聖女は男で、反逆者で、救世主?

水先 冬菜

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第1章 救世の聖女

最高の嫌がらせ…………

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「…………うまくいったな…………」

 王都が見渡せる北門付近の丘--------そこにそびえ立つ幾つかの大樹のてっぺんから双眼鏡越しに、王城があったであろう場所で、何やら暴れまわっていたあの魔王バカを眺めていた。

 ぶっちゃけ、その姿を見て内心笑った。

 大爆笑だ。

 あの魔王のあの間抜け面…………何か夢にまで見そうなくらい、哀れで、無様だった。

 いやいや、本当に愉快…………。

『こちらユリシア…………。

 状況は……?』

「はいはい。こちら、レイフォード。あの馬鹿は散々暴れ回った挙句、思惑通りの結果になりました、とさ…………」

『了解。後は手筈通りに…………』

 そこで、通信は切れた。

「さて、行くとしますかね…………」


------------------------------------------

「あれま、大分こんがり、いっちゃったな…………」

 俺は元王城跡地に到着すると、地面に倒れ伏せて、弱々しく身悶えている誰かさんを踏み付け、見下ろしていた。

「ぅ…………ぐっ…………」

 声も発せられないのか…………。

 その踏まれている誰かさんは呻きながら、虚になり掛けている目を何とか開いて、俺の目と合う。

 正に虫の息って奴だ。

「どうだい? 俺特製の包囲結界型浄化魔法の威力は……?」

「き…………ま…………」

「何だ……? もうまともに喋れないのか? んん?」

「……………………」

 本当に弱っているな…………。

 というか、昔からこいつ妙に詰めが甘い所あるし…………。

 なら、もう終わりにしておくか…………。

「せ…………も…………」

「ああ? 何だって……?」

 そう言いつつ、俺は銃の引き金を引いた。

 誰かさんの頭が盛大にぶっ飛んだ。

 だが、執念深いこいつの事だ。

 恐らく…………。

 俺は誰かさんが吹き飛んだ死体の真上。

 その空へ銃口を向け、引き金を引いた。

『な、なぜ……?』

 ほら、やっぱりな…………。

 誰かさんの死体の頭上には、黒い雲のような瘴気の塊が呻いていた。

 俺はそれを結界で囲んで、撃って、撃って、撃ちまくる。

『ぎぃいいいやあああああっ!!!』

 逃げる事も出来ず、ただ的として撃たれるだけの存在になった馬鹿。

 こんな最高の嫌がらせが出来て…………。

 俺、幸せ…………。

『や、やめ--------』

「やめるか。ぼぉ~けっ!」

 その後、消滅するまで、魔王の悲鳴が王都中にこだましたのは言うまでもない。

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感想 2

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みんなの感想(2件)

ケンルア
2020.02.02 ケンルア

面白いと思います これからも頑張って下さい。

解除
紅林
2019.05.05 紅林

国王達が、今後どのような事になるのか楽しみです笑

解除

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