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公爵令嬢 ナターリエ
子供のお茶会
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ビアンカ様のお言葉に驚愕して、それしか考えられなくて、ヒルデにお土産を渡すのを忘れて邸に戻ってしまった。どうすべきか迷っていたら、ヒルデから招待状が届いた。ヒルデの幼馴染と一緒のお茶会にいかがですかと。
急いで返事をオットーに出してもらう。オットーとノーラに前回ビアンカ様に言われた事をどうにも言えなかったが、二人に来てもらって伝えた。
「ビアンカ様に会われたんですか。」
「すごい美人でびっくりしたわ。」
「そうですね。当時国一の美少女と謳われ、聡明で王妃陛下のお気に入りでした。あまりになんでもできる婚約者に王太子殿下は引目に思っていたと評判でした。」
「それは王太子殿下は出来の良い婚約者をよく思ってなかったという事?」
「それは私達にはわかりません。政略でしたが、バルバラ様が入学されるまでは仲良くなさっていたようなんですが。」
「よくわからないわよね。でもビアンカ様に母に会うように、勧められたの。」
オットーはじっと考えていたが
「そうですね。会えるかわかりませんが、お嬢様は公爵家の跡取りです。領地には行く機会があった方がいいでしょう。学園の夏の長期休暇に行けるように、領地の代官と話をしておきます。」
今日はヒルデとお茶会の日、今度こそ渡そうと髪飾りを持つ。ヒルデの幼馴染の方にはノーラの実家で買ったリボンを用意する。
今日の出迎えはヒルデだけだと思ったらもう一人いた。
「ナタリー、いらっしゃい。この子は私の弟のイザークよ。一つ下なので、学園には私達の後に入学する予定よ。」
ヒルデに少し似通っているが、お母様のフリーデ様にもっと似てる。
「何してるの。ご挨拶して。」
頬を赤くして、こちらをぼうとみているので
「はじめまして。私はナターリエ・フォン・マイヒェルベックと申します。」
と挨拶すると慌てたように
「ヒルデガルドの弟のイザークです。」
「さ、もういいでしょう、あとエラが到着したらはじめましょう。」
イザークは渋々奥に入って行った。
「一緒にお茶会に呼んだら?ヒルデ」
「女の話には入れたくないわ。あ、馬車来たわ。エラだと思う。」
玄関ホールに横付けされた馬車から栗色の髪をくるくる巻き、勝気そうな青い目をキラキラさせた少女が降りてきた。
「ナタリー、こちらはガブリエラ・フォン・ゾルゲ 領地が隣で子供の頃からよく遊んだのよ。ゾルゲ侯爵令嬢よ。」
「エラ、こちらは、ナターリエ・フォン・マイヒェルベック マイヒェルベック公爵家令嬢よ。」
いきなり手をガブリエラ様に握られる。
「なんて!綺麗な人!私美しいものが大好きなの。よろしくお願いします。エラと呼んでください!」
「こちらこそ、よろしくお願いします。私もナタリーでお願いします。学園で同級生ですよね。お友達になってくださいね。」
「喜んで!」
握り締められて手が痛い。
「まあまあ、エラ、落ち着いて、あなたは全く変わらないわね。」
ヒルデがため息をつく。ようやく庭先に設えた四阿で席につく。
「きゃあ!色とりどりのカップケーキきれいねぇ。」
エラはしゃぐとヒルデが微笑んで
「エラの好物だから揃えたのよ。ところでエラ、そのドレスきれいな色ね。新作?」
エラが急に口籠る。
「んんん、ギュンターのお土産なの。大公のお供でミュンターに行ったんですって。」
「それ、ギュンター様の瞳の色だよね。」
ヒルデがニコニコしてる。
「ぐ偶然よ。この色が一番発色が良かったと言ってたわ。リリーだってピンク色貰ってたわ。」
「リリーまたギュンター様見て泣いてなかった?」
「ギュンターが優しくしないから大泣きよ。婚約者だっていうのに。」
エラが俯く。
「リリー様とはどなた?」
「ごめんなさい。身内話になってしまって。リリーはエラの5歳の妹。ギュンター様はリリーの婚約者で15歳。本当はエラと婚約の話が来てたのに、エラがすぐ噛みつくからリリーになったの。」
「噛み付いてなんかないわ!ギュンターが意地悪だからつい。」
