28 / 56
公爵令嬢 ナターリエ
大人のお茶会
しおりを挟む
ヘルツォーク侯爵家のお茶会の日が来た。なるべく大人ぽく見えるように、シンプルなデザインのドレスをミュンターで購入した絹地で仕立ててもらった。ヒルデへのお土産の髪飾りとお揃いの髪飾りを飾ってドキドキしながら馬車に乗った。
ヘルツォーク家に着くと玄関ホールでヒルデが待っていてくれた。
「お久しぶり、ナタリー、私の母を紹介するわ。」
と隣に立つ優しげなご婦人を紹介しようとしたら、そのご婦人が驚愕で目を見開いていた。
「お母様?」
ヒルデが訝しげに母親を見ている。ハッとしたように顔を上げて
「ナターリエ様、ごめんなさい。あまりにベンノ様に似ていらして。びっくりしたの。」
嫌だな。やはり似ているのか。
「さあ、お入りになって。今日は我が家の二人とビアンカ・フォン・ダンナー公爵よ。ああ、お着きになったわ。」
慌てて玄関ホールへお出迎えに行く。馬車から麗人と言ってもいい美しい大人の女性が従者に手を取られて降りて来た。
「お招きありがとう。フリーデ」
「ようこそ ビアンカ さあ お入りください。」
ヒルデと二人思わず見惚れていたら
「あなた ひょっとして、マイヒェルベック公爵家の方?」
「は、はい ナターリエ・フォン・マイヒェルベックと申します。」
「ベンノ様に瓜二つですわね。これはローゼマリーはつらいわね。」
「ビアンカ、何言うの。」
「子供達も昔のことは知っているのでしょう?だったら知る権利あるわ。ねえナターリエ嬢知りたいでしょう?」
「はい、母のことも父のことも知りたいです。」
「ローゼマリーとフリーデとは学園で仲良くしていたのよ。私達の婚約者にバルバラ嬢がまとわりつくようになってからの辛さ悔しさを共有してきた友達なのよ。」
ヒルデのお母様フリーデ様が俯かれる。
「私は婚約破棄になって、国王陛下に助けていただいて、生家の公爵家を継ぐことになったのよ。今は女公爵という身分で、親戚の子を養子にして跡を継がせることにしてるの。あなた方の先輩になるわ。フィリップと言うの。今二年生よ。あなた達の事は伝えておくわ。何かあったら頼って。自分の義理息子だけど、よくできた子よ。」
「ありがとうございます。あの、母はどういう人なんでしょうか?」
「ローゼマリーはね、そうねえ、負けず嫌いよ。ベンノ様に愛されないなら、自分も愛さない。よくそう言ってたわ。」
「それで愛人を連れて婚姻を結んだのですか?」
「まあ、よく知ってるのね。その愛人と言う人は私達より3歳年上でローゼマリーの幼馴染でしたの。クルト様と言って伯爵家の三男でしたので、卒業後騎士団に入団されてましたの。ローゼマリーの婚姻時に侯爵家からお付きの騎士として、公爵家に付いて行ったのよ。ローゼマリーには幼馴染以上の感情はなかったと思うわ。でも、クルト様はローゼマリーの事愛してらしたわ。それであんな芝居に付き合って下さったと私は思ってるわ。」
「どういう事でしょうか?」
「私とフリーデはローゼマリーとずっと書簡を交換してるの。あれはね、愛のない冷たい性交渉をするベンノ様に対する当て付けよ。」
「ビアンカ!この子達まだ子供よ!」
「フリーデ、子供じゃないわ。もう性教育受けてるだろうし、この子達の年頃にバルバラ嬢は殿下達と肉体関係にあったのよ。私達はね、配慮と言う名の目隠しで何も知らないうちに婚約者を身体で寝取られたのよ。きちんと事実を教えてもらっていたら、早くに自分達で婚約を白紙にしてもらえるように親に働きかけたわ。いくら政略と言えども婚約者が複数相手にする娼婦に寝取られていたのだもの。なんとかできたと思うの。だからこの子達にも事実を事実として見る目を養って欲しいの。」
フリーデ様が俯かれる。
「あの、クルト様は母の愛人ではないのですか?」
ビアンカ様が私の顔をじっと見つめて
「ナターリエ様、あなたローゼマリーに会いに行った事ないのね。行けばわかるわ。一回でもいいから会いに行ってみなさい。自分で確かめるのが大事よ。」
私は聞いていた話と違うことに混乱していた。
ヘルツォーク家に着くと玄関ホールでヒルデが待っていてくれた。
「お久しぶり、ナタリー、私の母を紹介するわ。」
と隣に立つ優しげなご婦人を紹介しようとしたら、そのご婦人が驚愕で目を見開いていた。
「お母様?」
ヒルデが訝しげに母親を見ている。ハッとしたように顔を上げて
「ナターリエ様、ごめんなさい。あまりにベンノ様に似ていらして。びっくりしたの。」
嫌だな。やはり似ているのか。
「さあ、お入りになって。今日は我が家の二人とビアンカ・フォン・ダンナー公爵よ。ああ、お着きになったわ。」
慌てて玄関ホールへお出迎えに行く。馬車から麗人と言ってもいい美しい大人の女性が従者に手を取られて降りて来た。
「お招きありがとう。フリーデ」
「ようこそ ビアンカ さあ お入りください。」
ヒルデと二人思わず見惚れていたら
「あなた ひょっとして、マイヒェルベック公爵家の方?」
「は、はい ナターリエ・フォン・マイヒェルベックと申します。」
「ベンノ様に瓜二つですわね。これはローゼマリーはつらいわね。」
「ビアンカ、何言うの。」
「子供達も昔のことは知っているのでしょう?だったら知る権利あるわ。ねえナターリエ嬢知りたいでしょう?」
「はい、母のことも父のことも知りたいです。」
