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第一章
再会
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魔族の撤退してから、それ程、時が進んでいない頃-------------
「いやあ~、すまんすまん。嬉しさのあまり、思わず…………」
「……………………」
某王国のとある一室で、僕、レイヤ・ミスフィリアは、あっけらかんとにこやかに微笑む兄、アルベールと再会を果たしていた。
と言っても、会って早々、兄の所為で、天寿を全うしようになった訳だけれど…………。
その証拠に、僕は奥に控えていたであろう見覚えのあるメイド達によって、治療を受け直されていた。
余計に、包帯を巻かれて、その内、ミイラ男にでもなるんじゃなかろうか。
「それにしても、久しぶりだな~! しっかりと飯は食ってたか? 少しやつれているように見えるが、まともに食ってなかったんだろ? 人間身体が資本。今、何か、作って貰って-------------」
「……………………」
「……………………やっぱり、戻って来る気はないのか?」
幾ら話し掛けても、そっぽを向いて、口を開かない僕を前に、ほんの僅か、悲しげな口調で兄は問うて来た。
そんなの答えるまでもない。
答えは否だ。
僕はここへ-------------ミスフィリア家に戻るつもりなんて、鼻からなかった。
僕のような無能な奴がいて良い場所じゃない。
「なぁ、レイ。あの時の事を気にする必要はない。なんて、俺が言っても、ただの嫌味にしか聞こえないだろう-------------誰よりも勉強し、誰よりも鍛錬し、誰よりも苦難を経験した努力家のお前には…………。けど、けどな…………此処は-------------ミスフィリア家は誰が何と言おうとお前の帰るべき場所なんだ」
「……………………」
「父上は何も言わないが、お前が苦しんでいる時に、何の助けにもなれなかった事を悔やんでいだ。母上は、お前が傷付いているのに、気付いてあげられなかった事を悲しんだ。俺だってそうだ。だから…………だから、な…………レイ-------------」
一人で抱え込まなくたって良いんだ。
そう熱心に語り掛けてくれる兄。
だが、兄よ。
僕はあなたが思ってくれている程、父も母、そして、勇者であるあなたも-------------
愛せてはいないんですよ、ずっと…………。
何故なら、僕は僕自身を愛せないから…………。
僕は結局の所、立ちの悪いチンピラでしかないのだ。
僕の意味不明な力の使い道だってそうだ。
あまりにも、穢らわしいから盗賊共を皆殺しにした。
あのウザルにしたって、人の命を狩るのを楽しんでいた。
それが、とてつもなく腹立たしくて、殺した。
気に入らなかったから-------------
そう…………気に入らなかったから殺したんだ!!!
相手が気に入らないから、身勝手な都合で、勝手な正義を振りかざして、暴力で解決する。
何とも、浅ましくて、何と、悪どい行いなのだろう。
『ひっ!!!』
ふと、あの時、盗賊から助けた女性達の顔が脳裏に浮かんだ。
あの時の彼女達は、僕に対して、恐怖を抱いていた。
当然だ。
誰もが、権力だろうと実力行使だろうと、身勝手な暴力を振るわれれば、恐怖する。
さぞ、あの時の僕は怖かったであろう。
身勝手な理由で、見るも絶えない肉片にして、逃げ出したんだから…………。
きっと、勇者である兄なら、あの状況でも、もっとましな対応をして、解決に導けた。
導いて、あの女性達に、心からの安らぎを与えてさえいた。
無能な僕とは大違いだ。
そう確信出来た。
いや、出来てしまう。
「……………………アル。そろそろ…………」
「あぁ…………。レイ。また来るな…………」
部屋の戸口が開けられると、そこに兄の仲間であろう勇者パーティーの一人が、兄に声を掛けた。
声を掛けて、それに答えた兄は、そのまま、仲間と共に部屋を出て行った。
「………………………………」
ほんと、兄は相も変わらず、お人好しな事で…………。
「いやあ~、すまんすまん。嬉しさのあまり、思わず…………」
「……………………」
某王国のとある一室で、僕、レイヤ・ミスフィリアは、あっけらかんとにこやかに微笑む兄、アルベールと再会を果たしていた。
と言っても、会って早々、兄の所為で、天寿を全うしようになった訳だけれど…………。
その証拠に、僕は奥に控えていたであろう見覚えのあるメイド達によって、治療を受け直されていた。
余計に、包帯を巻かれて、その内、ミイラ男にでもなるんじゃなかろうか。
「それにしても、久しぶりだな~! しっかりと飯は食ってたか? 少しやつれているように見えるが、まともに食ってなかったんだろ? 人間身体が資本。今、何か、作って貰って-------------」
「……………………」
「……………………やっぱり、戻って来る気はないのか?」
幾ら話し掛けても、そっぽを向いて、口を開かない僕を前に、ほんの僅か、悲しげな口調で兄は問うて来た。
そんなの答えるまでもない。
答えは否だ。
僕はここへ-------------ミスフィリア家に戻るつもりなんて、鼻からなかった。
僕のような無能な奴がいて良い場所じゃない。
「なぁ、レイ。あの時の事を気にする必要はない。なんて、俺が言っても、ただの嫌味にしか聞こえないだろう-------------誰よりも勉強し、誰よりも鍛錬し、誰よりも苦難を経験した努力家のお前には…………。けど、けどな…………此処は-------------ミスフィリア家は誰が何と言おうとお前の帰るべき場所なんだ」
「……………………」
「父上は何も言わないが、お前が苦しんでいる時に、何の助けにもなれなかった事を悔やんでいだ。母上は、お前が傷付いているのに、気付いてあげられなかった事を悲しんだ。俺だってそうだ。だから…………だから、な…………レイ-------------」
一人で抱え込まなくたって良いんだ。
そう熱心に語り掛けてくれる兄。
だが、兄よ。
僕はあなたが思ってくれている程、父も母、そして、勇者であるあなたも-------------
愛せてはいないんですよ、ずっと…………。
何故なら、僕は僕自身を愛せないから…………。
僕は結局の所、立ちの悪いチンピラでしかないのだ。
僕の意味不明な力の使い道だってそうだ。
あまりにも、穢らわしいから盗賊共を皆殺しにした。
あのウザルにしたって、人の命を狩るのを楽しんでいた。
それが、とてつもなく腹立たしくて、殺した。
気に入らなかったから-------------
そう…………気に入らなかったから殺したんだ!!!
相手が気に入らないから、身勝手な都合で、勝手な正義を振りかざして、暴力で解決する。
何とも、浅ましくて、何と、悪どい行いなのだろう。
『ひっ!!!』
ふと、あの時、盗賊から助けた女性達の顔が脳裏に浮かんだ。
あの時の彼女達は、僕に対して、恐怖を抱いていた。
当然だ。
誰もが、権力だろうと実力行使だろうと、身勝手な暴力を振るわれれば、恐怖する。
さぞ、あの時の僕は怖かったであろう。
身勝手な理由で、見るも絶えない肉片にして、逃げ出したんだから…………。
きっと、勇者である兄なら、あの状況でも、もっとましな対応をして、解決に導けた。
導いて、あの女性達に、心からの安らぎを与えてさえいた。
無能な僕とは大違いだ。
そう確信出来た。
いや、出来てしまう。
「……………………アル。そろそろ…………」
「あぁ…………。レイ。また来るな…………」
部屋の戸口が開けられると、そこに兄の仲間であろう勇者パーティーの一人が、兄に声を掛けた。
声を掛けて、それに答えた兄は、そのまま、仲間と共に部屋を出て行った。
「………………………………」
ほんと、兄は相も変わらず、お人好しな事で…………。
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