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しおりを挟む連れてきている暗部に夜中に王妃が尋ねてくるからと指示したが、どんな風にやってくるのかはわからない。夜中にやってくると書いてあるところをみると正々堂々と正面から尋ねて来ることはないはずだ。身をやつして?侍女にでも化けて?わからないが一応周りの者には指示はした。
そんなことをしていたら、先ほどの侍従が晩餐の支度ができたと告げに来た。イブニングドレスに着替えてあるのでそのまま侍従に従って行く。しつこいが本当に豪華絢爛な宮殿の中を歩いて行く。通りかかる人々は物珍しげな視線を向けるが、ああと思うのかすぐ視線をそらして、礼をとり廊下の片側にひざまずく。その中にたいそう美形の青年がいた。いや、私は美形が好きって事ではないよ?若き乙女が見目麗しい青年に目が行くのは自然なことでしょう。でもじっと見つめるわけにもいかず、自分の中で線の細い美形見ちゃったと喜んでおいた。
晩餐室に入ると、おおと感嘆符が出るくらい重厚な紫檀を使った部屋だった。つやつやと輝く長い長方形のテーブルの上座には国王が。その斜めには王妃が。またその斜めには王太子が座るはずなのだろうが、空席だった。ま、そうでしょうね。驚いたり落胆したりしません。私の気持ちをそんな風に向けるのも嫌な相手だし。感情は鏡だとわかっているのだろうか。そっちがそこまで嫌うのに、私が好きになるわけはないだろうよ。
「長い旅路、疲れたであろう。歓迎の宴は後日催すが、しばらく我が国でゆるりと滞在して欲しい」
ほおお、これが竜人の末の美形の国王か。確かに上背もあり、筋肉でがちがちでなく、ほどよく筋肉が付いて引き締まっているのに細身だ。にこやかにほほえむ顔は、確かに我が国でもあまり見ないほど美形だ。さっき廊下で会った美形青年とちょっと似通った雰囲気だけど、国王の方がすっと通った鼻筋に薄めの形のいい唇、かき上げて固めてある金髪がはらりと一筋額に掛かった雰囲気がなまめかしい。私は色気無しだと二の兄にからかわれるけど、確かに色気ってこういう風ににじみ出るんだと思ってしまったよ。
その美形国王がこっちをじっと見てる。しまった!見とれてしまったよ。
「……ありがとうございます。疲れがとれましたら、観光させていただけましたら、うれしいです」
へん!あんたの鬼畜息子なんかに会いたくないよっと気持ちをこめてやったよ。
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