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聖女編
真実
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「ほんと、あんたらはいつも迷惑だよな…………」
あれから、なんだかんだで宿舎近くの喫茶店に連れて来られた俺は何故か、聖女様のご機嫌を取る羽目になっていた。
というか、聖女様の自慢話をあの迷惑騎士達に耳にタコが出来そうなくらい聞かされたのだ。
しかも、女騎士様の方は根っからの聖女様ファンらしく、いつもよりも饒舌で鬱陶しい。
今も、勇者パーティーの旅の内容やら、どうな風に魔物を討伐したか、などなど…………。
いつ終わるのやら…………。
そんな風な事を考えていると--------
「で、あなたはいつ騎士団に入るの……?」
俺の隣の席で、超デカ盛りフルーツパフェなる巨大なデザートを食していらっしゃる聖女様がそんな事を言ってきた。
「入らねぇって…………何度、言わせれば気が済むだ?」
「……………………」
だから、何で不思議そうにジッと見つめてくるんだ?
「……………………」
聖女様はしばらく俺を見つめた後、再びパフェの方に意識を持っていったようだ。
子供みたいに、美味しそうに召し上がっていらっしゃる。
何なんだ……?
------------------------------------------
「ふぅ…………美味しかった…………」
「それは良かったです」
とほほ、と「これ、経費で落ちるかな…………」と軽くなった財布を手に涙目になる男騎士くん…………哀れ…………。
「それはそうと、決闘の日時だけど…………」
「そんな約束はしていない」
こいつと話しているとほんと調子が狂う。
何か言われる前に、釘を刺しておく必要があるな…………。
うん…………。
「そもそも、聖女で勇者パーティーの一員の誰か様と、デスクワーク専門のギルド職員とじゃ、まともな決闘どころか、あんたの一人勝ち。そんなのは、決闘とは言わないんじゃないですかね…………?」
俺の言葉聞いて、女騎士の眉がピクリと反応したが、俺はそんな事を気にする事もなく、聖女と話を続けた。
「大体、何で俺があんたと決闘しなくちゃならんのですかね……?」
「そんなの…………戦いたいからだけど……?」
何当たり前の事を、みたいな風に言いやがって…………。
「だってだってぇ~! あなた、実力主義の王国騎士団の副団長に選ばれるくらい強いって事でしょ!? だったら、戦わないと勿体ない!」
「んな訳あるか。
というか、話を聞いてたのか?
俺は最下級も最下級。
護身術程度しかない無能だ。
勝負にすらならねぇよ!
というか、あんたの一人勝ちな上、これ完全に決闘じゃなくて、強制しているだけだからな……?
弱い者いじめして何が楽しいんですかね?」
俺は即座に否定した。
俺は脆弱で、最弱--------デスクワークしかできない無能職員。
とりあえず、俺は世間では、そういう事になっている筈なのだ。
「ん~…………そうは思えないんだけどなぁ~…………」
なのだが、聖女は納得がいかないようだ。
こういう勘の良さは少し警戒が必要かもしれないな…………。
と、考えた時------------
「だって、あなたぁ~…………あの時、魔王城にいたでしょぉ~?」
「……………………は?」
一体、何の話だ……?
「だからぁ~、三年前の魔王討伐戦の時に、魔王に間違われてさぁ~…………」
「あの…………リリア様、一体何を……?」
男騎士達は聖女様が何を言っているのか、理解できないで、いるようだ。
だが、俺はそんな場合じゃなかった。
今の言葉ではっきりした。
っていうか、思い出した。
あぁ、やばい…………。
これは非常にやばい…………。
「そういえば、あなた達は知らなかったねぇ~」
俺が内心冷や汗を流しているのを知ってか知らないでか、分からないが…………。
聖女様は、無情にも、ある事実を口にする。
「三年前の魔王討伐戦の時、魔王を倒したのはこの人なのよぉ~」
あれから、なんだかんだで宿舎近くの喫茶店に連れて来られた俺は何故か、聖女様のご機嫌を取る羽目になっていた。
というか、聖女様の自慢話をあの迷惑騎士達に耳にタコが出来そうなくらい聞かされたのだ。
しかも、女騎士様の方は根っからの聖女様ファンらしく、いつもよりも饒舌で鬱陶しい。
今も、勇者パーティーの旅の内容やら、どうな風に魔物を討伐したか、などなど…………。
いつ終わるのやら…………。
そんな風な事を考えていると--------
「で、あなたはいつ騎士団に入るの……?」
俺の隣の席で、超デカ盛りフルーツパフェなる巨大なデザートを食していらっしゃる聖女様がそんな事を言ってきた。
「入らねぇって…………何度、言わせれば気が済むだ?」
「……………………」
だから、何で不思議そうにジッと見つめてくるんだ?
「……………………」
聖女様はしばらく俺を見つめた後、再びパフェの方に意識を持っていったようだ。
子供みたいに、美味しそうに召し上がっていらっしゃる。
何なんだ……?
------------------------------------------
「ふぅ…………美味しかった…………」
「それは良かったです」
とほほ、と「これ、経費で落ちるかな…………」と軽くなった財布を手に涙目になる男騎士くん…………哀れ…………。
「それはそうと、決闘の日時だけど…………」
「そんな約束はしていない」
こいつと話しているとほんと調子が狂う。
何か言われる前に、釘を刺しておく必要があるな…………。
うん…………。
「そもそも、聖女で勇者パーティーの一員の誰か様と、デスクワーク専門のギルド職員とじゃ、まともな決闘どころか、あんたの一人勝ち。そんなのは、決闘とは言わないんじゃないですかね…………?」
俺の言葉聞いて、女騎士の眉がピクリと反応したが、俺はそんな事を気にする事もなく、聖女と話を続けた。
「大体、何で俺があんたと決闘しなくちゃならんのですかね……?」
「そんなの…………戦いたいからだけど……?」
何当たり前の事を、みたいな風に言いやがって…………。
「だってだってぇ~! あなた、実力主義の王国騎士団の副団長に選ばれるくらい強いって事でしょ!? だったら、戦わないと勿体ない!」
「んな訳あるか。
というか、話を聞いてたのか?
俺は最下級も最下級。
護身術程度しかない無能だ。
勝負にすらならねぇよ!
というか、あんたの一人勝ちな上、これ完全に決闘じゃなくて、強制しているだけだからな……?
弱い者いじめして何が楽しいんですかね?」
俺は即座に否定した。
俺は脆弱で、最弱--------デスクワークしかできない無能職員。
とりあえず、俺は世間では、そういう事になっている筈なのだ。
「ん~…………そうは思えないんだけどなぁ~…………」
なのだが、聖女は納得がいかないようだ。
こういう勘の良さは少し警戒が必要かもしれないな…………。
と、考えた時------------
「だって、あなたぁ~…………あの時、魔王城にいたでしょぉ~?」
「……………………は?」
一体、何の話だ……?
「だからぁ~、三年前の魔王討伐戦の時に、魔王に間違われてさぁ~…………」
「あの…………リリア様、一体何を……?」
男騎士達は聖女様が何を言っているのか、理解できないで、いるようだ。
だが、俺はそんな場合じゃなかった。
今の言葉ではっきりした。
っていうか、思い出した。
あぁ、やばい…………。
これは非常にやばい…………。
「そういえば、あなた達は知らなかったねぇ~」
俺が内心冷や汗を流しているのを知ってか知らないでか、分からないが…………。
聖女様は、無情にも、ある事実を口にする。
「三年前の魔王討伐戦の時、魔王を倒したのはこの人なのよぉ~」
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