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リヒャルト 二年生 ナターリエ 一年生
授業説明会 ②
しおりを挟む「ナタリーは実技何にするの?」
「三人で打ち合わせて、調理と体術を取ろうかと。」
「ダンスは取らないの?ダンスパーティーもあるし、踊れても練習はしておいた方がいいよ。」
エラが後ろから回り込んで
「そうよ。ナタリー一緒にダンス取りましょうよ。私、ダンス大好きだから、男性パートも踊れるわ。ナタリーをホールドして踊ってみたいわ!」
「それは男性に任せて欲しいな。」
声をかけてきた人を見ると、穏やかに微笑むフィリップだった。
「フィリップ様こちらのお手伝いですか?」
「フィルでいいよ。」
「でも上級生ですし。」
四人で顔を見合わせる。
「一人だけ様付は寂しいよ。それに君たちのことは義母から頼まれているからね。なんでも頼ってくれ。とりあえずダンスの授業取らない?」
「はい!お願いします!ナタリーお願い!」
エラが可愛くお願いするのに負けて、ナタリーも頷いた。
結局四人でダンスに登録し、ローレンツとはそこで一時別れ、体術の登録に行くが体術のブースに女子が群れている。なんだろうと思ったら、真ん中に筋肉が付いているのに、すらりとした長身の男性が乗馬服を着て鞭を持って立っていた。女子達がその周りできゃあきゃあ言うに値するほどの甘い雰囲気の顔面を持つ人だった。
「皆さん、今年は体術の他に乗馬の授業を設けました。貴族令嬢方は乗馬の経験があまりないと思いますが、今後領地で移動する時に便利です。体術と一緒にいかがですか。馬になれるところからゆっくり進めますので、令嬢方でも大丈夫ですよ。」
「やりたい!」
「ナタリー何言ってるの。公爵令嬢が乗馬なんて。」
ヒルデが慌てて止めようと前に出る。
「私は嫁入りは無いもの、自分で領地経営するから視察や見回りも自分でしたいの。馬車で移動するより、馬に乗れた方がいいじゃない。そして最低限は自分の身は自分で守りたいの。」
ヒルデとエラは呆れたようにナタリーをじっと見る。
「それはいいと思うよ。私の義母も自分で領地経営するために見回りや査察も自分で乗馬して行ってるよ。」
後ろから声をかけられて、振り返るとフィリップがいた。
「そうですよね。私登録してきます。」
「ちょと待って私たちも行くから。」
慌ててエラとヒルデが追いかけて行った。
三人の後ろ姿を見つめてフィリップが穏やかに微笑んだ。
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