「エラ、正直にならないと、他の婚約者当てがわれるよ。」
ヒルデが諫めるように言うと、エラは気まずげに黙る。空気を変えようとお土産を二人に渡すと二人はとても喜んでくれた。
急いで返事をオットーに出してもらう。オットーとノーラに前回ビアンカ様に言われた事をどうにも言えなかったが、二人に来てもらって伝えた。
「ビアンカ様に会われたんですか。」
「すごい美人でびっくりしたわ。」
「そうですね。当時国一の美少女と謳われ、聡明で王妃陛下のお気に入りでした。あまりになんでもできる婚約者に王太子殿下は引目に思っていたと評判でした。」
「それは王太子殿下は出来の良い婚約者をよく思ってなかったという事?」
「それは私達にはわかりません。政略でしたが、バルバラ様が入学されるまでは仲良くなさっていたようなんですが。」
「よくわからないわよね。でもビアンカ様に母に会うように、勧められたの。」
オットーはじっと考えていたが
「そうですね。会えるかわかりませんが、お嬢様は公爵家の跡取りです。領地には行く機会があった方がいいでしょう。学園の夏の長期休暇に行けるように、領地の代官と話をしておきます。」
今日はヒルデとお茶会の日、今度こそ渡そうと髪飾りを持つ。ヒルデの幼馴染の方にはノーラの実家で買ったリボンを用意する。
今日の出迎えはヒルデだけだと思ったらもう一人いた。
「ナタリー、いらっしゃい。この子は私の弟のイザークよ。一つ下なので、学園には私達の後に入学する予定よ。」
ヒルデに少し似通っているが、お母様のフリーデ様にもっと似てる。
「何してるの。ご挨拶して。」
頬を赤くして、こちらをぼうとみているので
「はじめまして。私はナターリエ・フォン・マイヒェルベックと申します。」
と挨拶すると慌てたように
「ヒルデガルドの弟のイザークです。」
「さ、もういいでしょう、あとエラが到着したらはじめましょう。」
イザークは渋々奥に入って行った。
「一緒にお茶会に呼んだら?ヒルデ」
「女の話には入れたくないわ。あ、馬車来たわ。エラだと思う。」
玄関ホールに横付けされた馬車から栗色の髪をくるくる巻き、勝気そうな青い目をキラキラさせた少女が降りてきた。
「ナタリー、こちらはガブリエラ・フォン・ゾルゲ 領地が隣で子供の頃からよく遊んだのよ。ゾルゲ侯爵令嬢よ。」
「エラ、こちらは、ナターリエ・フォン・マイヒェルベック マイヒェルベック公爵家令嬢よ。」
いきなり手をガブリエラ様に握られる。
「なんて!綺麗な人!私美しいものが大好きなの。よろしくお願いします。エラと呼んでください!」
「こちらこそ、よろしくお願いします。私もナタリーでお願いします。学園で同級生ですよね。お友達になってくださいね。」
「喜んで!」
握り締められて手が痛い。
「まあまあ、エラ、落ち着いて、あなたは全く変わらないわね。」
ヒルデがため息をつく。ようやく庭先に設えた四阿で席につく。
「きゃあ!色とりどりのカップケーキきれいねぇ。」
エラはしゃぐとヒルデが微笑んで
「エラの好物だから揃えたのよ。ところでエラ、そのドレスきれいな色ね。新作?」
エラが急に口籠る。
「んんん、ギュンターのお土産なの。大公のお供でミュンターに行ったんですって。」
「それ、ギュンター様の瞳の色だよね。」
ヒルデがニコニコしてる。
「ぐ偶然よ。この色が一番発色が良かったと言ってたわ。リリーだってピンク色貰ってたわ。」
「リリーまたギュンター様見て泣いてなかった?」
「ギュンターが優しくしないから大泣きよ。婚約者だっていうのに。」
エラが俯く。
「リリー様とはどなた?」
「ごめんなさい。身内話になってしまって。リリーはエラの5歳の妹。ギュンター様はリリーの婚約者で15歳。本当はエラと婚約の話が来てたのに、エラがすぐ噛みつくからリリーになったの。」
「噛み付いてなんかないわ!ギュンターが意地悪だからつい。」
「エラ、正直にならないと、他の婚約者当てがわれるよ。」
ヒルデが諫めるように言うと、エラは気まずげに黙る。空気を変えようとお土産を二人に渡すと二人はとても喜んでくれた。
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