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第一章
急報
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レイヤが故郷である王国へ向けて、歩き出したその頃-------------
勇者であるミリヤの兄、アルベール・ミスフィリアは合流したパーティーメンバー達と信じられないものでも見るかのように、目の前の光景に絶句していた。
「え? 何よ? これ…………」
そんなパーティーメンバーの一人-------------魔法使いの女性が、大木の枝に突き刺さる魔族の死体を見て、目を見開くのが見える。
「どうしたんだ?」
「これを見て---------」
アルベールが魔法使いの方に近付いて行くと、魔法使いはとある一点を指差した。
その先を見た勇者は思わず絶句する。
「これは…………」
魔法使いの指の先-------------
魔族の腹部の一部がとある形に凹んでいたのだ。
「まさか、拳の後か?」
「多分、そうだと思う。きっと、アルが見たっていう少女が、この魔族をおもっいきり殴り飛ばした際に出来た跡なんだと思う」
アル---------とは、勇者である俺の愛称で、俺のパーティーメンバーは親しみを込めてそう呼ぶ……………………じゃなくて-------------!?
「そんな事がありえるのか!?」
「普通ならありえないわ。でも、どう考えても、そうとしか考えられない」
通常、魔族の身体は硬質な皮膚に覆われている為、傷が付き難く、そこらで売られているような平凡な鉄製の剣なら触れた瞬間に砕け散ってしまう程、硬い。
それこそ、災害認定されるドラゴンと同じくらいの強度だ。
だからこそ、魔導具と呼ばれる魔力を帯びた特殊な武器でしか、魔族に傷は付けられないと言われている。
そんな魔族を相手に、ただの拳で…………?
「……………………」
一度、ドラゴンと戦った勇者である俺だからこそ分かる。
魔族と数年もの間、戦い続けた俺だからこそ分かる。
そんな事はありえない。
だとすると、あの時、見た少女は-------------
俺は先程、ここで魔族と戦っていたであろう少女の事を思い浮かべていた。
俺を見るなり、何も言わずに走り去っていたあの少女の事を-------------
『兄様!』
「っ!?」
「どうかなされたのですか?」
俺の隣にいた聖女が心配するかのように、俺に問い掛けて来たが、「何でもないよ」と答えをはぐらかした。
「……………………」
あの少女を思い浮かべた瞬間、幼き日の弟の姿がだぶったように見えた。
だが、そんな筈はない。
そんな筈は-------------
「ゆ、勇者様!!!」
ふと、声のする方へと振り向くと、森の奥から一人の若い騎士が走って来る姿が見えた。
血相を変えて、俺の元へ辿り着くと、息も絶え絶えに、とある報告をする。
「何、魔族軍が!!?」
「は、はい!! 王都の守備隊からの報告によれば、数はおよそ一万!!! 西側の城門は既に突破され、多数の死傷者が出ている模様です!!!」
「まさか、こちらは囮か!!!」
俺はすぐ様、仲間達に呼び掛けて、王都へと向かう事を告げた。
馬に乗るなり、すぐ様、走らせた。
頼む!!!
俺達が着くまでは、どうにか、持ち堪えてくれ!!!
勇者であるミリヤの兄、アルベール・ミスフィリアは合流したパーティーメンバー達と信じられないものでも見るかのように、目の前の光景に絶句していた。
「え? 何よ? これ…………」
そんなパーティーメンバーの一人-------------魔法使いの女性が、大木の枝に突き刺さる魔族の死体を見て、目を見開くのが見える。
「どうしたんだ?」
「これを見て---------」
アルベールが魔法使いの方に近付いて行くと、魔法使いはとある一点を指差した。
その先を見た勇者は思わず絶句する。
「これは…………」
魔法使いの指の先-------------
魔族の腹部の一部がとある形に凹んでいたのだ。
「まさか、拳の後か?」
「多分、そうだと思う。きっと、アルが見たっていう少女が、この魔族をおもっいきり殴り飛ばした際に出来た跡なんだと思う」
アル---------とは、勇者である俺の愛称で、俺のパーティーメンバーは親しみを込めてそう呼ぶ……………………じゃなくて-------------!?
「そんな事がありえるのか!?」
「普通ならありえないわ。でも、どう考えても、そうとしか考えられない」
通常、魔族の身体は硬質な皮膚に覆われている為、傷が付き難く、そこらで売られているような平凡な鉄製の剣なら触れた瞬間に砕け散ってしまう程、硬い。
それこそ、災害認定されるドラゴンと同じくらいの強度だ。
だからこそ、魔導具と呼ばれる魔力を帯びた特殊な武器でしか、魔族に傷は付けられないと言われている。
そんな魔族を相手に、ただの拳で…………?
「……………………」
一度、ドラゴンと戦った勇者である俺だからこそ分かる。
魔族と数年もの間、戦い続けた俺だからこそ分かる。
そんな事はありえない。
だとすると、あの時、見た少女は-------------
俺は先程、ここで魔族と戦っていたであろう少女の事を思い浮かべていた。
俺を見るなり、何も言わずに走り去っていたあの少女の事を-------------
『兄様!』
「っ!?」
「どうかなされたのですか?」
俺の隣にいた聖女が心配するかのように、俺に問い掛けて来たが、「何でもないよ」と答えをはぐらかした。
「……………………」
あの少女を思い浮かべた瞬間、幼き日の弟の姿がだぶったように見えた。
だが、そんな筈はない。
そんな筈は-------------
「ゆ、勇者様!!!」
ふと、声のする方へと振り向くと、森の奥から一人の若い騎士が走って来る姿が見えた。
血相を変えて、俺の元へ辿り着くと、息も絶え絶えに、とある報告をする。
「何、魔族軍が!!?」
「は、はい!! 王都の守備隊からの報告によれば、数はおよそ一万!!! 西側の城門は既に突破され、多数の死傷者が出ている模様です!!!」
「まさか、こちらは囮か!!!」
俺はすぐ様、仲間達に呼び掛けて、王都へと向かう事を告げた。
馬に乗るなり、すぐ様、走らせた。
頼む!!!
俺達が着くまでは、どうにか、持ち堪えてくれ!!!
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