乙女ゲームの結末は

ぐう

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リヒャルト 二年生 ナターリエ 一年生

再会

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ストックがなくなりましたので、この先不定期更新となります。






 侍従の先導で令嬢方が入室してきた。フィリップが出迎えて

「ようこそ。私はフィリップ・フォン・ダンナーです。今年三年生になります。私が本日の司会進行になります。まず、自己紹介をしていただき、この役員会の役目などをお話させていただきます。」

「自己紹介をお願いしますが、会員限定で学園在学中は身分の上のものから話かけると言う作法は行いません。議事が進行しにくくなり、意見が出し辛くなるからです。王族の尊称はそのままです。リヒャルト殿下のみ殿下とお呼びください。話しかける事はお許しいただいております。今年四年生に進学される予定の侯爵令嬢はご婚姻のため退学されました。そのため今年は経験のある私達男子寮のメンバーの主導で行いたいと思います。よろしいですか?」

 令嬢方が頷いているのをフィリップは確認して

「それでは男子寮メンバーから自己紹介をお願いします。殿下からお願いします。殿下?」

 即されてもなにも言わないリヒャルト殿下にエルマーが殿下の腕に手を掛けた。ハッとしたようにリヒャルト殿下は身動ぎをして瞬きをした。

「すまない。私はリヒャルト・ヨハン・アーダルベルト」

リヒャルト殿下を皮切りに、身分順に男子寮メンバーは自己紹介を終えた。

「それでは女子寮メンバーお願いします。」

 ナタリーが自己紹介を始めると、リヒャルト殿下が持っていた資料を落とした。それをエルマーが拾って渡そうとするとリヒャルト殿下らしくなく、エルマーに礼も言わずに取り上げた。

 女子寮メンバーの自己紹介も終わったので、フィリップがこの委員会の役目と仕事について説明する。

「役員はそれぞれの寮生のトラブルなどを裁定する権限を持ちます。持ち込まれたトラブルは補佐とよく話し合って解決して下さい。一方の役員だけで解決できない場合は、こちらのラウンジで開かれる週に一回の役員会の議題に挙げて下さい。制度など学園自体に関わる場合はこの学園の長になる国王陛下に陳情と言う形になります。」

「何かご質問は?」

「こちらのラウンジの個室は役員会が無い日でも、私達でも出入りは可能ですか?」

「はい、歴代の役員の方はこちらの個室で昼食をとられたり、勉学をされてました。ラウンジには高位貴族の方も出入りされるので学年を超えて交流できます。」

 フィリップに説明されて、ヒルデが頷いた。

「では卒業するまで役員同士では、身分関係なくお話させていただけると言う事でよろしいですか?」
 
 ヒルデが重ねて質問する。

「はい、そうなっています。ナターリエ嬢、長をしていただきますが、ご質問はありませんか?」

 フィリップが尋ねるが、ナターリエは身動ぎもしない。ヒルデが揺さぶるとハッとしたように

「い 今はございません。後日ありましたら適宜お尋ねいたします。」

 フィリップが頷き、本日の解散を告げようとしたら、外が騒がしい。護衛のヤンの声が聞こえた。

「お待ち下さい。こちらは国内の高位貴族のみご使用です!」
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