上 下
7 / 18
聖女編

考え…………

しおりを挟む
「…………今…………何て言った…………?」

 そう言って俺が睨んだ瞬間、何かを感じ取ったのか双子の女の子達は、アキヒサと名乗った男性の背後に、まるで小動物のようにプルプル震え出した。

 いつもなら、ここでふざけた事を思うんだろうが…………。

 今は心境的にも、そうも言ってられそうにない。

「龍泉道場の出身者だと……? よくもまあ、俺の前に顔を出せるもんだな…………」

「……………………」

「俺がお前みたいなクズと同じ出身だと……? 笑わせんなよ? あんなクズ道場と一緒にしないでくれませんかね? え? 自称クズ剣士様?」

「っ! ちょっと!!」

「真弓!!」

 アキヒサと名乗った男は少女を手で静止した後、無言で首を横に振った。

 真弓と呼ばれた少女は何か言いたそうにしていたが、拳を震わせながらも押し黙るが--------

「ふん。やはりクズだな……」

 俺が鼻で笑うと、キッと真弓さんは睨み付けてくる。

 だが、彼氏の手前、そこまで発言出来ないようだ。

 ほんと、彼氏も彼氏で、あの道場は今でも集まっているらしい。

「あぁ、お前からしたらクズばかりなんだろう。実際、、俺はお前の言うそのクズみたいな事に加担しちまった側だ。否定はせん」

 そんな事、微塵みじんも思ってねぇくせに、よく喋る口だな…………。

「でも、だからこそ、変わろうとしているんだ。そこだけは分かってくれ」

「……………………」

 全く持って信用ならねぇ…………。


------------------------------------------

 某王宮--------

 直刀とアキヒサ達がギルドの宿舎にて、対峙していた頃。

 ユリウス国王はある来客を王宮内の庭園にて、出迎えていた。

「お久しぶりですね。ユリウス陛下」

 国王が振り返るとそこには一人の少女が護衛らしき騎士を引き連れて佇んでいた。

 少女の名はリザベル・レイ・アルフォンス。

 同盟国でもある隣国、アルフォンス帝国の第三王女だ。

「お久しゅうございます。リザベル王女。アザゼル陛下は相変わらずですかな?」

「ええ、いつも通り病気が再発して、皆を困らせたおりますわ」

 王女リザベルは憂い顔で大きなため息を吐くと、国王はそれは愉快そうに豪快に笑い声を開けた。

 ちなみに、王女の言う病気とは、別名「戦闘狂」と言われる戦闘好きによる、戦闘バカが故のものの事だ。

 強い奴と戦うのが生きがい!

 さあ、皆、俺と戦おう!!

 というような感じで、強い奴を見ると、決闘を申し込んでは戦って、皆を困らせている。

 国王もアザゼル王とは旧知の中であるが故に、王女の苦労がよく分かっていた。

 何せ、国王も戦場で名を馳せた頃に、アザゼル王の被害--------もとい、決闘を強要されたりされていた。

 ほんと、事戦闘においては手のかかる男だと国王は思った。

「そういえば、--------うまくいきましたか……?」

 しばらく、雑談をしながら王女と庭園を歩き回った後、王女は真剣な顔つきで国王に尋ねてくる。

 その問いに、国王は無言で首を横に振った。

「あれも中々頑固と言いますかな…………。やはり、まだを根に持っているようで、一向に首を縦には振りませぬ」

「…………そう、ですか…………」

 王女は思案顔になると、しばらく黙り込み--------

「ユリウス陛下…………少し、私に考えがあるのですが--------」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...