幸せを噛みしめて

ゆう

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新しい世界

夏休み旅行記~近衛邸2~

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「とってもよく似合ってますね、雪さん」

「本当ですか?ありがとうございます…」

 美人な秋人のお母さんに言われてドキドキする。用意してもらった家着はシルクのような肌触りで高さそうだ。ワンピースの様な型に余り見たことない模様の刺繍が施されている。腰の周りはリボンで縛ってあり身体のラインが分かるようなのはちょっと男の子俺からしたら恥ずかしいが、秋人も綺麗だと言ってくれるので我慢しよう。

 夕食の時間になって、シャンデリアが飾られている豪華な部屋に案内され、シェフが目の前で肉を焼いたりして振る舞われた。こちらでの食事マナーを習っていなかったから、前世でのテーブルマナーで食べた所問題はなさそうでホッとした。
 食事をしながら会話の初めは世間話から始まったがお腹が満たされた辺りから秋人が俺らの事を切り出した。


「これからの私達の話になるのですが…雪はまだ高校生なので卒業と同時に籍を入れようと思ってます。住居はこちらではなく、王都の方に住もうかと。止まってる事業の関係で他の国に行くことも考えてます」

「それは構わないが、雪さんの方はそれで大丈夫なのか?」

「えっと…あ、はい」

 秋人のお父さんが心配してくれているようだが俺はよく分からないし話が拗れないよう頷く。
 秋人が決めたことに否定すると大体良くない事になるのは知っている。こんな所でまだ結婚を決めたわけではありません!なんて言える心臓の持ち主では無い。

 その返事に三人はとても笑顔だった。
 次に秋人のお母さんがワクワクしながら秋人に質問をぶつけてくる。

「それでそれで?雪さんとの出会いは?いきなり進めている事業を止めて自分の力を入れている学園に三年間行くって言いだすからビックリしていたんだ。そしたらこんなに可愛いらしい子を連れてきて、近衛家一同…いや世界中大騒ぎになるよこれは」

「あー…そうですね。各主要な方には改めて雪を紹介したいとは思ってますが…。雪には今学業を優先させてもらいたいですし、挨拶回りはゆっくりしたいと思ます。出会いのきっかけと言いますか…雪は大事な…私の探していた運命の人と言いますか。とにかく、私は雪以外の人は有り得ないと言う事です。…これで納得して頂けますか?母上…」

 秋人の困った様な途中の曖昧な返事にふふっと少し笑ってしまった。前世の記憶がありますなんて言えるわけないし、つがいだった関係なんでこちらでは理解して貰えるか分からない。でも運命の人、俺以外有り得ないと言う言葉の重さを俺は受け止める。
 そして秋人のお母さんの方を見るとキラキラと目を輝かせていた。


「素敵な事だわ秋人。運命の相手。秋人ってば意外とロマンチストだね。小さい時からずっと研究研究で恋だの恋愛だのに興味がないと思っていたから。小さい頃からモテるのにどこか冷静な子でね…」

「昔話もやめてください母上…」

 どうやら秋人はお母さんに頭が上がらないようだ。お父さんも二人の会話に耳を傾け楽しそうだった。
 その後も遅くまで楽しく俺達は語り合った。秋人がそろそろと切り出して、ようやく部屋に戻って一息つけた。


「よく喋る母で疲れなかったか?」

「ん?大丈夫だよ。二人ともいい人達だね」

「ああ、昔からよくしてもらってる。今があるのもあの両親のおかげだ」

「そっか」

 秋人が用意してあったハーブティーを入れてくれて、二人で飲んで少しまたお喋りをする。その後、ベッドに行こうとなったので家着から寝衣しんいに着替えさせてくれた。

「雪おいで」

「うん」

 ベッドまで導かれ、そのまま重なるようにベッドに倒される。持て余した熱が一気に湧き上がった。

「んっ」

 早速熱烈な口付けをもらい、直ぐに俺のスイッチが切り替わる。クチュクチュと唾液を絡ませ合いながら、先程着させられた寝衣はするりと秋人によって肌けさせられた。

「んぁっ、あき…ひとぉ…」

 名前を呼ぶとギラギラとした秋人の瞳が柔らかく微笑んで俺を映した。その表情を見たくて秋人の顔を両手で頬にあて引き寄せる。年齢を重ねても余りシワのない綺麗な顔だ。

「雪愛してるよ」

 何度も聞いた言葉なのに俺は嬉しくて自らも秋人を求めキスをした。

「ねぇ…今日俺が上に乗りたい」

「…ああ」

 俺も秋人と同じ目をしていたかもしれない。口が少し離れた時にそう言うと秋人から了承を得た。多分俺が上に乗る時は発情期でもテンションが上がった時か、秋人に乗っかれって言われた時だけだ。
 それくらい今は秋人が欲しくて、秋人よりもリードしたいってそんな気持ちだった。
 お風呂で柔らかくなった俺の蕾は直ぐに秋人を受ける準備が万全かのようにヒクヒクさせて秋人を誘う。秋人を寝かせて俺も秋人の寝衣を肌けさせた。いつも秋人がしてくれるように身体中にキスを落とす。
 いつ鍛えているのだろうと言うくらいしっかりと付いた筋肉が羨ましい。腹筋を指で謎るとくすぐったそうに笑う。

