系VRMMORPGだ。PKプレイヤーキルもあるタイプだし」

 NEO’S
 無限の可能性を秘めた世界をメインに売っており何でもでき何者にもなれると話題になった事がありそれにサービス初日の総ログイン数は3億を超えている。世界同一サーバーで行われており基本的には初期ログイン地点によって初期スポーンの場所は変わるが課金アイテムによってはそれを変えれるらしい。また様々な異能も跋扈しており様々なジャンルを節操なしに取り入れたにも関わらずゲームバランスは大きく崩れていないらしい。噂では既に重火器も完成しているとか。運営はそんな鉱物を何故序盤でも手に入るようにしたのだろうか?その話を聞いて僕は少し不安になった。誰だよそんな物騒な物作ったの。ファンタジーに喧嘩を売っているのだろうか?売っているんだろうな。

「それVRMMORPGなのか?というか異能なんて全員が全員持っているわけでもないだろうに」
 一部の例外はあるが。彼女の異能なら強いだろう。
「ああ~その辺は色んな確執があるな。ただ異能持ちは別の適性が低すぎるからな」
 何ごとにも例外は存在するが。
 その他の雑談をして昼休みを潰して午後の授業を聞き流す。その間にこっそりと栄治からβテストの特典コードが回されてきたので腕時計型の携帯端末を操作してNEO‘Sをインストールしてコードを入力する。


 ちなみに栄治は爆睡しており情報技術の担当の牟田先生に怒られていた。

 件の牟田先生はメカものファンタジー作家である。


 家に帰り(何故か栄治もついて来た)VRゴーグルを軽くメンテナンスしてリンクさせる。そして栄治の対の位置にあるソファーに腰を掛けてゴーグルを装着する。
「「NEO’S起動」」
 その言葉に感応して意識が途切れた。
 
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