僕の世界が色で満ちる時

違和感

ショウ —— … しょう…

「翔…翔…翔…！」

見覚えのある声が聞こえてくる。

確か…

この声は僕の親友の涼の声だ。

凄いしつこく僕の名前を呼んでいる。
一体どうしたんだ…。

僕はしょうがなく目を開ける。

それと同時に涼が口をおさえ、何かから解放されたかのように泣き崩れた。

「翔…。やっと、やっと目が…覚めた…！良かった…うぅ」

一体どうしたんだ。
目を覚ましただけじゃないか。

僕は話そうとしたとき大きな違和感を感じた。

「…りょ……う」

どうしてだ。

どうして。

どうして。

声がでない。

僕は焦りと違和感でパニックになる。

「翔…もしかして覚えてないのか？」

「なに…が…」

一体僕に何があったんだ…！！！

僕は涼のあまりにも辛そうな顔がみれなくて
顔を横に向けた。

「…っ！」

横をみると僕には数えきれないほどのチューブがつけられていた。

混乱した僕は更に辺りを見回す。

点滴。

数字がいろいろ表示されているモニター。

……。

ここは病院なのか…。

頭の中で記憶がグルグル回る。


「翔…？大丈夫か…って大丈夫じゃないよな。」

「2人で3日前に渋谷に遊びに行ったときに、人が多く通る交差点で車が突っ込んできたんだ。
それで俺は無事だったけど、翔…が丁度はねられちまったんだ。」

「…っ 」


記憶がフラッシュバックする。

そうだ。

僕は事故に巻き込まれたんだった。

あのとき、本当に死ぬかと思って今までもっと自分らしく生きれば良かったって思ったんだ。

これは不幸中の幸いなのかもしれないけど、
僕はまだ生きてる。

死ななかった。

神様は僕のことを見放さなかった。

なんともいえない感情が込み上げてきて
一筋の涙が頬に垂れた。

僕は自分に 落ち着け 落ち着け と言い聞かせた。

少し落ち着いて、僕はずっと目を逸らしていた涼目を向ける。

「りょ……う…？」

僕は起きてからずっと、あった大きな違和感に気づいた。


色がない