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第一章
救済の物語
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神様曰く、僕のあの姿は数百年も前の勇者の姿を模したものらしい。
かつて、世界は、魔族による虐殺と略奪によって支配されていた。
人類は、日々、魔族の脅威に怯え、為す術も無く、蹂躙されていく。
そんな人類を憂いた神は、異世界から大いなる《勇者》を召喚し、魔族の討伐を命じた。
勇者は、神の願いに応え、魔族の王たる《魔王》すら討ち倒し、人類に平和が訪れた。
だが、勇者は思った。
暴虐の限りを尽くした魔族が、再び、人類に牙を剥く時が来るのではないか。
そう考えた勇者は、神と話し合い、《勇者制度》と《ウリヤス教》を作り、魔族に対抗する術を残し、今の平和が形作られた。
「……………………」
神様の長たらしい語りが終わり、僕は考えに耽った。
《勇者制度》-------------
そして、《ウリヤス教》-------------
この二つは、誰もが知る人類を支えて来た二つ柱だ。
まず、勇者制度は、人類の模範となるべく、人格と力を有した者が、神によって、勇者として選ばれ、魔族に対抗する切り札となる名誉ある制度。
僕の兄であるアルベールが、勇者として、選ばれたのも、この制度によるものだ。
その上で、その制度を取り仕切る者達。
それが、《ウリヤス教》-------------
人類を守護する神ウリヤスに忠誠と信仰を捧げる聖職者組織の名称。
人類を魔族の手から守る事-------------
神ウリヤスに、純粋な忠義と信仰心を持つ事-------------
神が選ばれし、勇者を支える事-------------
この三つの誓約を、その生涯を賭けて、行える者しか入信出来ない実績第一の珍しい教義で、その教会は世界各地に必ずと言ってある有名な教義団体。
何でも、神が神託で認めたものしか、役職に付けず、出世も出来ないとか。
確か、聖女様も、僕の兄と同じで、神によって、その役職を与えられたとか、兄が言っていたような気がする。
んで、そんな誰もが知る話を何故、神様(恐らく、ウリヤス教が信仰するウリヤス神ご本人だろうが)は語るのか。
そんな神は、長たらしい話を終えて
-------------
『実は話には、まだ人類には、語られていない続きがあるのです』
と新たな話を語り始めた。
魔王を討伐し、魔族に対抗する手段を確立した件の勇者は、その後、新たな試みを行ったんだそうだ。
その試みとは、己の姿と力を模した新たなスキルの構築。
それが、僕の得たあの謎の力の正体なんだとか。
スキルの名は《変身アイテム》-------------
件の勇者の力を宿した唯一無二の希少スキルで、普通なら使った瞬間に、あらゆる魔力やら生命力を奪われて、存在そのものが消滅する危険なスキルなんだそうだ。
え?
僕、そんな物騒なスキル使っていたの?
なら、何で、僕は今も生きている訳?
『それは、あなたが初めて、そのスキルに適合出来た人間だからです。今まで、そのスキルを使った者達は、皆、等しく魂ごと消滅する憂き目にあっていますからね』
「……………………マジですか?」
『本当です』
思わず、頭を抱えたくなった。
なんてものを、僕は手にしてしまったのであろうか。
かの神様が断言されるだ。
きっと、今、神様が話した話は本当の事なんだろう。
そんな人類を守護する神様が、そんな希少なスキルを手にした僕を呼んだ。
そうなると、可能性として、考えられるとしたら-------------
「僕に、ウリヤス教に入れって事ですか?」
『違います』
速攻で否定されました。
否定されて、神様が指を鳴らすと、神様の背後から、この世界の地図らしきものが、出現した。
『今回、聖女を通して、あなたをわたくしの元にお連れして貰ったのは、その力を正しく使う為の術を、あなたに教える為なのです』
僕の力を正しく使う術…………だって?
かつて、世界は、魔族による虐殺と略奪によって支配されていた。
人類は、日々、魔族の脅威に怯え、為す術も無く、蹂躙されていく。
そんな人類を憂いた神は、異世界から大いなる《勇者》を召喚し、魔族の討伐を命じた。
勇者は、神の願いに応え、魔族の王たる《魔王》すら討ち倒し、人類に平和が訪れた。
だが、勇者は思った。
暴虐の限りを尽くした魔族が、再び、人類に牙を剥く時が来るのではないか。
そう考えた勇者は、神と話し合い、《勇者制度》と《ウリヤス教》を作り、魔族に対抗する術を残し、今の平和が形作られた。
「……………………」
神様の長たらしい語りが終わり、僕は考えに耽った。
《勇者制度》-------------
そして、《ウリヤス教》-------------
この二つは、誰もが知る人類を支えて来た二つ柱だ。
まず、勇者制度は、人類の模範となるべく、人格と力を有した者が、神によって、勇者として選ばれ、魔族に対抗する切り札となる名誉ある制度。
僕の兄であるアルベールが、勇者として、選ばれたのも、この制度によるものだ。
その上で、その制度を取り仕切る者達。
それが、《ウリヤス教》-------------
人類を守護する神ウリヤスに忠誠と信仰を捧げる聖職者組織の名称。
人類を魔族の手から守る事-------------
神ウリヤスに、純粋な忠義と信仰心を持つ事-------------
神が選ばれし、勇者を支える事-------------
この三つの誓約を、その生涯を賭けて、行える者しか入信出来ない実績第一の珍しい教義で、その教会は世界各地に必ずと言ってある有名な教義団体。
何でも、神が神託で認めたものしか、役職に付けず、出世も出来ないとか。
確か、聖女様も、僕の兄と同じで、神によって、その役職を与えられたとか、兄が言っていたような気がする。
んで、そんな誰もが知る話を何故、神様(恐らく、ウリヤス教が信仰するウリヤス神ご本人だろうが)は語るのか。
そんな神は、長たらしい話を終えて
-------------
『実は話には、まだ人類には、語られていない続きがあるのです』
と新たな話を語り始めた。
魔王を討伐し、魔族に対抗する手段を確立した件の勇者は、その後、新たな試みを行ったんだそうだ。
その試みとは、己の姿と力を模した新たなスキルの構築。
それが、僕の得たあの謎の力の正体なんだとか。
スキルの名は《変身アイテム》-------------
件の勇者の力を宿した唯一無二の希少スキルで、普通なら使った瞬間に、あらゆる魔力やら生命力を奪われて、存在そのものが消滅する危険なスキルなんだそうだ。
え?
僕、そんな物騒なスキル使っていたの?
なら、何で、僕は今も生きている訳?
『それは、あなたが初めて、そのスキルに適合出来た人間だからです。今まで、そのスキルを使った者達は、皆、等しく魂ごと消滅する憂き目にあっていますからね』
「……………………マジですか?」
『本当です』
思わず、頭を抱えたくなった。
なんてものを、僕は手にしてしまったのであろうか。
かの神様が断言されるだ。
きっと、今、神様が話した話は本当の事なんだろう。
そんな人類を守護する神様が、そんな希少なスキルを手にした僕を呼んだ。
そうなると、可能性として、考えられるとしたら-------------
「僕に、ウリヤス教に入れって事ですか?」
『違います』
速攻で否定されました。
否定されて、神様が指を鳴らすと、神様の背後から、この世界の地図らしきものが、出現した。
『今回、聖女を通して、あなたをわたくしの元にお連れして貰ったのは、その力を正しく使う為の術を、あなたに教える為なのです』
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