番と言えばなんでもかなうと思っているんですか

ぐう

文字の大きさ
21 / 69

21

しおりを挟む



 それは我が国出身の王妃と同じ思考だけど、彼女の場合は何を頼んだのかはっきりとわからないから、ここで口に出すのは良策ではない。

「どんな?」

 おずおずと聞くと、王妃は今度はにっこりと笑った。

「一つは偽番」

 にせつがい……とは?

「婚約者を番と見誤ると言うことよ」

「そんなことしても、本物の番に出逢ってしまったらどうするのですか」

「番を求める本能に竜人の末の魔術師達もずっと困っていたらしいの。だから私が国王に秘密で予算を横流しすると聞いて喜んだわ。かなり昔から、番を感じなくなる魔道具や婚約者を偽番として認識させる魔道具を開発しようとしていた。でも、どうしても本能が勝ってしまうのよ。あなたが言ったように、婚約者を偽番として認識させる魔道具は、本物の番が見つかったらなんの役も立たない。また王族のように竜人の血が濃く残っていると、効果を発しないの。番を感じさせなくなる魔道具に至っては、持たせると本人が…その…勃た…いえ、性欲が無くなって、去勢した動物みたいになるのよ」

「…はぁ」

 ちょっと私の頬が赤くなるのが分かったわ。

「……では、開発は失敗続きなのですね」

「過去にいた優秀な魔術師が番認識の何かに影響を及ぼす魔道具の開発に成功させたのは、わかっているの。ただ、その人は偏屈者で人を寄せ付けないようにして一人でしか仕事をしない人だったから、もう資料すらどこにやったかわからない」

「……どちらにせよ。魔道具の開発はできていないと」

「魔術師達ぐらいの血の濃さだと、偽番の魔道具の効き目があって、夫婦仲良く暮らせているのだけど一組番が見つかって、それまでの仲はなんだったのと言うぐらいの態度で、妻を捨てて番と再婚したのよ」

 それって妻にとって最悪じゃないかしら。夫と仲良く暮らしてると思ったいたら、ある日突然捨てられるのだから。まだ普段から冷えた仲の方が諦めがつくのでは?

「それから偽番の魔道具を自分達で使うのはやめたそうよ」

 そりゃそうでしょうよ。普通の神経の持ち主なら妻に悪いと思うでしょう。

「王妃陛下、隠れてまでここにおいでになった理由はなんでしょうか」

 失敗続きの魔道具の話をしに来たのか?

「今は失敗しているけれど、これから先希望が持てるからと励ましに来たの」

 役に立たないーーー全く。励まされても嬉しくない。婚約解消できる秘策持ってきてーーーー
しおりを挟む
感想 126

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】王女の婚約者をヒロインが狙ったので、ざまぁが始まりました

miniko
恋愛
ヒロイン気取りの令嬢が、王女の婚約者である他国の王太子を籠絡した。 婚約破棄の宣言に、王女は嬉々として応戦する。 お花畑馬鹿ップルに正論ぶちかます系王女のお話。 ※タイトルに「ヒロイン」とありますが、ヒロインポジの令嬢が登場するだけで、転生物ではありません。 ※恋愛カテゴリーですが、ざまぁ中心なので、恋愛要素は最後に少しだけです。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

処理中です...