乙女ゲームの結末は

ぐう

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リヒャルト 二年生 ナターリエ 一年生

役員顔合わせ ②

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SIDE  リヒャルト

 国内高位貴族のみ使用できるラウンジが校舎の一角にある。王族、公爵、侯爵の子息令嬢のみ使用権利があるが、役員になると伯爵子息、令嬢も使用できる。またそれ以下の国内の低位貴族のみ使用するラウンジもある。身分関係なく全員出入りできるラウンジもある。こちらには留学生も出入りできる。なぜか昔からこの三つが存在する。地位に相応しい話ができる場所が必要だからという位置づけらしい。

 留学生が出入りできる場所が少ないのは留学生はあくまでお客様で国内の貴族で国を運営するという前提がある。豊かな大国としてのプライドの所以である。

 役員顔合わせはこの中の高位貴族のみのラウンジ内の個室で行われる。


「俺は本当は出入りできないんだよな。」

ぼやながら高位貴族の用ラウンジにエルマーがギュンターと入って来た。

「側近候補だから大丈夫だよ。」

私が宥めると、次いで大公子息のローレンツ・フォン・ヴェントと三年生のフィリップ・フォン・ダンナー公爵令息も入って来た。ローレンツは王宮で大公と一緒の時に引き合わされた事があり、フィリップには去年から補佐をしてもらった。大変優秀な人物だ。フィリップがこの場を取り仕切ることになっている。

「令嬢方がいらっしゃったらこの会について説明して、自己紹介をお願いしますが、この会に入って学園在学中は身分の上のものから話かけると言う作法は行いません。議事が進行しにくくなり、意見が出し辛くなるからです。唯一王族の尊称はそのままです。今年四年生に進学される予定の侯爵令嬢はご婚姻のため退学されたので、今年の令嬢方は全員一年生です。今年は経験のある私達主導で行いたいと思います。」

 侍従が令嬢方の到着を伝えた。ドアが開き令嬢方が三人入って来た。











 私は息を飲んだ。





SIDE  ナターリエ

 三人で待ち合わせをして、高位貴族用のラウンジに向かう。

「緊張する。こんなに高位の方と会ったことないもの。」

「エラにはギュンター様と言う強い味方がいるでしょうよ。」

ヒルデがなんでもないようにさらりという。

「ギュンターの従兄弟のエルマー様も顔見知りよ。」

負けずにエラが言う。

「ギュンター様にはエラの領地で会ったことあるけど、エルマー様はどんなかた?」

「整った顔立ちで、弁が立つというか、人見知りのリリーですら、ニコニコ話せるわ。リリーはエルマー様に会いたいとよく言ってるわ。」

「ギュンター様には、大泣きなのに?それは前途多難だね。」

 入り口に着き侍従に取り次ぎをお願いする。入室して礼をしてから顔を上げると





 息を飲んだ。
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