「押し倒したくなるからあんまり煽るなよ」

 そう言われると俺は慌てて秋人の熱棒を口に含んだ。しっかりと勃たせるようにねっとりと唾液を絡ませて舌を沿わせる。しっかり吸い上げるように口を窄ませて扱いていく。
 立派に固く反り上がった熱棒に満足して口を離し、自身の中でソレを受け入れるよう渡してくれたローションを自分の指で絡ませる。既にヒクヒクとしている蕾を徐々に開かせていった。
 準備が整い自分の尻臀しりたぶを握り開いた蕾をゆっくり熱棒の方に押し当てる。そのまま吸い付くようにくっつきぷちゅりと音を立てて呑み込んだ。

「ンッ…」

 大きく張りでた亀頭が入れば後はズズズっと俺の身体は秋人を呑み込んだ。硬く熱い芯が身体を貫いていく感覚が身体中をじわじわと駆け抜ける。

「あ…あぅ……」

 自分自身も久々だったせいか直ぐに身体は快感に酔いしれる。腰を落としきれば自分の好きな所に秋人のモノが当たった。
(気持ちいい大好きだ大好きだ大好きだ…)
 ゆるゆると腰が動くたび湧き上がる感情に震えた。

「雪…気持ちいいのか?動くたび震えてる」

「ひ、久々だから…身体が嬉しいみたい…」

 素直にそう言うと秋人が下から俺の好きな所を突いてくれてさらに俺は悦に喜んだ。始めは緩やかなストロークから徐々激しさを増して秋人も下から突き上げていく。上に乗ってリードしたいと思っていたのに気づけば秋人によって挿入がリードされていた。

「んんっ──あっ…んッ」

 どれだけ俺が乱れても質のいいベッドは俺達を優しく包みこんでくれて受け入れる。
 負けじと上下に頑張って腰を動かしてみても俺の身体の限界は直ぐに来てしまう。それを分かっていて、秋人が上半身を起こして頑張ったご褒美にと少し汗ばんだ額にキスを落とす。

「俺の上で乱れる雪可愛いすぎ」

 繋がりあい抱きしめたまま何度もキスをした。そのまま今度はいつもの様に俺が仰向けになって、上からの挿入を受け入れる。
 俺とは違って力強い挿入はバチュバチュと大きな音を立て、重なった部分からローションが粟立つ。激しい刺激に何度か身体を震わして直ぐに達してしまった

「や…ぁ…ッ……ンンッ」

 嫌どころか気持ちいいのに、自分の性器からは何も出ていなくて、中で達してしまっている事が分かる。この男の前では完全に雌にされてしまっていて言葉でしか抗えない。
 でも身体はもっと欲しがるように腰と脚が動き秋人に絡みつく。

「あっあっ…んッ」

 不器用な俺の事を分かっていてその姿を見ながら、秋人の瞳が細まる。

「可愛いね、雪…」

 愛されていることを何度も実感させられながら俺は何度も感じさせられ、お腹の中が秋人の熱で満たされるまで求めあった。
 どれだけ長い間繋がっていただろうか。
(…もう身体は満たされているけど喉がカラカラだ…)
 喘ぎすぎて喉もカラカラだし、脚も上に乗ったり大きく開いたりしてガクガクだ。
 流石に理性が戻ってきた所で、シャワーを浴びに行っていた秋人が戻ってきた。

「雪気づいたのか?シャワー浴びるか?」

「いや、綺麗にして貰ってるから大丈夫…」

 気がついたらベッドも身体も綺麗になっていた。こんな時間にお手伝いさんに替えて貰ってたら申し訳ない…。でももう身体も動かないし、瞼も重い。それに外も明るくなってきていて、これは昼までお休みコースだなと思う。
 手渡された水を飲み、ふぅと一息吐く。

「雪、俺はこれから少し仕事があるから出掛けてくる。起きて誰も居なければベッドの横にあるベルを鳴らせ」

「ん、分かった…いってらっしゃい」

 部屋から出ていった秋人を見送って俺は重い瞼を閉じた。

(社畜秋人…でもセックスを朝までして仕事に行くなんてタフすぎ…)



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