3 / 19
第一章
急報
しおりを挟む
レイヤが故郷である王国へ向けて、歩き出したその頃-------------
勇者であるミリヤの兄、アルベール・ミスフィリアは合流したパーティーメンバー達と信じられないものでも見るかのように、目の前の光景に絶句していた。
「え? 何よ? これ…………」
そんなパーティーメンバーの一人-------------魔法使いの女性が、大木の枝に突き刺さる魔族の死体を見て、目を見開くのが見える。
「どうしたんだ?」
「これを見て---------」
アルベールが魔法使いの方に近付いて行くと、魔法使いはとある一点を指差した。
その先を見た勇者は思わず絶句する。
「これは…………」
魔法使いの指の先-------------
魔族の腹部の一部がとある形に凹んでいたのだ。
「まさか、拳の後か?」
「多分、そうだと思う。きっと、アルが見たっていう少女が、この魔族をおもっいきり殴り飛ばした際に出来た跡なんだと思う」
アル---------とは、勇者である俺の愛称で、俺のパーティーメンバーは親しみを込めてそう呼ぶ……………………じゃなくて-------------!?
「そんな事がありえるのか!?」
「普通ならありえないわ。でも、どう考えても、そうとしか考えられない」
通常、魔族の身体は硬質な皮膚に覆われている為、傷が付き難く、そこらで売られているような平凡な鉄製の剣なら触れた瞬間に砕け散ってしまう程、硬い。
それこそ、災害認定されるドラゴンと同じくらいの強度だ。
だからこそ、魔導具と呼ばれる魔力を帯びた特殊な武器でしか、魔族に傷は付けられないと言われている。
そんな魔族を相手に、ただの拳で…………?
「……………………」
一度、ドラゴンと戦った勇者である俺だからこそ分かる。
魔族と数年もの間、戦い続けた俺だからこそ分かる。
そんな事はありえない。
だとすると、あの時、見た少女は-------------
俺は先程、ここで魔族と戦っていたであろう少女の事を思い浮かべていた。
俺を見るなり、何も言わずに走り去っていたあの少女の事を-------------
『兄様!』
「っ!?」
「どうかなされたのですか?」
俺の隣にいた聖女が心配するかのように、俺に問い掛けて来たが、「何でもないよ」と答えをはぐらかした。
「……………………」
あの少女を思い浮かべた瞬間、幼き日の弟の姿がだぶったように見えた。
だが、そんな筈はない。
そんな筈は-------------
「ゆ、勇者様!!!」
ふと、声のする方へと振り向くと、森の奥から一人の若い騎士が走って来る姿が見えた。
血相を変えて、俺の元へ辿り着くと、息も絶え絶えに、とある報告をする。
「何、魔族軍が!!?」
「は、はい!! 王都の守備隊からの報告によれば、数はおよそ一万!!! 西側の城門は既に突破され、多数の死傷者が出ている模様です!!!」
「まさか、こちらは囮か!!!」
俺はすぐ様、仲間達に呼び掛けて、王都へと向かう事を告げた。
馬に乗るなり、すぐ様、走らせた。
頼む!!!
俺達が着くまでは、どうにか、持ち堪えてくれ!!!
勇者であるミリヤの兄、アルベール・ミスフィリアは合流したパーティーメンバー達と信じられないものでも見るかのように、目の前の光景に絶句していた。
「え? 何よ? これ…………」
そんなパーティーメンバーの一人-------------魔法使いの女性が、大木の枝に突き刺さる魔族の死体を見て、目を見開くのが見える。
「どうしたんだ?」
「これを見て---------」
アルベールが魔法使いの方に近付いて行くと、魔法使いはとある一点を指差した。
その先を見た勇者は思わず絶句する。
「これは…………」
魔法使いの指の先-------------
魔族の腹部の一部がとある形に凹んでいたのだ。
「まさか、拳の後か?」
「多分、そうだと思う。きっと、アルが見たっていう少女が、この魔族をおもっいきり殴り飛ばした際に出来た跡なんだと思う」
アル---------とは、勇者である俺の愛称で、俺のパーティーメンバーは親しみを込めてそう呼ぶ……………………じゃなくて-------------!?
「そんな事がありえるのか!?」
「普通ならありえないわ。でも、どう考えても、そうとしか考えられない」
通常、魔族の身体は硬質な皮膚に覆われている為、傷が付き難く、そこらで売られているような平凡な鉄製の剣なら触れた瞬間に砕け散ってしまう程、硬い。
それこそ、災害認定されるドラゴンと同じくらいの強度だ。
だからこそ、魔導具と呼ばれる魔力を帯びた特殊な武器でしか、魔族に傷は付けられないと言われている。
そんな魔族を相手に、ただの拳で…………?
「……………………」
一度、ドラゴンと戦った勇者である俺だからこそ分かる。
魔族と数年もの間、戦い続けた俺だからこそ分かる。
そんな事はありえない。
だとすると、あの時、見た少女は-------------
俺は先程、ここで魔族と戦っていたであろう少女の事を思い浮かべていた。
俺を見るなり、何も言わずに走り去っていたあの少女の事を-------------
『兄様!』
「っ!?」
「どうかなされたのですか?」
俺の隣にいた聖女が心配するかのように、俺に問い掛けて来たが、「何でもないよ」と答えをはぐらかした。
「……………………」
あの少女を思い浮かべた瞬間、幼き日の弟の姿がだぶったように見えた。
だが、そんな筈はない。
そんな筈は-------------
「ゆ、勇者様!!!」
ふと、声のする方へと振り向くと、森の奥から一人の若い騎士が走って来る姿が見えた。
血相を変えて、俺の元へ辿り着くと、息も絶え絶えに、とある報告をする。
「何、魔族軍が!!?」
「は、はい!! 王都の守備隊からの報告によれば、数はおよそ一万!!! 西側の城門は既に突破され、多数の死傷者が出ている模様です!!!」
「まさか、こちらは囮か!!!」
俺はすぐ様、仲間達に呼び掛けて、王都へと向かう事を告げた。
馬に乗るなり、すぐ様、走らせた。
頼む!!!
俺達が着くまでは、どうにか、持ち堪えてくれ!!!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる