乙女ゲームの結末は

ぐう

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公爵令嬢 ナターリエ

大人のお茶会

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 ヘルツォーク侯爵家のお茶会の日が来た。なるべく大人ぽく見えるように、シンプルなデザインのドレスをミュンターで購入した絹地で仕立ててもらった。ヒルデへのお土産の髪飾りとお揃いの髪飾りを飾ってドキドキしながら馬車に乗った。

 ヘルツォーク家に着くと玄関ホールでヒルデが待っていてくれた。

「お久しぶり、ナタリー、私の母を紹介するわ。」

と隣に立つ優しげなご婦人を紹介しようとしたら、そのご婦人が驚愕で目を見開いていた。

「お母様?」

ヒルデが訝しげに母親を見ている。ハッとしたように顔を上げて

「ナターリエ様、ごめんなさい。あまりにベンノ様に似ていらして。びっくりしたの。」

 嫌だな。やはり似ているのか。

「さあ、お入りになって。今日は我が家の二人とビアンカ・フォン・ダンナー公爵よ。ああ、お着きになったわ。」

 慌てて玄関ホールへお出迎えに行く。馬車から麗人と言ってもいい美しい大人の女性が従者に手を取られて降りて来た。

「お招きありがとう。フリーデ」

「ようこそ ビアンカ さあ お入りください。」
 
 ヒルデと二人思わず見惚れていたら

「あなた ひょっとして、マイヒェルベック公爵家の方?」

「は、はい ナターリエ・フォン・マイヒェルベックと申します。」

「ベンノ様に瓜二つですわね。これはローゼマリーはつらいわね。」

「ビアンカ、何言うの。」

「子供達も昔のことは知っているのでしょう?だったら知る権利あるわ。ねえナターリエ嬢知りたいでしょう?」

「はい、母のことも父のことも知りたいです。」

「ローゼマリーとフリーデとは学園で仲良くしていたのよ。私達の婚約者にバルバラ嬢がまとわりつくようになってからの辛さ悔しさを共有してきた友達なのよ。」

ヒルデのお母様フリーデ様が俯かれる。

「私は婚約破棄になって、国王陛下に助けていただいて、生家の公爵家を継ぐことになったのよ。今は女公爵という身分で、親戚の子を養子にして跡を継がせることにしてるの。あなた方の先輩になるわ。フィリップと言うの。今二年生よ。あなた達の事は伝えておくわ。何かあったら頼って。自分の義理息子だけど、よくできた子よ。」

「ありがとうございます。あの、母はどういう人なんでしょうか?」

「ローゼマリーはね、そうねえ、負けず嫌いよ。ベンノ様に愛されないなら、自分も愛さない。よくそう言ってたわ。」

「それで愛人を連れて婚姻を結んだのですか?」

「まあ、よく知ってるのね。その愛人と言う人は私達より3歳年上でローゼマリーの幼馴染でしたの。クルト様と言って伯爵家の三男でしたので、卒業後騎士団に入団されてましたの。ローゼマリーの婚姻時に侯爵家からお付きの騎士として、公爵家に付いて行ったのよ。ローゼマリーには幼馴染以上の感情はなかったと思うわ。でも、クルト様はローゼマリーの事愛してらしたわ。それであんな芝居に付き合って下さったと私は思ってるわ。」

「どういう事でしょうか?」

「私とフリーデはローゼマリーとずっと書簡を交換してるの。あれはね、愛のない冷たい性交渉をするベンノ様に対する当て付けよ。」

「ビアンカ!この子達まだ子供よ!」

「フリーデ、子供じゃないわ。もう性教育受けてるだろうし、この子達の年頃にバルバラ嬢は殿下達と肉体関係にあったのよ。私達はね、配慮と言う名の目隠しで何も知らないうちに婚約者を身体で寝取られたのよ。きちんと事実を教えてもらっていたら、早くに自分達で婚約を白紙にしてもらえるように親に働きかけたわ。いくら政略と言えども婚約者が複数相手にする娼婦に寝取られていたのだもの。なんとかできたと思うの。だからこの子達にも事実を事実として見る目を養って欲しいの。」

フリーデ様が俯かれる。

「あの、クルト様は母の愛人ではないのですか?」

ビアンカ様が私の顔をじっと見つめて

「ナターリエ様、あなたローゼマリーに会いに行った事ないのね。行けばわかるわ。一回でもいいから会いに行ってみなさい。自分で確かめるのが大事よ。」

 私は聞いていた話と違うことに混乱していた。
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