「ローゼマリーとフリーデとは学園で仲良くしていたのよ。私達の婚約者にバルバラ嬢がまとわりつくようになってからの辛さ悔しさを共有してきた友達なのよ。」
ヒルデのお母様フリーデ様が俯かれる。
「私は婚約破棄になって、国王陛下に助けていただいて、生家の公爵家を継ぐことになったのよ。今は女公爵という身分で、親戚の子を養子にして跡を継がせることにしてるの。あなた方の先輩になるわ。フィリップと言うの。今二年生よ。あなた達の事は伝えておくわ。何かあったら頼って。自分の義理息子だけど、よくできた子よ。」
「ありがとうございます。あの、母はどういう人なんでしょうか?」
「ローゼマリーはね、そうねえ、負けず嫌いよ。ベンノ様に愛されないなら、自分も愛さない。よくそう言ってたわ。」
「それで愛人を連れて婚姻を結んだのですか?」
「まあ、よく知ってるのね。その愛人と言う人は私達より3歳年上でローゼマリーの幼馴染でしたの。クルト様と言って伯爵家の三男でしたので、卒業後騎士団に入団されてましたの。ローゼマリーの婚姻時に侯爵家からお付きの騎士として、公爵家に付いて行ったのよ。ローゼマリーには幼馴染以上の感情はなかったと思うわ。でも、クルト様はローゼマリーの事愛してらしたわ。それであんな芝居に付き合って下さったと私は思ってるわ。」
「どういう事でしょうか?」
「私とフリーデはローゼマリーとずっと書簡を交換してるの。あれはね、愛のない冷たい性交渉をするベンノ様に対する当て付けよ。」
「ビアンカ!この子達まだ子供よ!」
「フリーデ、子供じゃないわ。もう性教育受けてるだろうし、この子達の年頃にバルバラ嬢は殿下達と肉体関係にあったのよ。私達はね、配慮と言う名の目隠しで何も知らないうちに婚約者を身体で寝取られたのよ。きちんと事実を教えてもらっていたら、早くに自分達で婚約を白紙にしてもらえるように親に働きかけたわ。いくら政略と言えども婚約者が複数相手にする娼婦に寝取られていたのだもの。なんとかできたと思うの。だからこの子達にも事実を事実として見る目を養って欲しいの。」
フリーデ様が俯かれる。
「あの、クルト様は母の愛人ではないのですか?」
ビアンカ様が私の顔をじっと見つめて
「ナターリエ様、あなたローゼマリーに会いに行った事ないのね。行けばわかるわ。一回でもいいから会いに行ってみなさい。自分で確かめるのが大事よ。」
私は聞いていた話と違うことに混乱していた。
10
お気に入りに追加
833
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームハーレムエンドその後に…
ひなクラゲ
恋愛
ここは乙女ゲーム…
悪役令嬢が処刑され、主人公が攻略キャラ全員とハッピーエンドで終了した世界…
でも……
ゲームは終了しても世界は続く…
ハッピーエンド! その後に……
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
シナリオ通りの婚約破棄と国外追放をされそうなんですがヒロインが見当たりません~私誰にざまぁされますの?~
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
あーあ、来ちゃった……結局こうなるのかなんて私はため息を吐く。ここは前世乙女ゲームであった世界。そして私は悪役令嬢……頑張ってもこれが運命なんだと思えば諦めるしかない。
それはそれとして不思議なのは隣にヒロインがいないこと。
ヒロインさんどちらにー?私誰に冤罪ざまぁされますの?
婚約破棄による子育てに続く婚約破棄シリーズ第三弾………荷居人タグが婚約破棄シリーズについております。
婚約破棄の特等席はこちらですか?
A
恋愛
公爵令嬢、コーネリア・ディ・ギリアリアは自分が前世で繰り返しプレイしていた乙女ゲーム『五色のペンタグラム』の世界に転生していることに気づく。
将来的には婚約破棄が待っているが、彼女は回避する気が無い。いや、むしろされたい。
何故ならそれは自分が一番好きなシーンであったから。
カップリング厨として推しメン同士をくっつけようと画策する彼女であったが、だんだんとその流れはおかしくなっていき………………
乙女ゲームの登場人物かく語りき
ぐう
恋愛
乙女ゲームは終わった。登場人物はそれぞれ罰せられ平穏が訪れた。そこにスキャンダルが詳細に書かれた小説本が発行され大騒ぎになった。当然ベストセラーになった。それから続々と小説本の登場人物が発行した出版社を訪れ言い分を言って帰るようになった。文句?訴訟なのか!と怯える社員だがそうでもなくみんな言いたいことがあるようだ。
乙女ゲームの登場人物かく語りき
さて真実はどこに!
最終話まで書き終わってますので、一日二話ずつ投稿してさっさと終わる短編です。
堕とされた悪役令嬢
芹澤©️
恋愛
「アーリア・メリル・テレネスティ。今日を持って貴様との婚約は破棄する。今迄のレイラ・コーストへの数々の嫌がらせ、脅迫はいくら公爵令嬢と言えども見過ごす事は出来ない。」
学園の恒例行事、夏の舞踏会場の真ん中で、婚約者である筈の第二王子殿下に、そう宣言されたアーリア様。私は王子の護衛に阻まれ、彼女を庇う事が出来なかった。
執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~
犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる