好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜

ぐう

文字の大きさ
20 / 43
ミラ編

ミラの看病

しおりを挟む
「院長様お呼びでしょうか」

 院長室にノックして入室すると院長様に手招きされた。

「ミラあなた怪我の手当ての経験があると言ってたわね」

「はい ボランティアで医療院のお手伝いに通っていたので、簡単な治療の知識と経験はあります」

「では怪我人がいるので手当てをお願いできるかしら。それとその子がいろいろ言うかもしれないけれど、他の修道女に漏らさないでくれる」

 一体どんな人が来たのだろう。どんな事が起きているのかと不安でもあった。
 院長様に連れられて、昨日まで空室だった部屋に行くと、ベットに寝かされた誰かとエレナがいた。

「薬や包帯などは連れてきた騎士達が持ってきたからここにあるわ。ミラ治療お願いね」

 エレナが座っていたベットサイドの椅子を譲ってくれた。寝てる人に近づいた。胸から首まで包帯でぐるぐる巻きにされていたので、とりあえず傷口を見ようと、寝ている人に半身を起こすように声を掛けたが無視された。

「あのう 治療ができません。身体を起こして下さい」

「うるさい!あたしなんてもう死んだのよ!手当しても無駄!」

「それが治療してくれる人に言う言葉ですか!あなたがどんな目にあったかは私達にわかりません。でも今からはあなたは私達の仲間です。私達はあなたを受け入れます」

 院長様の大きな声初めて聞きました。彼女は院長様の言葉に肩を震わせて、初めてこちらを見ました。

「この痺れた痛みやだるさは治るの?」

「まず傷口を見せて貰わないとわかりません」

 彼女はのろのろと身体を起こして、ベットの下に足を下ろしたので、ぐるぐる巻きの包帯を丁寧に剥がしていった。途中から血が滲んで黒く固まっているのが見えた。

「傷口に布が張り付いていると痛いと思います。我慢して下さい」

 包帯を取っていくと、油紙が挟んであった。丁寧に治療はしてあるのねと思いながら、油紙と布を傷口から剥がしていくと、唸り声を上げたけれど彼女は我慢してくれた。
 鋭利な刃物で切られたと思わしき、肩甲骨から胸に掛けた傷が出てきた。傷ができてまだ日が浅いらしく傷口は鮮やかな赤みを帯び、じくじくと出血していた。そして身体が熱い。
 騎士が持ってきたと言う傷薬を見ると、消毒薬と血止め薬、油紙に布、包帯と揃っている。消毒すると身体がびくりとはねたが彼女は何も言わなかった。血止め薬を塗り、新しい布と油紙で傷口を覆い包帯を巻いていく。

 しかしこれではかなり広範囲に傷跡が残るだろう。私と変わらない年頃なのにと内心思って治療した。

「熱があるので、水を飲んで安静にしてください」

 そう言うと彼女がのろのろとまたベットに横になる。

「彼女の看病をミラとエレナにお願いします」

 そう言って私達の返事を聞いて院長様は部屋から出て行かれた。エレナが近くに来た。

「ミラ 私は水を持ってくるわ。彼女食事はできるかしら」

「熱が高そうなので今は無理かと」

 エレナが持ってきてくれた水を彼女に渡して飲んでもらう。

「ぬるい。冷たい水はないの」

「ここに冷たい水はないわ。冷たくするなら真冬に外に出しておくしか方法がないから」

「ふーん そんなとこであたし暮らすんだ」

 文句を言ってたが、熱が辛いらしく寝息を立て始めた。また見に来ることにしてエレナと他の仕事をしに部屋を出た。

「ミラ 彼女王宮にいた事があるみたいね」

「どうして」

「ミラは知らない?王宮には氷室がいくつもあって真夏でも氷があるのよ」

「王宮に行ったことはあるけど、それは知らないわ」

「彼女も貴族ーそれも高位貴族かもね」

 エレナこそどうしてそんな事知ってるのだろうか。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

白い仮面の結婚を捨てた私が、裁かれない場所を作るまで

ふわふわ
恋愛
誰もが羨む、名門貴族との理想の結婚。 そう囁かれていたジェシカの結婚は、完璧な仮面で塗り固められた**「白い誓約」**だった。 愛のない夫。 見ないふりをする一族。 そして、妻として“正しく在ること”だけを求められる日々。 裏切りを知ったとき、ジェシカは泣き叫ぶことも、復讐を誓うこともしなかった。 彼女が選んだのは――沈黙と、準備。 名を問われず、理由も裁きもない。 ただ「何者でもなくいられる時間」が流れる、不思議な場所。 そこに人が集まり始めたとき、 秩序は静かに軋み、 制度は“裁けないもの”を前に立ち尽くす。 これは、声高な革命の物語ではない。 ざまぁを叫ぶ復讐譚でもない。 白い仮面を外したひとりの女性が、 名を持たずに立ち続けた結果、世界のほうが変わってしまった―― そんな、静かで確かな再生の物語。

婚約破棄されたその後は、何も起きない日々でした

ふわふわ
恋愛
婚約破棄―― それは、多くの令嬢にとって人生を揺るがす一大事件。 けれど彼女は、泣き叫ぶことも、復讐に走ることもなかった。 「……では、私は日常に戻ります」 派手なざまぁも、劇的な逆転劇もない。 彼女が選んだのは、線を引き、基準を守り、同じ判断を繰り返すこと。 王宮では改革が進み、領地では生活が整えられていく。 誰かが声高に称えられることもなく、 誰かが悪役として裁かれることもない。 それでも―― 混乱は起きず、争いは減り、 人々は「明日も今日と同じである」ことを疑わなくなっていく。 選ばない勇気。 変えない決断。 名を残さず、英雄にならない覚悟。 これは、 婚約破棄をきっかけに 静かに日常を守り続けた一人の令嬢と、 その周囲が“当たり前”を取り戻していく物語。 派手ではない。 けれど、確かに強い。 ――それでも、日常は続く。

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?

ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。 ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

ローザリンデの第二の人生

梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。 彼には今はもういない想い人がいた。 私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。 けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。 あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。 吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 1/10 HOTランキング1位、恋愛3位ありがとうございます。

処理中です...